第1回「ペチュニア」って、どんな花?
みなさん、こんにちは!
園芸研究家の矢澤秀成です。
2022年3月から、ホームセンター タイムさんの園芸サイト「でんえん」で
コラムを書かせていただくことになりました。
旬のお役立ち情報はもちろん、ココだけのウラ技なども
ちょっとずつお話しできたらと思います。
どうぞ、ごゆるりとお付き合いいただければ幸いです。
それでは、記念すべき第1回は
「ペチュニア」についてお話いたしましょう。
目次
1:「ペチュニア」って、どんな花?
育てやすく、春から秋まで長く楽しめるので
ペチュニアは人気がありますね。
品種改良も盛んなので、
ペチュニアにはいろんなタイプがあります。
枝垂れるタイプ、横に這うように広がるタイプ、
こんもり繁るタイプ、直立タイプなど、
それらのタイプに応じて、いろんな使い方ができるのも特徴ですね。
いずれのタイプも、屋外の日当たりのよい場所が大好きです。
2:いつ買えばいい? いつ植える?
ペチュニアの植えどきは霜が降りなくなってから。
わかりやすい目安としては、
桜のソメイヨシノが満開を過ぎて散り始め、葉桜になりかけぐらいの頃。
ちょうど八重桜の花が咲き始めたらペチュニアの植えどきです。
その頃、購入してすぐ植えましょう。
花苗は、購入後しばらく寝かしたりせず、
すぐ植えてくださいね。
寝かしても増えませんから(笑)。
3:花苗を選ぶコツは?
まず、芽数の多いものを選びましょう。
次は、ラベルの写真ではなく、咲いている花を見て確かめること。
お店で買うメリットは、何と言っても
直接、花を見て買えることでしょう。
TIME’S FARMの花苗は「開花出荷」が原則!
ということですから素晴らしい!
さらに欲を言えば
根っこの状態を見ること。
ポットから外して根を見て、パッと戻す(笑)。
これ、他店では、やっちゃいけないと思うんですけど、
タイムの店頭で「根っこを見せてください」とお願いしたら
本当に見せてくれるんですよ!
根っこに自信があるんですよね。
できるだけ根鉢を壊さないように、そっと見て
白い根がたくさん出ている「いい株」を選んでくださいね!
4:土と肥料、プランター(植木鉢)を準備して植えよう!
初めての方や初心者の方が
プランターや植木鉢に植える場合は、
市販の「草花用培養土」をお使いください。
TIME’S FARMの「花と野菜の土」が、とってもいいですよ。
ペチュニアは、1株が大きくなるので
1つの鉢に詰め過ぎないことが肝心です。
尺鉢(10号鉢)だと3株が限界ですね。
植えたと同時に、水をたっぷりあげましょう。
最初の水やりは「たっぷり」が基本です。
私は、植木鉢やプランターの場合、3回に分けて水やりします。
まず、植木鉢がいっぱいになるまで水をあげて一旦ストップ。
水が引いたら、もう1回。
これを1セットとして3回繰り返します。
これをやるのは植えてすぐ、最初の水やりだけ。
その後は、1週間に2〜3回程度の水やりで十分です。
この最初の水やりのときに、
つぶつぶ状の緩効性化成肥料を
適量かけていただければ大丈夫です。
なんと、TIME’S FARMの「花と野菜の土」には、
根腐れ防止剤と、
ゆっくり長く効く緩効性化成肥料もブレンドされています。
気が利いていますよね。
5:水のやり過ぎ、肥料のやり過ぎに気をつけて!
緩効性化成肥料は、メーカーにより多少異なりますが
植え付けから1か月半〜2か月くらい効果が持続します。
2か月ぐら経ったら、
追肥といって追加の肥料を与えます。
ところが慣れないと
「肥料が足りないんじゃないかな?」って不安になり
1回目の肥料から1か月もたっていないのに、
追加の肥料を与えてしまう方が多いのですが、
これは、やめた方がいいですね。
肥料を与える間隔は、しっかりあけましょう。
失敗する原因の多くは
肥料のやり過ぎ、または、水のやり過ぎです。
水やりも「週に2〜3回」と本に書いてあるからと
雨が降っても週に2〜3回、
水をあげてしまうと、やり過ぎなんですよね。
だから、水やりは回数よりも
プランターを持ち上げたときの重さで
判断するといいですよ。
水をやった後に持ち上げてみて、その重さを覚えておいて
2〜3日してから持ち上げてみる。
「まだ重いな」と思ったら、水をあげなくていいんです。
6:鬼になって摘芯(てきしん)を!
摘芯とは、茎の先端をカットする作業です。
先端を切ると脇芽の成長が促されるので、
1回目の開花が、よりボリュームアップします。
買ってきた花苗を、そのまま植えて咲かせる、
というやり方も悪くはないんですけどね。
私たちプロはペチュニアを購入したら、
すぐ、茎の頂点に咲いている花を
全部、取ってしまって丸坊主にします。
これを園芸講座で実演すると
「先生は鬼だ!!!」ってよく責められます(笑)。
ですが、摘芯をすることで枝数がグッと増えて
ボリュームが出ます。
だから、買ったらすぐに花を切る!
みなさん、鬼になりましょう!(笑)
ハサミでもいいけど、手で簡単にポキッて折れますよ。
7:6月と9月にバッサリ切り戻す!
1回目の花が終わると株が疲れてきます。
そこで、切り戻しをすることで
株を元気にして、全体の形を整えます。
半分ぐらいにバッサリと切って、
緩効性化成肥料を適量、施しましょう。
「そんなに切るの?」って、よく心配されますが(笑)
一重咲きだと3週間、八重咲きだと4〜5週間で、
また花が咲き出しますから安心してくださいね。
と言われても、初めての方は不安ですよね。
もったいなくて切れない。
そこで、ペチュニアの切り戻しの
理想的なタイミングは6月と9月なので
6月と9月の2回、強制的に「切る」ことをオススメします。
特に、梅雨には雨が降って蒸れるし、
花が雨に濡れると溶けたりカビたりするのでね、
6月に1度バッサリ切って
梅雨の期間を、花のない状態で乗り越えたほうが
株の通気性も良くなりますよ、
また、7月から8月に花が咲いた後、
9月の頭に「夏の間、お疲れ様でした〜」の意味で切って追肥し、
10〜11月まで花を楽しみましょう。
8:枯れた葉や花がらは、曜日を決めて取り除いて!
病気を防ぐには、枯れた葉や花をこまめに取り除くことが大事です。
と、頭では分かっていても、
なかなかできないのが人間というもの。
そこで僕は「水曜日は花がらデー」といった感じで
毎週水曜に、枯れた葉や花がらを取ると決めて習慣づけています。
黄色くなった葉っぱは、おおよそ弱っています。
または役目が終わった葉っぱです。
枯れた葉っぱがあると、枯れた葉っぱが増えるので
黄色くなった葉や枯れた葉を見つけたら、
すぐに取り除いてください。
とくに、苗の一番下の葉っぱは黄色くなって当たり前。
さっさと取り除きましょう。
Q&A
Q:ペチュニアを元気に咲かせるコツは?
A:蒸れると病気になりやすいので、風通しに気をつけて!
ペチュニアの鉢を風通しの悪い場所に置いたり、
尺鉢に4〜5株も植えると
葉っぱが密になって蒸れてしまい
カビてしまうことがよくあります。
うどんこ病や灰カビ病が発生します。
豪華に見せようと思うと
1つの鉢に詰め込んでしまいがちですが、
そうすると蒸れて病気になってしまうので、
しっかりと間隔をあけて植えてくださいね。
Q:害虫を見つけたら、どうすればいい?
A:害虫は、クスリとコーヒーで撃退!
ヨトウムシという、プニュプニュして触ると気持ちのいい
毛のない幼虫がペチュニアの葉っぱをかじりまくるんですよ。
僕は見つけたら容赦なく手で潰すんですけど(笑)。
オルトラン粒剤を適量まいておけば、
だいたい1週間ぐらいでいなくなりますよ。
害虫を見つけたり、
虫に食べられた葉っぱを見つけたらクスリをまく、
そんな感じで大丈夫です。
あとは、ナメクジですね。
「ナメトックス」とか、忌避剤「なめたらあかん」とか、
いろいろなクスリがありますが
僕はコーヒーを使っています。
僕はコーヒーが嫌いなんですけどね(笑)。
ナメクジもカフェインが苦手なのです。
コーヒーを淹れた後の出涸らしを半日干すと
パサパサに乾燥します。
それを植木鉢の周りに、少量でいいから
パラパラっとまくとナメクジが近寄ってこないんですよ。
一度、お試しください。
ヨトウムシも来なくなります。
ただし、コーヒーの量が多過ぎると
根の生育を抑制しちゃうので、
本当に、ごく少量、パラパラッとね。
Q:冬になって枯れてしまいました(涙)
A:「冬になって枯れちゃった」と
悲しんだり、落ち込んだりしないでくださいね。
それが一年草というものです。
通常の岡山の暖かさなら冬越しも不可能ではないですが
2021〜2022年の冬は寒かったので難しかったのでは。
冬越しにチャレンジしたい場合は、
霜が当たらない環境を整えてあげましょう。
Q:ペチュニアとサフィニアは異なる品種?
A:サフィニアはペチュニアの一種です。
日本でペチュニアといえば「花」のイメージですが
原産地の南米では、花よりタバコとして
楽しまれた植物なのだそうです。
世界のバイヤーが「面白い花だ」とピックアップして
普及するようになったんですが
日本で人気に火がついたのは、今から30年ぐらい前。
サントリーさんが日本の気候に適した品種「サフィニア」を生み出し、
「国際花と緑の博覧会(大阪花博)」で紹介したのがきっかけです。
会場の入り口付近にサフィニアの赤紫の花が
わぁっと垂れるように咲いていて、
訪れる人がみんな「綺麗!」って絶賛。
一気に評判になったんですね。
実は、それよりずっと前に「サカタのタネ」さんは、
世界で初めて八重咲きの品種を改良。
それを元に交配が繰り返されて、
八重咲きの品種がたくさん生まれてきました。
花の大きさは3~5㎝の小輪・中輪種が主流ですが、
最近、10cmぐらいの大輪の品種に人気が出てきていますよ。
投稿日:2022年2月4日