第55回推し球根NO.1 「チューリップ」
みなさん、こんにちは!
園芸研究家の矢澤秀成です。
毎年、秋になると
何万球という、ものすごい数の球根を植えています。
その中でも、やっぱり1番多く植えるのは
「チューリップ」。
春の寄せ植えにも花だんにも
チューリップは欠かせませんよね!
今年2024年は、寄せ植えに使いやすい
小型チューリップを多めに発注しました。
もちろん、大輪も使いますが
小型もあると、とても便利なんですよ。
それ以外は、いつもどおり原種を20〜30種類ぐらい
使う予定です。
みなさんも、そろそろ春の準備を
はじめませんか?
ということで、第55回は「チューリップ」のお話です。
目次
1:チューリップについて
チューリップは、ユリ科アマナ(チューリップ)属の
多年草(球根植物)です。
原産地は、中央アジアから地中海沿岸地方と呼ばれるエリア。
開花期は3月〜5月。
耐寒性は強いですが、
耐暑性は中。夏季は休眠します。
栽培条件としては、
日当たりを好むので日なたへ。
加えて、水はけや風通しの良い場所が適しています。
2:品種はたくさん!
世界中で販売されているチューリップ。
なんと品種は約5000種以上あると言われています。
色も咲き方も多様。
複色タイプも多いです。
庭植えの場合、
1度にたくさん植えた方がかわいいのですが
ここで、気をつけたいのは
どんな品種を選ぶかによって
庭の印象がガラリと変わっちゃうこと。
だから、品種選びはとても大切です。
色合いとか、草丈、
花の大きさなど、
ラベルをしっかり確認して購入してくださいね。
また、合わせる植物を考えることも大事。
ビオラ・パンジーと合わせるなら
補色になる色を考えましょう。
赤とか、ちょっと黒っぽい色も合いますよ。
または、ビオラ・パンジーがオレンジだったら
同系色にしちゃうとかね。
色のイメージをまず、頭で思い描いてから
選ぶといいですよ。
チューリップ同士を合わせてもいいです。
ただし、その場合は同じ時期に開花するものを選ぶと
赤、白、黄色、が同時に咲いてキレイですよ。
反対に、開花期をずらす方法もあります。
ひと重咲きが先に咲いて、その後から八重咲きが咲いてくる、
こんな感じでチューリップがリレーするかのように
ずっと咲き続けるようにします。
こうすると開花期も3週間ぐらいに長くなりますよ。
3:なるべく大きな球根を選ぼう!
やはり、球根は大きい方が安心できますね。
チューリップの球根サイズは
胴まわりの長さで決まっています。
サイズ表示では10とか11、12など
胴まわりが10cm以上の球根がオススメです。
テープ付が12㎝UP
10cm以下だと、ちょっと花がちっちゃくなるんですよ。
お値段は安くなりますけどね。
4:球根の植え付けは11月に!
瀬戸内地方でのチューリップの球根植え付けは、
11月におこないましょう。
下旬には根が生えていると思います。
あまり遅い時期に植えると
根が張らないうちに冬になってしまうので
あんまりいい花が咲かなくなっちゃうんです。
クリスマスまでに植えれば
なんとか花は咲きますが
11月に植えるようにしましょう。
庭植えの場合は
水はけが良くて水持ちもいい土がいいので
土が固い場合は、あらかじめ堆肥や
腐葉土をすき込んでおくと良いでしょう。
ちなみに、
私は100球以下の場合は、
植え付けの時に、球根の皮をむくよう
指導しています。
皮をむいた時に、
外側の茶色の皮と内側の皮の間に
カビがないかどうかチェックしてください。
カビが生えていると、
植えた後にカビが球根の中に入り込んで
フザリウムという病気になってしまうんです。
カビには注意が必要です。
ただし、キズとカビを見間違わないように。
球根がオランダから輸送されている間に
打ち身や捻挫の跡みたいなのが
できてしまっています。
それをカビと見間違えちゃう人も多いです。
5:球根の向きを確認しよう
チューリップの球根を上から見て
平らな面を腹、丸みのある方を尻と言います。
植え付ける時は、見てくれる人に
お尻を向けないように植えます。
腹を向けて植えると言ったほうが
間違えないかな。
そうやって、向きを揃えると
花の向きもキレイに揃います。
6:植え付け(花だん・庭植えの場合)
球根の向きを揃えたら
次は、球根と球根の間を
だいたい25cmくらいあけて(品種にもよるんですけど)
植え付けていきます。
この時、庭植えの場合は、
球根2〜3個分の深さのところに植えていきます。
また、花だんでは、
一緒に植える他の植物と比べて
背が高いかどうか、
どれを前に植えるかなど
事前に考えておきたいので
茎が何cmまで伸びるのかなど
ラベルに書いてある情報をよく読んでくださいね。
一方、球根を投げて植える、
そういうやり方もあるんですよ。
自然な感じに植えられるので
これは、これでいいと思うんですけど。
ただ、この植え方だと球根の向きがめちゃくちゃになります。
自然な感じにバラまかれるんですが
見ていて、あまり美しくはないと思うんですよね。
とはいえ、たくさん植える場合は
投げて植えるやり方もあることを覚えておくと
いいかもしれません。
7:植え付け(プランター・鉢植えの場合)
まず、プランター・鉢を用意します。
チューリップの球根は
地中深く植えた方が安定して成長するので
できるだけ深さのあるものを用意しましょう。
鉢の深さが30cmぐらいあれば
地表から球根2個分の深さのところに
植え付けられると思います。
チューリップの原種の球根は、
もともと砂漠みたいなところに
咲いていたものなので結構、深く
植える必要があるんです。
また、私は1つの球根を
10年〜20年くらい
植えっぱなしで使っているんですが
そのためには夏越しが必要です。
あまり浅く植えると
球根が夏越しできないので
夏越しのためにも、
10cmから15cmくらい掘って
球根2個分の深さで植えるようにしましょう。
土は、「草花用培養土」または
「球根用の培養土」を使います。
1枚目の大きな葉が
球根の腹側から出てくるので
鉢の外側に腹を向けて植えるようにします。
8:水やり・肥料について
根が張るまでの1か月間は、
土の表面が乾いたらしっかり水を与えましょう。
庭植えの場合は、最初に水をやったら
そのあとは不要。ひどく乾燥するとき以外は水やり不要。
意外と冬の間に乾いちゃうことがあるので
その時は、水をかけてあげます。
鉢植えの場合はウォータースペースに水がたまり、
鉢底から水が流れ出るまで水やりします。
肥料は、植え付けの2週間後と、
芽が動き出す3月上旬ぐらいに
粒状の緩効性化成肥料を適量パラパラとまけばOK。
(チューリップ専用肥料もあります)
3月上旬以降は、
肥料をやらないで。
注意点としては
日差しを好むけれど、
寒さに当てないと茎が伸びず、
花が咲かないことがありますので
戸外に置いて寒さに当てることが大切です。
9:花が終わったら球根を大きくしよう
花びらがしおれ始めたら花がら摘みをします。
花首のすぐ下で、茎を残してポキッと摘み取ります。
茎は光合成をするので残した方がいいんです。
球根に栄養がまわるよう、
花茎と葉を残して球根をふとらせましょう。
鉢植え・庭植え、いずれの場合も、
葉が葉が黄色くなって枯れ始めたら
水やりをしなくてもいいです。
また3月上旬以降に、肥料を与えると
休眠中の球根が腐り易くなるので注意しましょう。
10:球根を掘り上げて保管する場合
私は、球根をそのまま植えっぱなしの状態で
夏越しさせています。
でも、暖かい地域では、球根を掘り上げる方が
腐らず安心だと思います。
その場合、
5月下旬には地面より上の部分が枯れてくるので
枯れてしまったら掘り上げていいです。
6月上旬には掘り上げを完了しましょう。
晴天が何日間か続いたあとにおこなうと
ラクに掘り上げられますよ。
掘り上げた球根は、
土をよく落としてネット状の袋やザルなどに入れ
風通しが良い日陰で干し、
その状態で11月まで保管します。
11:病害虫対策
最も気をつけたい病気は「フザリウム」です。
球根に生えるカビが原因になります。
球根を植える前に
皮をむいて、カビが生えていないことを確認してから
植え付けるようにしましょう。
これ以外では、ウイルス病がありますが、
原因となるウイルスは、
購入した時点ですでに球根の中に侵入しているので
防ぎ用がないんですよね。
もしも、葉っぱにモザイク状の模様が出ていたら
球根にウイルスが入ってしまった状態だと思います。
対処の考え方は、2つ。
すぐに抜いて捨てるか、花が咲いてから捨てるか。
ウイルス病が出ても花は咲くので
花を咲かせたあとで処分する、でもいいと思います。
葉っぱは奇形になるけど
花は、見ただけでは違いに気づかないかもしれません。
ただし、他にうつるといけないので
最終的には「捨てる」という選択をしてくださいね。
害虫はアブラムシに気をつけて。
3月頃、つぼみの部分に発生することがあります。
見つけたらすぐ捕殺し、大量発生を防ぎましょう。
できれば、事前にアブラムシ用の薬をかけて
予防しておくことも大切です。
第56回目は、バラについてお話しします。
11月27日ごろ投稿ですので、次回もお楽しみに!
投稿日:2024年11月13日