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矢澤先生によるコラム 教えて!矢澤先生!

育種家として第一線で活躍する
矢澤秀成さんによる園芸の旬な情報をお届け

第66回暑さに強い「コリウス」を長く楽しもう!

みなさん、こんにちは!

園芸研究家の矢澤秀成です。

 

夏の花壇や寄せ植えにも大活躍のリーフプラント

といえば「コリウス」です。

 

昔、ドイツなど海外の国々をまわって、

いろんなコリウスを集めたことがあります。

色のバリエーションが豊富だから花とも合わせやすいし、

組み合わせを考えるのも楽しいですよね。

葉っぱだから楽しめる期間も長い。

しかも、熱帯うまれの植物だから

最近の酷暑の中でも元気に育ちます。

コリウスは失敗することが少ないので

ぜひ一度はトライしてほしい植物ですね。

 

ということで、第66回は、

「コリウス」についてお話します。

 

 

1:コリウスについて

コリウスはシソ科コリウス属の植物です。

原産地は東南アジアで生育適温15℃〜30℃と

暑さには強いのですが

日本の寒さには耐えられないので

通常、1年草として扱われています。

 

日照条件は半日陰ですが、

斑の入り方や品種によって

日なたでも大丈夫なものもあります。

 

開花期は6月から10月ぐらい。

コリウスはカラフルな葉を鑑賞するカラーリーフで、

花はあまり目立たないんですけどね。

また、花を咲かせずに育てると、

初夏から秋まで長く楽しめるので

花が咲いたら取っちゃう方もおられますね。

種ができると株が弱ってきちゃうんで、

花を取った方が長くもつんです。

 

だけどね、花もキレイなんですよ。

タテ方向に伸びる花って、貴重だと思いませんか?

私は好きですけどね。

 

なので、私は割と花をつけたままにしています。

種ができたら「すぐトル」。

それでいいんじゃないかな?

夏の暑い季節だから、メンテナンスもラクなほうがいいですよね。

 

 

2:最近は栄養系の品種が人気!

コリウスの品種は、とても豊富。

なかでも最近は、挿し木で増やす「栄養系」の大型タイプが人気です。

「サカタのタネ」のゴリラシリーズ®️が有名ですね。

このゴリラシリーズ®️は1株でもかなり大きくなるので、

寄せ植えの鉢にほかの植物と一緒に植えたら、

コリウスだけ大きくなってびっくりするかも。

ほかの植物を弱らせてしまう可能性大なので

1株だけで鉢植えしたほうがいいでしょうね

 

一方、「ハルディン」というメーカーのコリウスは

寄せ植えにぴったりのサイズの品種が多いです。

「ハルディン」コリウス
「ハルディン」コリウス
「ハルディン」コリウス

苗を購入する時に、この苗は寄せ植えできるのか、

どれくらい大きくなるのか、売り場で聞いたり

調べたりしておくといいですよ。

 

一方、コリウスの葉には、いろんな色があって楽しい反面、

どの色の花を合わせたら良いのかわからないという方も多いです。

寄せ植えする場合や、花壇に植え込む場合、

私はコリウスの葉っぱとは反対の色

(色相環上で反対の位置にある、補色の関係)の

植物を合わせて楽しむことが多いかな。

黒っぽい葉のコリウスに黄色や白の花を合わせるとか

黄色い葉のコリウスに青紫色の花を合わせるとキレイですよ。

コリウスの寄せ植え
コリウスの寄せ植え
コリウスの寄せ植え

 

 

3:6月中に植えつけよう!

コリウスはシソ科の植物なので

気温が低いと生育が良くないのです。

だから、気温が十分に上がってから

苗を定植するようにしましょう。

6月中に植えつけるのが理想でしょうね。

7月に入ると暑くて作業も大変だし、

植えつける時に根を切ってしまうと株が弱っちゃうからね。

 

土は、水はけと保水力のバランスの良い用土を使いましょう。

鉢植えの場合は基本的に市販の培養土で大丈夫です。

花壇植えの場合は、堆肥を入れて、

土をふかふかにしてから植えつけて。

花と野菜の土
バーク堆肥

その後、根が張ってくる2週間後ぐらいを目安に

緩効性化成肥料をパラパラと適量まくようにします。

緩効性化成肥料

 

 

4:真夏の強い日差しと西日は避けて!

ほとんどのコリウスは夏の強い日差しを嫌います。

午前中は日が当たるけど午後は日陰とか、

木もれ日が差すような場所、

「明るい日陰」を好む品種が多いですね。

鉢植えの場合は、水切れの危険もあるので

真夏の間だけ庭木の下に移動するなど、

強い日差しと西日から遠ざけてあげましょう。

 

とくに、白や黄色の斑が入る品種は

日差しに弱い傾向にあります。

庭の木陰に、白い斑入りの葉があるとすごく映えるので

そういう場所を探してあげてくださいね。

 

反対に、あまり暗過ぎる場所では

コリウスの美しい葉色が映えませんし、

葉の色も悪くなってしまうので、

木もれ日が差すような、適度に「明るい日陰」を選ぶことが大切。

 

ただし、品種によっては日なたでも

元気に育つものもあります。

斑の少ない濃い緑色のコリウスや

黒っぽい葉っぱのコリウスは

意外と日なたでも元気なんですよ。

 

 

5:水切れに注意しよう!

コリウスは結構、根が張るので乾きやすいんです。

だから、土が渇いたらたっぷり水やりしましょう。

また、葉っぱが垂れ始めたら、すぐあげた方がいいですよ。

とくに高気温が続く夏場は、水分を多く吸い上げるので、

小まめな水やりを心がけましょう。

毎日、水やりしないとしおれてしまうこともありますよ。

 

 

6:10℃以上の部屋で冬越しさせよう!

コリウスは暑さには強いけれど寒さには弱いので、

温室でもない限り、晩秋には枯れちゃうと思います。

 

そこで、もしも冬越しさせたいと思うなら、

イチョウの葉が色づき始める頃、

コリウスの成長が落ち着くと葉が落ち始めるので、

葉が落ちてしまう前に、鉢植えにして室内に取り込みましょう。

室温10℃以上の明るい室内に置き

やや乾燥気味の状態で管理できたら

冬越しできると思いますよ。

 

 

7:肥料の与え過ぎに注意!

コリウスは、ほかの草花と比べると生育旺盛です。

だからといって、肥料を与え過ぎると

丈夫な茎や葉に育たないことがあります。

葉の色が濃くなり過ぎることもあるので

肥料は、与え過ぎないように注意しましょう。

 

植えつけの2週間後に、緩効性化成肥料をパラパラと

適量まいておけば大丈夫。

あとは追肥として液体肥料を週1回、

水がわりにあげると良くなってきますよ。

このとき液肥は、通常1000倍に薄めるものを

2000倍に希釈しましょう。

緩効性化成肥料
液肥

また、7月や8月など、夏場の本当に暑い時期には

肥料を与えないほうがいいですね。

暑さで肥料成分が一気に溶け出すことがあるので

やめた方がいいです。

 

 

8:仕立てを楽しむ!

コリウスは、摘芯のやり方を工夫することで

ま〜るくこんもりとした「スタンダード仕立て」にしたり、

クリスマスツリーのような形にする「ツリー仕立て」にしたり、

いろんな仕立てを楽しむことができます。

ただ、どの品種でもできる訳ではなく、

向いている品種と向いていない品種があるので

購入前に下調べをしてくださいね。

 

初心者でも簡単ですから

納得の作品ができたらSNSにアップして

ぜひ自慢してください!

 

 

9:注意したい害虫と病気について

シソ科のコリウスには独特の匂いがあります。

その匂いのおかげで、あまり虫には好まれないみたいですね。

害虫の被害は少ないです。

とはいえ、たまにヨトウムシが

葉を食べているのを見かけますし、

アブラムシ、ハダニ、ハマキムシが発生することもありますから

スプレー式の殺虫・殺菌剤をふりかけて、

しっかり予防しておきましょう。

殺虫殺菌剤

病気についても、あまり心配はないのですが、

6月上旬や9月下旬など、1日の寒暖差が激しくなると

うどんこ病になることがあるんですね。

うどんこ病の予防としては風通しをよくすること。

下葉が黄色くなったり枯れたりしていたら、すぐ取ってあげて

風通しをよくしてあげるのが大事ですね。

ツメツメな状態で寄せ植えしていても

病気になる可能性が高くなるので

長い間コリウスを楽しみたいのであれば

間隔をしっかり開けて植えつけた方がいいと思いますよ。

 

他に気をつけたいのはナメクジ。

ナメクジになめられてコリウスが弱ることがありますので、

ナメクジのはった跡を見つけたら

気をつけて探し、見つけたら迷わず捕殺してください。

 

 

第67回目は、アナベルについてお話しします。

6月25日ごろ投稿ですので、次回もお楽しみに!

 

投稿日:2025年6月11日

 

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矢澤先生のプロフィール

ホームセンタータイム
ガーデンアドバイザー
矢澤 秀成 先生

矢澤 秀成 先生

現在、やざわ花育種株式会社、葉乃畑合同会社に所属し、代表取締役社長を務める。
種苗会社植物バイオ研究室に16年勤務し、多くの花や野菜を開発する。その間、国内新花コンテストで金賞を含む18回入賞、社内では社長賞2回受賞する。
種苗会社退職後、大手ホームセンター商品開発部長及び顧問、大手肥料メーカー顧問、パテント会社代表、野菜市場顧問、ガーデンセンター顧問などを歴任。多くの植物園などのヘッドガーデナーや監修を行う。
育種家として、多くの個性的な花や野菜、漢方薬などの新種育成を行っており、18年前から全国各地の小学生を対象にした授業「育種寺子屋」を行う。子供たち自身が交配して世界に一つだけの小さな種を作り、その種を大切に育て世界に一つだけの花を咲かせる授業を行っている。さらに「人は花を育てる 花は人を育てる」を掲げ、2002年から地域の花好きを育て、そして花の街を育てる「花のマイスター養成制度」を提案しスタートする。現在全国各地でマイスターを育てる花の学校を開校し、マイスターと共に花いっぱいの公園づくりや街づくりに取り組んでいる。
NHK総合TV「あさイチ」、NHK-ETV「趣味の園芸」、NHK長野「ひるとく」、BS-日テレ「麗しの庭散策」、SBCラジオ「ずくだせ エブリデイ」、篠ノ井有線放送「花暦」などの多くの園芸番組の講師として出演中。全国で講習、講演活動を多数行い、園芸関連多数執筆中。