第71回冬野菜の王様「ハクサイ」を育てよう!

みなさん、こんにちは!
園芸研究家の矢澤秀成です。
9月になっても暑い日が続きますが
秋冬野菜の準備が忙しいですね。
特に、鍋料理に欠かせないハクサイは絶対つくりたい、
そんな方は多いんじゃないでしょうか。
昨年の冬は、びっくりするほど値段が高かったので
1/8個サイズで買ったこともありました。
最近は、ハクサイをまるまる1個買う人が少ないから
4等分とか2等分にカットされていますよね。
すると中が見えるので
昔ながらの芯が白いハクサイよりも
黄色い芯のハクサイの方が圧倒的に売れる!
そのため、黄色の品種が増えているみたいですよ。
ということで、第71回は、
「ハクサイ」についてお話します。
1:ハクサイとは
ハクサイは、地中海沿岸が原産地のアブラナ科の野菜です。
中国にわたって改良されて、
球になるようになったんですよ。
生育適温は20℃程度。
結球期の適温が15〜17℃なので
これから準備しても間に合いますよ。
特に初心者さんには栽培期間が短い早生種がおすすめです。
ほんとにスグできるから。
早生種の小さめの球なら
畑でもプランターでも成功しやすいので
初めてハクサイを育てるなら
早生種から挑戦してみましょう!
苗も売ってますけど、種からでも育てやすいですよ。




2:芯の黄色い品種が人気!
ハクサイの芯の色は、昔は白だけでしたが
私が18歳 ぐらいの時だから、
今から40年前くらいかな。
珍しい黄色い芯のハクサイができたんです。
タキイ種苗さんが胚培養というバイオテクノロジーで生み出した
オレンジクインという品種です。
その頃は、まだ固定できてなかったんですけど
タキイ種苗さんは時間をかけて
品種を確立させたんですよ。
いまは、「黄ごころ」をはじめ、
芯の黄色い品種がたくさん増えました。
黄色系は人気がありますね。


最近はネコブセンチュウに抵抗性のある品種もありますから
特徴を見比べて選んでくださいね。
3:根が回らないうちに植えつけよう
植えつけ場所は
日当たりと風通しがよければ大丈夫です。
プランターでも育てられますが、
大きくなる品種は
大きいサイズの菜園プランターで育ててくださいね。

土は、プランターの場合、野菜用の培養土でOKです。


畑に地植えする場合は、苦土石灰で土壌の酸度を調整しましょう。

堆肥も入れて、ふかふかにしてあげてくださいね。
できれば植えつけの3週間前を目安に
畑の土の準備をするといいですね。
ちなみに、その畑が何年も使われていなかった場所ならば
堆肥を多めに入れた方がいいですよ。


畝幅は、大玉の系統だったら60cm、
小球だったら40cmあれば十分だと思います。
株間は広めにとってくださいね。
タネから育てる人は、
ポリポットにタネまき用の土を入れて
タネを3〜4粒まきます。
芽が出たら間引いて最後は1本に絞りましょう。
そして、根が回る前に定植すること!
ハクサイは発芽が早く、
2〜3日で双葉が開いちゃう。
だから油断すると根が回っちゃうので、
早めに植えつけてくださいね。
苗の場合も、買ってきたらすぐ
根が回らないうちに植えつけましょう。
4:夏野菜の後作にもぴったり!
この夏に、何か野菜を育てていたなら
その後作としてハクサイを植えてみませんか。
たとえば、
トウモロコシの後なら、トウモロコシの茎や葉を
短く切って畑の土の中にすき込んじゃえば
栄養分が増えて、とってもいい感じです。
キュウリやスイカなどのウリ科の後もいいですよ。
ナスやトマトの後になると、
かなり肥料分が減ってしまっているので、
もう一回、堆肥から土づくりをやってもらった方がいいですね。
5:水のやり過ぎ、水切れに注意!
植えつけ直後はたっぷり、その後は水のやり過ぎに注意です。
ただし、苗の生育期間が残暑の厳しい時期にあたるので、
畑でも水がカラカラの状態だったら
苗が小さいうちは水切れに注意してあげた方がいいです。
根が張ってからは、
そんなに一生懸命水やりしなくてもいいですよ。
最近は10月の半ばぐらいまで暑いんだよね。
去年なんて、この時期の暑さで苗が溶けちゃってね
それで不作になったから値段も高かったんですよね。
今年も10月がすごく暑そうだから
プランターで育てて、
ちょっと涼しい場所に置いて
育ててみるのもいいと思いますよ。
6:そのほかのお手入れ
肥料は、タネをまいた後、あるいは、苗を植えつけてから
だいたい2週間後に緩効性化成肥料を適量施します
大玉系の場合は、その後、もう1回ぐらい
追肥をしたほうがいいと思います。

次に、ハクサイ栽培の課題は
ハクサイが美味しいからこそ、すぐ害虫に食べられちゃうこと。
ヨトウムシもネキリムシも、
みんなハクサイが大好きです。
虫だけじゃない、鳥やウサギにも狙われています。
なので、タネから育てる場合は、
タネまきしたらすぐ、
白の寒冷紗でトンネルを作って
鳥や虫から守りながら
育苗したほうがいいですよ。


7:「ポタジェ」を作って花も楽しもう!
最近、ガーデンの中に
「ポタジェ」をつくって遊んでいます。
「ポタジェ」はフランス語で、収穫と鑑賞を兼ねた庭のこと。
キッチンガーデンっていう呼び方もありますが
「ポタジェ」がいいと思うなぁ。
私はね、ハーブとか、草花と一緒に
いろんなアブラナ科の野菜を育てて
菜の花を咲かせて楽しんでるんです。
ハクサイの花、とってもかわいいんですよ。
しかも美味しい!
ハクサイの菜の花は、おひたしにしてもいいけど、
ツボミがすごく柔らかくて美味しいのでね、
お寿司や天ぷらにもオススメです。
8:気をつけたい害虫と病気「ポタジェ」を作って花も楽しもう!
ハクサイは、美味しいからね、ムシたちも大好きなんですよ。
ダイコンハムシ、アオムシ、ハイマダラノメイガ(ダイコンシンクイムシ)、
カブラハバチという黒い芋虫みたいなの、
アブラムシ、ヨトウムシ、コナガ、ハクサイダニ…、
もう、オンパレードですよ。ナメクジもきますよ。
だから害虫対策は必須!
まず、ハクサイの周りの雑草は刈り取るように。
それから、防虫ネットまたは寒冷紗をかけて
外から飛んでくる虫を防ぎます。
虫除けのために、近くでレタスやニラも育てていますよ。
気をつけたい病気は根こぶ病。
根っこの部分にこぶができるんだけど、
こぶができると水や栄養の吸収が妨げられて
発育も悪くなっちゃうので困るんですよね。
予防のためには、まず連作をしないこと。
次に、土の酸度を調整すること。
根こぶ病の原因は、カビの一種である糸状菌です。
糸状菌はアルカリ性に弱いので
苦土石灰を土に撒いてから植えつけるなど、
少しでもアルカリ性の方向に調整すると
予防することができます。
それでも根こぶ病が出てしまったら、
その畑の作物は、全部抜いてください。
悲しいですが、多めに石灰をまいて殺菌した方がいいです。
表面が白くなる程度でいいので石灰をまきます。
その時、ちょうどよく雨が降ればいいけど、
雨が降らない場合はシャワーで水をまいて
石灰を浸透させてあげましょう。
この作業を、一週間に1回のペースで3回繰り返します。
すると、次に使える畑になりますよ。
ナメクジは、コーヒーが大嫌いなので
よく乾かしたコーヒーカスをハクサイの周囲にまくことで防げます。
ナメトールなどの農薬もありますが、
ビールを使ったトラップ(罠)も試してみてください。
ペットボトルを半分の長さで切って蓋をして、
蓋が下側の状態で土に刺してビールを入れるだけです。
夜に仕掛けておけば
ニオイに誘われてナメクジがかかりますよ。
容器は使い捨ての、深めのプラスチックコップでもいいです。
ただし、第三のビールではナメクジは寄ってこないんですよ
コスパが悪いんだよね。
私が試した中では、キリンの一番搾りか、
サッポロのエビスで捕まえることができました。
Q&A
Q:ハクサイが結球しませんでした。どうしてですか?
A:タネまきの時期が遅かったり、植えつけが遅れたりすると結球しそうでしない状態で終わることがありますので「適期」を意識しながら、ハクサイ作りに挑戦してみてくださいね。
Q:一度にたくさんできてしまってたいへん!どうやって保存したら良いですか。
A:ハクサイが結球したら、すぐ収穫して食べていただくのが一番だと思いますが、もしも広い畑で10個も20個も育てているならば、寒くなる前=霜が降りる前に、外側の葉っぱで球を包むようにして、葉っぱの上部を紐でくるっと縛り、畑で保存したらいいですよ。
霜枯れしないようにする対策でもあるので、寒くなってから行っても十分、間に合います。
第71回目は、ホスタについてお話しします。
9月24日ごろ投稿ですので、次回もお楽しみに!
投稿日:2025年9月10日