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矢澤先生によるコラム 教えて!矢澤先生!

育種家として第一線で活躍する
矢澤秀成さんによる園芸の旬な情報をお届け

第76回飾って楽しい「ユーカリ」を育てよう!

みなさん、こんにちは!

園芸研究家の矢澤秀成です。

 

早いもので、もうすぐクリスマス!

私はリース作りが好きなので

忙しいけれど、好きな季節でもあります。

みなさんは、いかがですか?

 

さて、リースやドライを使うアレンジに

人気の材料といえば、ユーカリですね。

 

ユーカリの葉には抗菌作用があるから

風邪や感染症の気になる冬に、

ユーカリをお部屋に飾るのはいいんじゃないかな。

 

ユーカリと聞くと

コアラをイメージする方も多いと思うんだけど

私は昔、コアラの餌になるユーカリを選ぶ!

という仕事をしたことがあるんですよ。

 

オーストラリアから30種類のユーカリを輸入し、

栽培試験までして、コアラ様のために厳選いたしました(苦笑)。

なので、ユーカリのことならなんでも聞いてください!

 

ということで、第76回は、

「ユーカリ」についてお話します。

 

 

1:ユーカリについて

ユーカリは、フトモモ科ユーカリノキ属に分類される常緑の高木です。

原産地はオーストラリア、東南アジア、ミクロネシア。

生育適温は15℃から25℃です。

耐暑性は強いですが、耐寒性は中くらい。

 

日本の気候によく合う上に

とても栽培しやすいので初心者さんにもオススメです。

お庭のシンボルツリーとしても人気がありますね。

スーッっとしたハーブのようないい香りがするから

室内グリーンにもいいと思います。

 

だけど、ユーカリの葉っぱには毒性があるので

食べちゃダメですよ!

コアラが食べてるから大丈夫、

みたいに思う方が多いですけど

コアラには毒を分解する能力があるんです。

コアラは特別なので、

小さなお子さんやペットと一緒に暮らしている方が

ユーカリを室内に置く場合は

ちょっと気をつけてくださいね。

 

あと、樹高は5 mから50 mまで。

高さは品種によってずいぶん異なるので

インターネットで買う場合は

購入前に、よ〜く調べてください。

50mまで大きくなったら大変だから。

 

また、大きく育つ品種は

折れやすいというデメリットもあります。

 

ホームセンターで販売している品種には、

そこまで大きくなるものはないけれど

地植えをすると家の軒くらいまでは育つ可能性があるからね、

鉢で育てた方が高さはコントロールしやすいですよ。

 

 

2:品種は何百種類もあります!

ユーカリの品種は驚くほど多いです。

900種類を超えているみたいですね。

 

葉っぱの形も、まるっこいのから

ヤナギのような細長い葉まで、いろんな種類があります。

グニ―
ブリッジシアナ
カンフォーラ
ポプルネア

樹高も、低木から数10 mになる高木まであります。

 

耐寒性も品種によって随分異なります。

気温がマイナスまで下がって霜が降りると

いたむ品種もあるんですが

だいたい、0℃くらいなら大丈夫ですね。

-5℃くらいまで下がる長野でも

屋外で育っているユーカリもありますよ。

 

とにかくユーカリは

品種によって性質が大きく違うので

必ずタグを見て、どれくらいの寒さまで耐えられるか、

どれくらい大きくなるかを

チェックしてから購入してくださいね。

 

大人気の品種は、ハートみたいな葉っぱが

とってもかわいらしいポポラス!

フラワーアレンジやリース、スワッグなどにも

よく使われています。

ポポラスの銀色っぽいものも素敵ですよ。

そのほか、レモンの香りがするレモンユーカリも人気ですね。

ポポラス
レモンユーカリ

 

3:日当たり、水はけ、風通しのよい場所で育てよう!

ユーカリは基本的に

半日以上日が当たる場所を好みます。

日当たりがよく、

水はけ、風通しの良いところで育てましょう。

 

根の張りが浅いので

地植えする場合は、畝をつくらずに植えてください。

畝をつくると根っこが出てきて

倒れちゃうといけないからね。

鉢植えの場合は、重たい鉢の方がいいですね。

その方が安定すると思います。

鉢に植えておけば、根の生長を抑制するので

そんなに大きくならないでしょう。

 

水やりについては、

地植えの場合は根が張るまではしっかり水やりしますが

その後は基本的に不要です。

鉢植えの場合は、土の表面が乾いたら水をたっぷりあげてください。

 

水やりで気をつけたいのは

夏季の蒸れですね。

夏の蒸れによって枯れることもあるので危険です。

水は、やらなきゃダメなんだけど

土がぐちゅぐちゅになるほど

湿らせちゃダメなんですよ。

あげるときは、しっかり与えるけれど

水を切らす時間も必要。

メリハリのある水やりをしましょう。

 

あと、強い直射日光による葉焼けにも注意しましょう。

葉焼けすると見た目が悪くなるので

夏場は、20%遮光ぐらいの白の寒冷紗を

かけてあげた方がいいと思いますよ。

鉢植えの場合は、風通しのよい

半日陰に移動するといいでしょう。

白寒冷紗22%遮光

冬は、寒さに耐えられる品種はそのまま屋外で、

寒さに弱い品種の場合は鉢植えにして

冬は室内へ移動し、

太陽の光がよくあたる部屋で管理しましょう。

 

 

4:肥料の与え過ぎに注意!

肥料については植え付けの2週間後に

粒状の緩効性化成肥料を規定量施します。

緩効性化成肥料

その後は、3月下旬から4月下旬に

緩効性化成肥料や有機質肥料の

追肥を適量与えましょう。

有機質肥料 発酵油かす大粒
有機質肥料 発酵油かす中粒

ただし、栄養を与えると

大きくなっちゃう可能性があるからね。

追肥はやらなくても大丈夫ですよ。

その後の肥料も、年1回で大丈夫です。

 

 

5:1年に1回のペースで剪定しよう!

ユーカリは生育が非常に旺盛なので

剪定をちゃんとしないと

大変なことになります。

 

剪定は1年に1回ぐらい行った方がいいですよ。

 

毎年、剪定するなら

市販の剪定バサミで切れると思います。

太くなったらノコギリを使うことになるので

太くしないように、毎年、切りましょう。

 

込み入った枝を切ることで

風通しが良くなり、

樹形も保つことができますよ。

 

剪定することでアブラムシの予防にもなります。

アブラムシはユーカリが大好きなのでよくつきます。

大きくなったユーカリにアブラムシがつくと本当に大変。

5 mぐらいまで届く殺虫剤はあるけどね、

それをシューッとかけるのも、大変ですよね。

 

だからこまめに剪定して、

アブラムシを予防しながら樹高も抑制しましょう。

 

 

6:1年に1回程度、植え替えよう!

植え替えのペースは年1回程度です。

 

鉢植えの場合は根切りをして、

ひとまわり大きめの鉢に植え替える、または

大きくしたくない場合は

同じ鉢に植えてあげるといいでしょう。

 

地植えの場合は硬質の赤玉土の小粒と

パーライトをすき込んでから植え付けるといいですよ。

その方が根詰まりを防げます。

硬質赤玉土小粒

庭植えの場合は大きくなるので、

根っこを切ってあげてね。

 

もし、増やしたいなと思ったら

さし木で増やせます。

でも、なかなか発根しないんですよ。

なので、若い枝をさして、

切り口にルートンなどの発根剤を

つけた方が早く発根しますよ。

 

ルートン

 

7:気をつけたい害虫と病気

病気についてはカビが原因の

斑点病、うどん粉病、すす病ですね。

 

アブラムシがついたら、アブラムシの糞尿が原因で

スス病になっちゃうことがあるんですよね。

 

また、水不足あるいは水のやり過ぎが原因で

葉っぱが茶色く枯れてしまうことがあります。

 

害虫はアブラムシのほかに、

ハダニ、カイガラムシがつくことはありますが

基本的に、そんなにたくさん

害虫被害にあうことはないでしょう。

 

一番気をつけたいのは、アブラムシ。

手の届かないところにアブラムシがいっぱいついたら

もう大変ですからね。

早めに薬を散布して予防しましょう。

ベニカファインスプレー

 

Q&A

Q:ユーカリを買ってきたら、すぐ植え替えた方がいいですか?

A :市販のユーカリの場合、だいたい根が鉢の中で回ってしまうくらい伸びていると思うんですよね。だから、購入してきたら早めに、ひとまわり大きめのロング鉢に植え替えてあげたほうがいいですよ。

 

第77回目は、寒肥についてお話しします。

12月10日ごろ投稿ですので、次回もお楽しみに!

 

投稿日:2025年11月26日

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矢澤先生のプロフィール

ホームセンタータイム
ガーデンアドバイザー
矢澤 秀成 先生

矢澤 秀成 先生

現在、やざわ花育種株式会社、葉乃畑合同会社に所属し、代表取締役社長を務める。
種苗会社植物バイオ研究室に16年勤務し、多くの花や野菜を開発する。その間、国内新花コンテストで金賞を含む18回入賞、社内では社長賞2回受賞する。
種苗会社退職後、大手ホームセンター商品開発部長及び顧問、大手肥料メーカー顧問、パテント会社代表、野菜市場顧問、ガーデンセンター顧問などを歴任。多くの植物園などのヘッドガーデナーや監修を行う。
育種家として、多くの個性的な花や野菜、漢方薬などの新種育成を行っており、18年前から全国各地の小学生を対象にした授業「育種寺子屋」を行う。子供たち自身が交配して世界に一つだけの小さな種を作り、その種を大切に育て世界に一つだけの花を咲かせる授業を行っている。さらに「人は花を育てる 花は人を育てる」を掲げ、2002年から地域の花好きを育て、そして花の街を育てる「花のマイスター養成制度」を提案しスタートする。現在全国各地でマイスターを育てる花の学校を開校し、マイスターと共に花いっぱいの公園づくりや街づくりに取り組んでいる。
NHK総合TV「あさイチ」、NHK-ETV「趣味の園芸」、NHK長野「ひるとく」、BS-日テレ「麗しの庭散策」、SBCラジオ「ずくだせ エブリデイ」、篠ノ井有線放送「花暦」などの多くの園芸番組の講師として出演中。全国で講習、講演活動を多数行い、園芸関連多数執筆中。