第59回「ミモザ」で感謝を贈ろう!

みなさん、こんにちは!
園芸研究家の矢澤秀成です。
いろんな人に花を贈ることが多い私ですが
それでも花束はね、ちょっと照れちゃう。
だから、鉢モノにすることが多いかな。
今年も3月8日「ミモザの日」が近づいてきました。
イタリアでは男性から女性に
感謝の気持ちを込めてミモザを贈るそうです。
フランスでは家族に贈ることが多いみたいですね。
とにかく、ミモザはヨーロッパで
「春の訪れを告げる花」として広く親しまれているそうです。
この日は「国際女性デー」でもあるので
みなさんも身近な方にミモザを贈ってみませんか。
ちなみに、ミモザの花のツボミは
まだ残暑の厳しい9月頃から姿を現します。
暑さにも寒さにも耐えて、春までツボミのまま我慢するんですよ。
私は「ミモザ」のそういうところが好きでね。
しかも、まだまだ寒い早春に黄色い花をぱっと咲かせるでしょう?
こっちまで元気になれますよね。
ということで、第59回は「ミモザ」のお話です。
目次
1:ミモザについて
ミモザは、マメ科アカシア属の常緑樹です。
原産地はオーストラリア南東部。
ふわふわとしたポンポンのような黄色い小花を
房状に咲かせるミモザは、
とっても可愛いし、周囲が明るくなりますよね。
開花期は、3月から4月だったんですが、
最近は早まり、2月下旬には咲いてしまいます。
ちょっと花の少ない時期の黄色い花。
お庭にとっては貴重な存在ですよね。
同じ頃にクロッカスが咲くので、
ミモザの木の根元に黄色いクロッカスを植えると、
早い春を感じられる庭になって、いい感じになりますよ。
ただし、ミモザは地植えすると樹高5m〜10mまで育つので
細かな剪定が必要になります。
庭に置くなら鉢植えにして
コンパクトに育てた方がいいと思いますよ。
2:ミモザの品種は1000種以上!
「ミモザ」には1000種以上の品種があるそうです
代表的なのは、ギンヨウアカシアとフサアカシア。
そのほかでは、葉っぱがまん丸で銀葉のパールアカシア。
これは、とってもキレイですよ。
もしも、一度にたくさんの種類のミモザを見たいなら
私は、鹿児島の植物園「フラワーパークかごしま」を
オススメしたいですね。ちょっと遠いけどね。
私が監修している植物園では
新潟の「いくとぴあ食花キラキラガーデン」に
ミモザを植えているので、近くまでお越しの際は
ぜひ、お立ち寄りください。




3:「ミモザ」を育てる場所は?
「ミモザ」は日光が足りないと花が咲きにくくなるので
日当たりの良い場所を選んで育てましょう。
さらに、風通しと水はけも良い場所がいいです。
暑さには耐えられるんですが
寒さには、あまり強くありません。
山陽・瀬戸内地域なら、ずっと屋外でも大丈夫でしょうが
-3度以下になる地域では厳しいです。
-5度になると葉っぱが黒くなったり、落ちたり。
たとえば、新潟の平野部などの日本海側は
冷えても-2〜3度なので、なんとか耐えてますが
軽井沢の冬は無理みたいです。
4:水やりの頻度は少なめ
植え付けから1年間は
土の表面が乾いたらたっぷり水を与えましょう。
1年を経過したら、
長期間、雨が降らないなど
乾燥が激しい場合を除いては
水やりの必要性はありません。
ただし、鉢で育てている場合は、
乾燥したら水をやった方がいいですね。
マメ科のミモザは根の成長がとても早いので、
植木鉢で育てていたら2年ぐらいすると
鉢の中が根でいっぱいになっちゃうと思います。
なので、一度抜き取ってから土を落とし、
同じ鉢に植えるなら、ちょっと根切りしましょう。
花が終わって剪定する頃、5月ぐらいがいいでしょう。
5:植え替えは深めの鉢に
鉢の大きさに比例して、樹高が伸びるので、
どこまで大きくするかを考えながら育てましょう。
地植えすると本当に大きくなっちゃう。
しかも成長が早い!
1年間も剪定しないでおくと大変なことになるので
毎年5月に、強めの剪定をすることで
私が監修している庭では
ミモザは5 m以内におさめています。
剪定は、花芽形成が始まっちゃうんで、
間違っても5月の中ぐらいまでに終わらせてください。
遅れると花芽を切ることになっちゃうので。
小さな鉢で買ってきたら、
まずは、ひと回り大きな鉢に植え替えましょう。
ちょっと細長い、深さのある鉢がいいですね。
土は一般的な培養土で大丈夫です。

鉢植えの場合は2〜3年に1回、
4〜5月または9〜10月に植え替えを行います。
その際、水はけを良くするため、
土の中に、赤玉土を1割、軽石の細かいのを1割、
合計2割ぐらい混ぜ込んでおくといいですよ。
軽石は、パーライトでもいいですが
鉢をあまり軽くし過ぎると倒れちゃうので、
気をつけてください。
庭に直接、地植えする場合は、
事前に土づくりが必要です。
日当たりと風通しのいいところを選び
深さ30cm、直径30cmくらいの穴を掘って、
その土に腐葉土を混ぜ込んでフカフカにしましょう。
冬場、気温がマイナスになるような場所ならば、
北側に建物があると風が防げます。
さらに、支柱ですね。
1年経ったら支柱を添えましょう。
ミモザの枝は、強風でポキッと折れちゃうくらい
折れやすいので、頑丈な支柱を選んでください。
6:肥料は少なくて大丈夫
ミモザはマメ科の植物なので、
窒素固定してくれるから
窒素を含む肥料は不要です。
肥料そのものも、多く与える必要はありませんが
花がよく咲く成分を含んだ肥料を使うといいですよ。

7:「ミモザ」を増やそう!
「ミモザ」を増やしたい場合には
挿し木をする、またはタネをとって育てる
という方法があります。
挿し木は、
5月の剪定の際に短い枝を選んで
それを挿し木するのが一般的ですね。
枝に花がらがついていたらとり除き、
10 cmぐらいの長さに整えます。
根付くまでに2か月ぐらいかかるので
ルートンとか発根剤をつけるといいです。
挿し木をする場合は、
水を入れたバケツに
ちゃぽんと「切り枝」を2時間ぐらい浸してから
挿し木用の培養土にさします。
水管理をしっかりして
乾燥させないようにしましょう。
根が出たらポットに植え替え、
春になったら大きめの鉢に植えます。
挿し木でやると、2年。
植えて翌年だと、まだ花はちょっと難しいかな?
タネの場合は、まずタネの収穫から。
ミモザのタネは、マメのような「鞘」の中に入っています。
タネ鞘が真っ黒になったら採取して
1つのマメ鞘につき、ちっちゃなタネが4〜5粒入ってるのを
鞘から出していきます。
そのタネを、10月下旬ぐらいにまきましょう。
土は、普通のタネまき培養土でいいので。
タネの上に1 cmぐらい土をかぶせて、
水はたっぷりやってね。
芽が出てくるのは年明けだと思います。
新年度に、ある日、ちっちゃな芽が出てくるんで、
それを秋までに植え替えましょう。
8:病害虫対策
気をつけたい病気は「うどんこ病」です。
出現する確率は低いですけど
9月の初め頃は、注意が必要です。
ちょうどその頃、花芽がつくので、
ここでうどんこ病になると花に影響が出ちゃうから
うどんこ病が出たらすぐに、
ベンレートなどの殺菌剤をしっかり使いましょう。

害虫は、カイガラムシとミノムシ(ミノガ類)に
気をつけてください。
もしも数匹でもカイガラムシを見つけたら
カイガラムシ専用の薬剤をまいて絶滅させましょう。
カイガラムシは1度や2度の薬剤散布では全滅しないので、
「少しでも白い虫が見えたら散布する」
これを何度も繰り返して撃退します。
その際、薬剤をかけたあと
金ブラシでこするのは、やめましょう。
ミモザは枝が弱いので傷だらけになっちゃうからね。
カイガラムシが出ると本当に大変だから
冬の間に、予防の意味で
薬剤をスプレーしておくといいですよ。

第60回目は、多肉植物(セダム・エケベリア)についてお話しします。
3月12日ごろ投稿ですので、次回もお楽しみに!
投稿日:2025年2月12日