第18回来年も咲かせたい!ポインセチア
第18回 来年も咲かせたい!ポインセチア
みなさん、こんにちは!
園芸研究家の矢澤秀成です。
クリスマス・シーズンに欠かせない植物といえば
ポインセチアでしょう!
真っ赤なポインセチアがあれば
カンタンにクリスマスの雰囲気を演出できますよね。
自宅にフォトスポットをつくるときにも重宝します。
だけど、出荷は12月中旬ぐらいが最盛期。
クリスマスには店頭から消えているものなので
早めに入手することが大切です。
しかも、クリスマスが終わったら「さようなら」って、
ポインセチアを12月末で枯らしてしまう人、
結構、多いんですよ。使い捨てされるのも悲しいです。
頑張れば来年のクリスマスにも使えるのに
もったいない!!!
ということで、
第18回は「ポインセチア」について、お話します。
目次
1:ポインセチアについて
ポインセチアは、
メキシコ山地原産のユーフォルビアを
改良して作られました。
トウダイグサ科に分類されています。
日本に「トウダイグサ」という植物がありますが
それとポインセチアの花が似ているんです。
学術的な分類の仕方では、花のつくりに着目するので
トウダイグサ科に分類されている訳なのですが
トウダイグサは苞が僅かに黄緑色になる程度で、あんな風に赤く染まりません。
そもそも、ポインセチアの花は
中央の黄色い部分なんですね。
多くの方が「花」と思われている赤い部分は
苞(ほう)と呼ばれるもので
本来は、花の付け根を覆って保護する役目を果たしています。
苞の色は最近、赤以外に、ピンク色、純白、黄色っぽい色、
薄いオレンジ色、ゴールドなど、
バリエーションが増えました。
マーブル模様もありますよ。
とくに、ピンク色で葉が小さくて
かわいらしい「プリンセチア」が大人気です。
2:冬から春にかけての管理方法
ほとんどの方が、クリスマス・シーズンに
ポインセチアを入手し、春までに枯らしてしまいます(涙)。
せめて12月の間は枯らさないように、
できれば来年も楽しむために
管理のコツをお伝えしたいと思います。
・どこに置いたらいい?
まず、ポインセチアは寒さに弱いので
最低温度10℃以上で管理しましょう。
霜にあたると一発でダメになるので
屋外に置くのは厳しいです。
では、室内のどこに置くか。
理想は
日当たりと風通しが良く、
暖房の温風が直接当たらない場所。
そうなると、
窓辺に置く方が多いと思うんですけど
窓辺は夜になるとグーンと冷えるので
ポインセチアの窓側の部分が寒さで黒くなり、
枯れてしまうことがあるんです。
凍害と言いますが、
夜間、ガラスの近くは冷えるので、
その影響を受けてしまうんですね。
そこで、昼間は窓辺で日光に当ててあげるけど、
夜は、部屋の中央に置き場所を変える、
そういう手間をかけてあげることが
ポインセチアを枯らさないコツです。
夜間でも10℃以下にならない場所に
置いてあげてくださいね。
・水やりは?
ポインセチアは乾燥には強いけれど
加湿は嫌いです。
なので水管理は、やや乾燥気味に。
冬場は5日に1回くらいを目安に、
土の表面が乾いていたら
鉢底から水が出るくらい
しっかり水をあげてください。
やるときはやる、やらないときはやらない。
それくらい、メリハリをもたせてくださいね。
そして、鉢底から受け皿に出た水は
スグに捨てましょう。
ポインセチアは寒いのが嫌いですから、
水があると冷えちゃいますよね。
真冬に水風呂に入るのと同じことなので、
あまった水は捨ててください。
だからといって、
受け皿に出ないくらいの水の量では少なすぎます。
水やりはたっぷり、あまったら捨てる、です。
・肥料は春先に
買ったばかりの12月に
肥料をあげる必要は全くありません。
しかも、冬場は本来、ポインセチアにとって
お休みの時期です。
今ついている葉っぱは、
ほとんど冬場の間に落ちてしまいますが、
葉っぱが落ちて茎だけになっても
ちゃんと生きていますので、
水を与えてあげたら大丈夫です。
みんな、茎だけになったら
「はぁっ」とため息ついてね、
ポイッと捨てちゃうみたいだけど
茎だけでも、全然復活しますからね。
暖かくなり、根っこが動きだす春先に、
剪定・鉢替えを行い、
同時に肥料を与えます。
肥料は、それまで我慢させることが大切です。
3:暖かくなったら剪定・鉢替え・施肥を
ポインセチアは寒さに弱いので、
花が終わってスグに剪定するのは危険です。
しばらくそのままにしておいて
4〜5月頃まで待って切り戻しを行いましょう。
剪定と同時に鉢替えを行い、肥料を与えると
葉が落ちて、茎だけになっていたポインセチアから
芽が吹いてくるでしょう。
教科書通りの管理方法だと
ひとまわり大きな鉢に植え替えるのですが
毎年、植え替えると、どんどん大きくなっちゃうからね。
大事なことは、根を軽く切ってあげることなので
鉢からポコっと全体を抜いて、根の周りを軽くほぐし
土を1/3ぐらい落としてから、
元の鉢に新しい土を入れて植え込むといいですよ。
あわせて、緩効性化成肥料を与えておきましょう。
ポインセチアは、あったかいのが好きなので
西日だけ気をつければ夏の日差しは全然平気です。
4:「短日処理」で色づく時期を早める
初夏になり、緑の葉っぱが茂ってきたら
そのまま夏越しさせてください。
そして、9月の半ば、彼岸花が咲く頃になったら
大きなダンボール箱を用意しましょう。
何に使うかというと「遮光」です。
一般の方には、ちょっと難しいかもしれませんが
「短日処理」ということを行います。
理由は、普通に育てていたら
ポインセチアが赤く染まるのは
1月後半になってしまうからです(涙)。
それだと、クリスマスに間に合わなくなってしまいます。
そこで、キレイに色づく時期を早めるため
光を受ける時間を人工的に短くします。
私が実際に試した方法は
ダンボールの底1面だけあけて
残りの5面全部をアルミホイルで覆い、
その箱を夕方17時から翌朝7時まで
ポインセチアの上にドカンとかぶせる、というやり方です。
アルミホイルで覆うことにより
ダンボールの隙間から光が入らず
完全遮光できます。
この作業を、
9月中旬から1か月半ほど1日も欠かさず続けると
葉が赤くなっていきます。
ポインセチアの上部が箱に当たるようならば
もっと大きいダンボールを用意してくださいね。
私は学生の時、実際にこの方法で
ポインセチアの短日処理をやったんですね。
学校に朝7時に行って箱をあけ、
夕方17時に箱をかぶせるという作業を
平日はもちろん、学校が休みの日も
続けるのはとても大変でした。
プロの生産者さんは、
自動的にハウスの日光を遮断したり、明るくしたり、
コンピュータで開閉制御しているのでね、
そのシステムがない一般の方に
短日処理は無理、とまでは言いませんが
「頑張れ!」とエールを送るしかありません。
5:気をつけたい害虫と病気
買ってきたばかりの新しいポインセチアに
害虫はついていないでしょうし、
冬場なので心配はありません。
しかし、翌年も咲かせようと思うと
屋外に出して日光にたっぷり当てて
夏越しさせることになります。
すると、注意したいのが
春先のカイガラムシと、
夏のハダニです。
もしも、屋内で管理する場合でも、
真夏の暑い盛りに、
乾燥した室内に置いていると
ハダニの発生の危険が高まります。
そこで害虫予防として
スプレー式の殺虫剤を定期的に
シュッシュとかけておくことをオススメします。
次に、気をつけたい病気としては
灰色カビ病、炭疽病、斑点病、苞枯病などが挙げられます。
こちらも購入時は心配ありません。
夏越し期間中の対策としては、
風通しのよい場所で栽培するということ。
もし病気の兆候が見られたら
スプレー式の殺菌殺虫剤を薬散しましょう。
Q&A
Q:剪定の際、枝を切ると白い樹液が出てきました。触っても大丈夫ですか?
A:触るとかぶれる方がおられると思うので、
なるべく触らないようにしましょう。
剪定以外の場合は、なるべく折らない方がいいですね。
剪定する際は、液に触れないよう必ず手袋をして。
また、枝の切り口から白い液体が出たら
ティッシュペーパーを丸めて、液体の出ている切り口に
ペタッとくっつけておくんですよ。
しばらくすると、白い液体は出なくなっていますよ。
液体は、剪定するハサミにも、べとっとついちゃうんで、
切った後のハサミは、軍手をして
タワシでしっかりとゴシゴシと洗って、
液体をしっかり取り除きましょう。
そのままにして他の植物を切ると、
他の植物にも影響してしまいます。
ポインセチアを切ったら、必ずハサミを洗うようにしましょう。
Q:しおれた時は、どうすればいいですか?
A:ポインセチアは寒さに弱いので、寒い風にあたるとしおれてしまいます。
もし葉っぱがしおれていても、真ん中の茎がしっかり硬かったら大丈夫。
だけど、茎も赤黒くなっていたら、もうダメだと思います。
Q:葉が落ちてしまいました。大丈夫でしょうか?
A:葉っぱが落ちてもすぐに諦めないでください。茎が緑でしっかりしていたら、初夏には芽吹いてきます。葉っぱが全部落ちて、棒状の茎だけになっても生きています。
Q:翌年、きれいな赤色を出すコツは?
A:短日処理をがんばりましょう。
肥料もしっかりあげてください。
また、夏の間、しっかり日照を受けていると
短日処理をした際の発色がキレイです。
ちなみに、赤だけでなく、白やピンクなどの色も
みんな短日処理をしています。
投稿日:2022年12月14日