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矢澤先生によるコラム 教えて!矢澤先生!

育種家として第一線で活躍する
矢澤秀成さんによる園芸の旬な情報をお届け

第69回新しい色や咲き方にも注目!「ヒマワリ」

みなさん、こんにちは!

園芸研究家の矢澤秀成です。

 

大人も子どももみんな大好き!「ヒマワリ」の季節ですね。

酷暑に耐えながら太陽に向かってまっすぐ咲くヒマワリ。

ほんとに好きな人が多いですよね。

 

私は20数年前からヒマワリの育種を続けていて、

これまでに、250品種ぐらい育ててきたんですよ。

私が育種した「ほそめひまわり」

1株に50個も花がつくヒマワリ、

もみの木みたいな形のヒマワリ、

デルフィニウム咲きもあります。

鳥のために花が上を向くヒマワリもつくっちゃいました。

 

最近は、草丈が低くて寄せ植えに使える矮性種も人気です。

色も、赤や茶色、白なんかもありますよ。

あなたは、どんなヒマワリが好きですか?

 

ということで、第69回は、

「ヒマワリ」についてお話します。

 

 

1:ヒマワリについて

ヒマワリの原産地は北アメリカ。

キク科ヒマワリ属の1年草に分類されます。

真夏に、ぱぁっと明るく咲き誇る

黄色の大きな花を見ると元気が出ますよね。

 

園芸初心者さんにも育てやすいから

幼稚園や学校などで育てたことのある人が

多いんじゃないでしょうか。

 

育てやすいけれど、

夏の猛暑やゲリラ豪雨、台風など

天候が厳しい季節を乗り越えないといけないですからね。

高性のヒマワリだと高さ3mくらいになるものもありますから

育てるときには茎をちゃんと支えられるように、

根をしっかり育てることが大事になります。

 

 

2:新しい品種がぞくぞく登場!

ヒマワリの品種は、ものすごく増えています。

草丈が低いプランター栽培用をはじめ、

デルフィニウム咲きの品種、

1つの茎に20輪以上も咲くタイプ、

色も黄色、オレンジ系に加えて

赤色や茶色、白色のヒマワリも誕生しています。

 

ホームセンターでも、

一般的なヒマワリ以外に、

背の低い鉢植えタイプや、

1株に複数の花を咲かせる品種は

手に入るようになってきました。

 

3:日当たり・水はけ・風通しがポイント!

ヒマワリは太陽が大好きなので

日当たりの良いことが第一条件。

続いて、水はけと風通しも良い場所を選ぶことが大事です。

 

種から育てる場合は直まきがオススメ。

または、ロングポットに種をまくといいですよ。

種の向きはないので、上下どちら向きに植えても大丈夫です。

 

ロングポットに種をまいた場合は、

本葉が3〜4枚になったら

大きな鉢かプランター、または花壇に定植します。

その際、ヒマワリは直根性なので、

植え付けのときには根をほぐさず

そのまま土に植えるようにしてくださいね。

購入した苗を植え付ける場合も同じです。

 

また、根が回る前に植え付けることが大事なので、

売り場に並んだらスグ、買ってスグ植える!

そのまま置いておいても増えないし、

いいコトは全然ないので

スグ植えてくださいね。

 

通常、株元を覆うマルチは必要ないですが、

雑草の勢いがあまりに強いときは、

雑草対策としてマルチをかけることもあります。

その場合、黒色のマルチでもいいですが

地温上昇を抑えて害虫対策にもなる

銀色や白色のマルチを使ってみてもいいでしょう。

 

4:ヒマワリのお手入れ

まず、水やりについて解説していきましょう。

種まきのあとと植え付けのときに

たっぷり水やりします。

その後は、鉢植えと地植の場合で少し違います。

 

鉢植えの場合は、

土の表面が乾いたらたっぷり水を与えましょう。

ただし、過湿にならないように注意が必要です。

 

地植えの場合は、

根が張るまではしっかりと水やりを行いますが、

その後は基本的に水やり不要です。

ただし、10日以上も雨が降らないなど、

よっぽど乾燥している場合は

水やりを行なってください。

 

ヒマワリは根張りが浅いため、

乾燥すると葉先を枯らして枝を弱めてしまいます。

なので、真夏の乾燥防止のために

根元に敷きわらや乾燥腐葉土を置くのもいいですよ。

 

また、プランターで育てる場合、

茎が細くて心配な場合は

支柱を添えてあげましょう。

 

肥料は、種まきから2週間後(苗から育てる場合は植え付けの2週間後)に

粒状の緩効性化成肥料を適量まきましょう。

または、適量の液体肥料を2週間に1回、

花が咲くまで与えましょう。

緩効性化成肥料
花・野菜液体肥料

あと、背の高くなる品種のヒマワリは、

つぼみが見えるようになり、

頭が重たくなると倒れやすくなるので

早めに支柱を立てて支えてあげるといいでしょう。

 

また、たくさん花が咲くタイプの場合は、

咲き終わったら花茎の付け根から

花がらを摘むようにすると長く楽しめますよ。

 

 

5:ヒマワリの種取りをしよう!

ヒマワリの花を楽しんだあとは、

種を取って見ませんか?

 

まず、下準備として

ヒマワリの種の先っぽについている

雄しべ・雌しべを早めに取り除くのがポイントです。

理由は、あとになると

雄しべ・雌しべが硬くなって手が痛くなるから。

遅れると結構痛いので

柔らかいうちに下準備をしましょうね。

 

私は、まだ、黄色い花びらがあるうちに

ちょっと枯れてきたくらいで

雌しべ・雄しべを取っちゃいます。

 

子どもたちと一緒にね、

雄しべ・雌しべを取りながら

ヒマワリに目・鼻・口って、顔を書いて遊ぶんです。

おもしろい写真もいっぱい撮れますよ。

 

ヒマワリの表面についている

雄しべ・雌しべを取るときは

必ず手袋をしてくださいね。

手袋をした手で

ヒマワリの表面をモミモミすると

取り除くことができますよ。

 

そして、花のまわりの緑色の部分が

少し黄色く色づいてきたら

種取りのタイミングです。

 

3mぐらいあるような高性のヒマワリは、

まるで木のように茎が太いので

ノコギリを使って切断しますが、

小さいものはハサミを使ったり、

手で折ったりしてもいいでしょう。

 

茎を切ったら

花の部分だけネット状の袋に入れて

日陰で干し、乾燥させて種を取ります。

干す期間は、だいたい1カ月ぐらいかな。

ネット状の袋に入れる理由は、

ヒマワリの種はネズミや鳥の大好物だから。

特にね、ネズミがヒマワリの種にやってくるので

気をつけてください。

 

種を取ったあと、花壇に残ったヒマワリの茎や葉っぱは、

小さく切って畑にすき込めば

肥料のかわりとして使うこともできます。

私なんかは、緑肥として使うために

ヒマワリを育てていると言ってもいいくらいです。

毎年、花が終わって種取りが済んだら

茎や葉っぱを10 cmぐらいに切り、

粉砕して土にすき込んでいます。

粉砕するのが難しければ、

10 cmぐらいに切った状態で土にすき込んでおけば、

春までには発酵して花壇や畑の栄養になってくれますよ。

 

※ヒマワリの種取りについては

私のYou Tubeでも詳しくご紹介していますので

チェックしてみてくださいね。

 

 

6:注意したい害虫について

ふた葉が出た頃の根切り虫! そして、ヨトウムシ!

この2種類の害虫が、せっかく出てきたふた葉を食べちゃうんです。

 

害虫のほかにも、鳥とウサギにも食べられますね。

とにかく、ふた葉が出たときが1番危険です。

 

害虫の被害を避けるには、

種まきのときに、オルトランやダイアジノンといった

農薬を適量まいておくこと。

オルトラン粒剤
ダイアジノン
ダイアジノン

だけど、鳥とウサギは薬では防げないので

鳥よけの人形をぶら下げたり、

鷹の形の凧みたいなのを使ったりしています。

ちょっと手間がかかるけれど、

鳥やウサギがいるようなところでは

大きくなるまで防鳥ネットをかけておくのが

一番効果があると思います。

鳥よけカラス
鳥よけ凧
鳥よけ資材いろいろ
防鳥ネット
防鳥ネット

成長してからは、ハダニ。

夏場に激しく乾燥するようになると

ハダニが出てきます。

ハダニの大量発生を防ぐには

ヒマワリの頭から全体に、葉の裏にも水をかけるとかね、

乾燥してしまわないように、しっかり水やりしましょう。

 

第70回目は、多肉植物(紅葉種)についてお話しします。

8月27日ごろ投稿ですので、次回もお楽しみに!

 

投稿日:2025年8月6日

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矢澤先生のプロフィール

ホームセンタータイム
ガーデンアドバイザー
矢澤 秀成 先生

矢澤 秀成 先生

現在、やざわ花育種株式会社、葉乃畑合同会社に所属し、代表取締役社長を務める。
種苗会社植物バイオ研究室に16年勤務し、多くの花や野菜を開発する。その間、国内新花コンテストで金賞を含む18回入賞、社内では社長賞2回受賞する。
種苗会社退職後、大手ホームセンター商品開発部長及び顧問、大手肥料メーカー顧問、パテント会社代表、野菜市場顧問、ガーデンセンター顧問などを歴任。多くの植物園などのヘッドガーデナーや監修を行う。
育種家として、多くの個性的な花や野菜、漢方薬などの新種育成を行っており、18年前から全国各地の小学生を対象にした授業「育種寺子屋」を行う。子供たち自身が交配して世界に一つだけの小さな種を作り、その種を大切に育て世界に一つだけの花を咲かせる授業を行っている。さらに「人は花を育てる 花は人を育てる」を掲げ、2002年から地域の花好きを育て、そして花の街を育てる「花のマイスター養成制度」を提案しスタートする。現在全国各地でマイスターを育てる花の学校を開校し、マイスターと共に花いっぱいの公園づくりや街づくりに取り組んでいる。
NHK総合TV「あさイチ」、NHK-ETV「趣味の園芸」、NHK長野「ひるとく」、BS-日テレ「麗しの庭散策」、SBCラジオ「ずくだせ エブリデイ」、篠ノ井有線放送「花暦」などの多くの園芸番組の講師として出演中。全国で講習、講演活動を多数行い、園芸関連多数執筆中。