第22回もっとキレイに長く咲かせたい!オステオスペルマム
みなさん、こんにちは!
園芸研究家の矢澤秀成です。
今回、ご紹介する植物は「オステオスペルマム」です。
かんたん! キレイ! 育てやすい!
オススメ度は星3つ★★★ なのですが、
名前が、すごく言いにくい(笑)。
言いにくいから覚えにくい、だから
一般の方に、あまり知られていない、
という印象があります。
とってもキレイな花なのに!
特に、初心者の方にオススメしたい
育てやすい花なのに!
寄せ植えの花材としても人気がありますよ。
ほんとに、中身は優れているのに
名前でかなり損していますよね。
私といっしょですね!?
ということで
第22回は「オステオスペルマム」について、お話します。
目次
1:オステオスペルマムについて
オステオスペルマムは、キク科オステオスペルマム属の宿根草です。
「Osteospermum(オステオスペルマム)」は学名です。
学名がそのまま名称になっているので、難しい印象なんでしょうね。
別名「アフリカンデージー」と呼ばれているように
原産地は南部アフリカおよびアラビア地方です。
白色や薄むらさき色といった、ちょっと地味だけど清楚な色が
本来のオステオスペルマムの色なのですが
近年、いろんなメーカーがディモルフォセカと交配させて
新しい色や形のオステオスペルマムを作り出し、販売しています。
アキラ、セレニティ、ビューティー、八重咲き3Dなど。
ディモルフォセカは1年草タイプで
黄色やオレンジなど、比較的明るい色が多いのが特徴。
毎年のように新品種が生まれていますが
2色のバイカラー、八重咲き、丁字咲き、
スプーン型の花弁などが主流です。
花弁の形がユニークなオステオスペルマムも増えています。
ちなみに、昔ながらのオステオスペルマムには
太陽の光をあびると花が開き、
夜間や曇り・雨の日には花を閉じるという性質がありますが
最近、花を閉じにくい園芸品種が増えているんです。
これらは、ディモルフォセカと交配した可能性があります。
その交雑によって、暑さ・寒さに弱い品種が
出てきてしまいました。
そのため、宿根草として考えるなら
昔からあるオステオスペルマム(花が閉じるタイプ)の方がオススメです。
高温多湿に弱く、耐寒性も強いとは言い切れないのですが、
私が管理している園では、マイナス5℃でも耐えていますし、
オステオスペルマムの10年物が育っています。
見分けるコツとしては、
オレンジ色や黄色など、明るい花色のものには
ディモルフォセカのDNAが入っているので、ちょっと弱い。
1年草と考えたほうが無難かもしれません。
開花期は、春先から6月上旬にかけて。
秋にも咲くことは咲くのですが
秋は、バラでいう「返り咲き」みたいな感じです。
だから気候などによって咲かないこともあります。
咲いたとしても花の数が少ないです。
2:苗を植えよう
オステオスペルマムを育てる場所は「風通しの良い日なた」。
半日陰でも、まあまあ咲きます。
雨に当たっても全然平気ですよ。
土は、水はけがよければ大丈夫。
プランター栽培の場合は草花用培養土でいいですよ。
鉢のサイズは、ひとまわり以上大きい鉢に植えましょう。
3寸ポットで苗を購入したなら、5寸ぐらいの鉢が適当です。
花壇に地植えする場合は、結構大きくなるので
1年草で考えるなら株間は15cmぐらいでもいいですけど
宿根草として考えるならば株間は30cmぐらいあけましょう。
3:メンテナンス〜水やり・施肥・花がら摘み・摘芯
【水やり】
植え付けたときには、しっかり水を与えますが
その後は、乾き気味で管理しましょう。
多湿を嫌うので、水の与え過ぎには注意が必要です。
植木鉢やプランターの場合は、土の表面を指で触ってみて
土が乾いていたら、たっぷり水を与えましょう。
鉢底から水がしみ出るくらい、たっぷりと与えます。
花壇の場合、ほとんど水やり不要です。
苗の植え付け時から根が張るまでは
しっかり水をあげますが、
それ以降は、自然の雨で十分だと思います。
葉っぱがしおれてきたらあげますけどね。
夏の間も、よっぽどカラッカラに乾燥していなければ
私は、全く水をやってないですね。
【施肥】
肥料が切れると花つきが悪くなるので
追肥は欠かせません。
花が咲いている間に液肥をあげてもいいですが
通常は、緩効性化成肥料をあげておけば大丈夫です。
葉っぱが黄色くなったなど、栄養不足の場合は
即効性のある液肥を使ってもらうと良いと思います。
オステオスペルマムの花は
春先にどっと咲いて、夏場に1度お休みします。
なので、花が咲き終わった6月頭ぐらいに
1回、肥料をあげて芽吹かせ、
そのまま夏を越え、秋の帰り咲きを待ちましょう。
【花がら摘み】
オステオスペルマムは開花期に、
たくさんの花を次々と咲かせます。
咲き終わった後の「花がら」は順次、こまめに取り除きましょう。
放置するとタネがついちゃうので、花つきが悪くなります。
【摘芯】
購入した苗の枝先を1節切り取ってあげると
脇芽が増えるので、ボリュームアップ。
とってもたくさんの花を咲かせてくれるようになりますよ。
4:来年も花を咲かせたい〜切り戻し・根切り・植え替え
【切り戻し】
オステオスペルマムは過湿にあまり強くないので
梅雨が始まる前の
5月下旬から6月頭あたりに1回、
切り戻して、さっぱりさせましょう。
花が終わりかけたら半分くらいバサッと
切ってしまってもいいです。
ただし、葉っぱが
まったく残らないような切り方をすると
脇芽が伸びないので、
回復が遅くなったり、枯れたりすることもあるので
キレイな下葉を残すように
切り戻してくださいね。
そして秋を越えたら、
冬が始まる前に、来年の春に向けて
2度目の切り戻しを行いましょう。
瀬戸内エリアなら11月中下旬でいいと思います。
切り戻した状態で冬を越すのがベストですね。
寒い間にジワ〜っと花芽を作って
来年の春にまた咲いてくれますよ。
【根切り・植え替え】
秋の切り戻しをするときに、
鉢植えならば同時に植え替えましょう。
冬の寒い時期に花芽をつけるので
冬期に植え替えるのは避けてくださいね。
また、6月頃は、これから猛暑が控えているので
根は、あまり触らない方がいいですね。
そこで切ってしまうと植物にストレスがかかって
枯れちゃうことがあるので秋まで待ちましょう。
オステオスペルマムは、何年も経つとかなり大きくなります。
私が管理している10年モノは、
毎年、上部を切っていても花が咲いているときには
草丈1mぐらいになりますからね。
また、重さも8号以上の鉢の大きさになると大変なので
その場合は、土を落として鉢の中の根っこを切って、
コンパクトにして元の8号の鉢に植え替える、
そんな感じで管理するといいですよ。
根のメンテナンスをせずに、そのまま放置しておくと、
どこかで根詰まりしてしまいます。
花壇の場合は放置しておいても良いけれど
植木鉢の場合は2年に1回、植え替えしたいところですね。
5:来年も花を咲かせたい〜タネ
オステオスペルマムを何年も育てたいと思ったら
一度、キク科の植物の構造を調べてみてはいかがでしょうか。
一般的に1つの花だと思われている「頭花(とうか)」は
実は、小さな小さな小花群が密に集まってできています。
中心部分に管状花、周辺に舌状花があります。
オステオスペルマムのタネは
管状花でも、舌状花でも取れますが、
私がキク科の植物を交配するときは
全部、舌状花から採ったタネでおこないます。
オステオスペルマムも
舌状花のタネの方が断然いいタネが採れます。
夏にタネを収穫して冷蔵庫で保管し、
秋にタネから育てることもできますよ。
6:気をつけたい害虫と病気対策
暖かくなって5月頃になると、どうしても害虫が出てきますね。
特に気をつけたいのは、アブラムシとカイガラムシです。
アブラムシ予防には、スプレー式薬剤や粒剤などを
まいておくといいと思います。
カイガラムシには、住友化学園芸さんのスプレー剤
「カイガラムシ用エアゾール」を使っています。
カイガラムシを見つけたらシュ〜ッとするといいですよ。
昔はカイガラムシに効く薬がなくて
金ブラシでガリガリこすって落としていましたけどね(笑)。
あ、でもカイガラムシの場合、死んだあとでも
茎から剥がれないのがいますから
その場合は、雑巾などでこそげとってください。
Q&A
Q:花つきが悪くなりました。肥料切れでしょうか?
A:肥料切れ、または、置き場所・植え場所が日陰や半日陰など
育てている環境が原因ではないでしょうか。
太陽がいっぱい当たるところに植えてもらってるかな?
肥料も、肥料切れにならないように
定期的に追肥してもらえば花つきは改善すると思います。
鉢植えの場合なら根詰まりの可能性もありますね。
2年に1回は植え替えをしてください。
花壇で育てている場合でも、2年に1回ぐらいのペースで
根っこを切った方がいいです。
根も広がりすぎちゃうし、新しい根も出てこなくなっちゃうんで、
思い切ってバシバシ切っちゃいましょう。
Q:根切りをせずに放置しているとどうなりますか?
A:鉢の場合は、根っこが鉢の中でパンパンになって、
水も入っていかなくなるし、栄養も吸収しづらくなります。
花壇の場合でも放置しているとどんどん根が伸びてしまいます。
根が伸びれば、それだけ水を吸収するのに時間がかかるから
短く切って、新しい根っこを出させましょう。
根切りをすると根から茎までの距離が短くなるので
水を吸収しやすくなるんです。
根切りを定期的にやらないと、植物はだんだん弱ってきちゃいます。
Q:開花シーズン以外の時期に追肥は必要でしょうか?
A:冬越し中の株に、肥料は、いりません。
肥料を施すとすれば春先、3月中旬から下旬に
パラパラッと緩効性化成肥料を施すくらいで良いでしょう。
投稿日:2023年3月22日