第3回気くばり上手になれるマリーゴールド
第3回 気くばり上手になれるマリーゴールド
みなさん、こんにちは!
園芸研究家の矢澤秀成です。
僕が研究職に進んだきっかけは
赤塚不二夫さんの漫画『元祖・天才バカボン』なんです。
「チエノワ菌」という、なんでもかんでもくっつけちゃう菌を
バカボンのパパが発見して
くっついて困っていた人々を治すというお話。
子どもの頃、このシーンに感動して研究員を目指したんです。
バカボンのパパって原作では無職なんだけど
アニメ版では植木職人という設定なんですよ。
花って、何も言えないし、
自分では動けないから
きれいに咲かせるには
観察力や気くばりが必要なんです。
確かに、バカボンのパパは
愛する家族に対する気くばりが超一流!
いつも家族が笑顔で、幸せでいられるように
一番、気にかけていますよね。
ということで
第3回は「マリーゴールド」です。
水が欲しいとか、肥料が欲しいとか、
マリーゴールドは、なんにも言わないけど
何をして欲しいかは
ずっと見つめていたら分かるはず!
あいみょんの『マリーゴールド』を聴きながら
恋する気持ちを思い出して
きれいに咲かせてあげてくださいね。
目次
1:アフリカン? フレンチ? どっちが好き?
タイムの年間販売総数を見ると
マリーゴールドは、ペチュニアに次いで2位。
とても人気の高い一年草です。
マリーゴールドといえば
黄色やオレンジ色のイメージでしたが
最近は、赤っぽい色など、色数も増えてきました。
品種改良が盛んに行われていますが
大きく分けて
「アフリカン」と「フレンチ」の
2系統があります。
特徴としては、
アフリカンは、背丈も高くて花も大きいこと。
花弁の数が多く、1つ1つの花がまん丸で見事。
ダイナミックな花を咲かせます。
フレンチは、ややコンパクトで花の弁数が少ないのが特徴です。
あまり大きくならないし、色数も多いので、
寄せ植えにはフレンチの方が使いやすいかな。
一方で、アフリカンとフレンチの種間雑種、
ハイブリッドも出てきているので
品種の数は、年々増えています。
ここ最近の新しい品種としては、
咲き始めから咲き終わりまで
花の色が刻々と変化する
「ストロベリーブロンド」というフレンチ系の品種。
気温が下がってくると、ぐっと赤みが増して
イチゴっぽい色に移り変わっていくんですよ。
2:蒸れないように株間を広めに
土は、草花用の培養土がオススメ。
1つの株が意外と大きく成長するので、
株と株の間を広めにとって植えた方がいいです。
花壇なら株と株の間を30cmぐらい。
30cmでも、真夏になったら2つの株の間が
くっつくくらいに株が大きくなっていると思います。
密接すると蒸れて枯れてしまうので
蒸れには気をつけてください。
プランターの場合は
1つのプランターに1株だと寂しいでしょう?
とはいえ、10号の鉢に3株が限度でしょうか。
※詳しい植え方などは、第1回コラムペチュニアってどんな花?4:土と肥料、プランター(植木鉢)を準備して植えよう!をご覧ください。
花壇の場合は、細部まで手入れできないけど、
プランターの場合は、
摘芯しながら株間を整えられます。
定期的に花がら摘みや摘芯を続けて
真夏を乗り越えられたら
きっと長い間、咲いてくれますよ。
3:6月と9月に追肥を
マリーゴールドは
春から秋まで休まず咲いてくれるので
追肥が必要ですね。
追肥をしなければ花弁の数が減り、
花がどんどんちっちゃくなっちゃいます。
追肥のタイミングは、6月頃と9月頃。
植えてから1.5〜2か月に1回のペースで
追肥をしたらいいと思います。
長期間にわたり花を咲かせ続けるので、
緩効性化成肥料がおすすめです。
有機肥料もありますが、
化成肥料の方がラクでしょうね。
4:蒸れないように!乾燥しないように!
マリーゴールドは、根の張りがとても良いので
蒸れないように気をつけてくださいね。
蒸れると枯れてしまうのですが
だからといって乾燥し過ぎたら
葉っぱが巻いてしまってチリチリになっちゃいます。
だから、適度な水やりが大事。
夏場は週3日ぐらいを目安にしましょう。
5:夏場の水やりに気くばりを!
夏場の水やりは、
できるだけ早朝に行いましょう。
僕自身、調査研究対象の苗は全部、
自分で水やりしているんですね。
都合によって、夕方に水やりする事もあるけれど、
植物が水分を吸収しやすいのは朝なので
午前中に水やりするようにしています。
もちろん、働いていらっしゃる方の場合、
早朝の水やりは難しいでしょう。
その場面は、お帰りになってから
水をあげてください。
真夏の暑さを乗り越えるには
打ち水も行った方がいいですよ。
昼間、鉢植えやプランターのまわりに水をまいて
温度を下げてあげるんです。
人間がプールで水浴びするのと一緒ですね。
冷やしてあげることで体温調節を促します。
打ち水の他、
葉水をかけて冷やしてあげるのもいいですね。
6:マリーゴールドは野菜栽培の強力な助っ人!
多くの農園や植物園では、土壌の中のセンチュウ(線虫)対策として
マリーゴールドを植えているんですよ。
マリーゴールドを、そのまま耕運機で土に混ぜて
緑肥にしちゃうんですね。
センチュウとは、農作物に被害を及ぼす
ヒモ状の線形動物のこと。
無色透明で目に見えない大きさなので
目にすることはありませんが
どこにでも存在しています。
マリーゴールドには、独特のニオイがありますよね。
あのニオイ成分に、センチュウが嫌う成分が入っているんです。
ちなみに、マリーゴールドを口に含むと
独特の香りがして苦味もスゴイんですよね。
って言うと「食べたこと、あるんですか?」って
質問されちゃうのかな。
もちろん、ありますよ!
マリーゴールドは
食べられる花=エディブルフラワーです。
でもね、これは僕の主観ですが
まずいです(笑)。
まぁ、どれだけまずいのか
気になる方は食べてみてください。
オススメしませんけどね(汗)。
Q&A
Q:摘芯のタイミングとコツを教えてください。
A: 9月のヒガンバナが咲く頃に
摘芯(ピンチ)してもらうと
下の方から脇芽が出て、
ぐわ〜っと大きく成長します。
摘芯する時には、必ず、摘芯する箇所より下に
葉っぱがあることを確認してください。
夏場に疲れきっちゃった場合、
葉っぱが落ちることがあるんです。
先端にしか葉っぱが残っていないような場合に
ピンチすると、そのまま立ち枯れしちゃう危険性があります。
Q:どんな病気や害虫に気をつけたらいいですか?
A: マリーゴールドで気をつけたいのは
夏場の蒸れと葉ダニです。
特に、暑い時期は葉ダニが発生しやすいので、
注意が必要です。
夏場はしっかりと葉水をして
ダニ退治をしてください。
投稿日:2022年4月13日