第34回春のお楽しみ「エンドウ」
みなさん、こんにちは!
園芸研究家の矢澤秀成です。
今は、スーパーに行けば1年中、
ほとんどの野菜を買うことができるので
野菜づくりを始めて「旬」が分かるようになった、
そんな人も多いのではないでしょうか。
私は種苗会社で開発の仕事をしていましたが
どんなに良い品種ができたと思っても
やっぱり、「旬」のものがおいしい!
ということを経験から学びました。
とくに、旬のエンドウのウマさは最高です!
はじめて作るなら、ぜひ、秋植え・春収穫に挑戦して
旬の味わい、鮮度を体験していただきたいと思います。
ちなみに、私の好きなエンドウは「スナップエンドウ」。
スジの少ないのが好きですね。
塩ゆでにして、味付けは「しょうゆマヨ」かな。
旬のエンドウマメは甘くておいしいから
いくらでも食べられますよ。
しかも、エンドウはね、花がいいんです!
スイートピーみたいで、とってもキレイなので
ぜひ鑑賞してあげてほしいな。
ということで、第34回は
「エンドウ」のお話です。
目次
1:エンドウとは
エンドウは、マメ科エンドウ属の越冬野菜(一年草)です。
原産地はエチオピアから中央アジア・中近東にかけて。
「旬」は春。
ということで秋植え・春収穫(4月上旬〜6月)
という作型が主流でしたが
最近は、9月植え・年内収穫をはじめ、
春植え・初夏収穫といった作型の品種も出ています。
春、初夏、秋と、切れ間なく収穫できるようなタネを
種苗会社が作ってきたんですね。
とはいえ収穫量で比べると、秋植え・春収穫が一番多いです。
理由は、低温欲求のあるエンドウは、
寒さに当てないと花芽が分化してこないから。
味も、秋植え・春収穫の方が上だと思いますので
初めての方には、秋植え・春収穫をおすすめします。
2:エンドウの苗を選ぶ
エンドウには、いろんな品種があります。
育て方はほぼ同じなので
いろんな種類のエンドウを同時に育てるのもいいですね。
[キヌサヤエンドウ]
商品名:シャンパーニュ、成駒(なりこま)三十日など
「絹サヤ」と呼ばれ、マメを食べるというよりは、
サヤを食べるというイメージですね。
[スナップエンドウ]
商品名:グルメなど
豆とサヤを食べます。スナップは「ポキッと折れる」という意味です。
スナックエンドウと呼ぶ人もいますが、
正しくは「スナップエンドウ」。
1983年に農林省が名称を「スナップエンドウ」に
統一することを決めました。
ややこしいことに「スナックエンドウ」という商品名もあるので
軽食=「スナック」のようにサクサク食べられるので
そういう名前で呼ばれるようになったようですね。
[実エンドウ(グリーンピース)]
商品名:久留米豊など
完熟する前に収穫して、実をサヤから出して食べます。
スーパーでは、実だけで売っている場合がほとんどです。
[その他]
つるなしスナック、スジなしエンドウ「スジナイン」など。
ちなみに「つるなし」「つるあり」の特徴として
つるがある方が収量は圧倒的に多くなるうえ
できたものから順々に収穫できるので
長く楽しめます。
つるなしは背丈に限界があり、
枝豆と同じように、株ごと収穫するので
未熟なマメもいっぺんに取りますが
プランターや小さな鉢でしか栽培できない場合、
上の方までつるを伸ばせる場所がない場合は
「つるなし」を育てると良いと思います。
3:苗の植え付け
タネから育てるよりも、
苗からの方が
初心者さんは育てやすいと思います。
畑に植える場合は、連作に気をつけて場所を選びましょう。
数年間、マメ科の植物を育てていない場所に
植えた方が育ちは良いです。
また、マメ類は酸性土壌を嫌うので(アルカリは好き)
苗を植える2週間前に苦土石灰をまいて、
堆肥や肥料を入れ、よく混ぜて土の準備をしましょう。
株と株の間は30cmぐらいです。
プランターに植える場合は、
野菜栽培に適した大型プランターを用意して
野菜用の培養土を入れます。
そして、畑でもプランターでも、
防寒霜よけ対策・乾燥対策として、
不織布をかけましょう。
竹などを使って、少し浮かせるといいですよ。
その際、冬場の強風で不織布が飛んでしまわないよう
低めに固定するよう気をつけてくださいね。
4:管理方法
マメ類は、冬の間に成長し過ぎると枯れてしまうので
草丈15cm程度のコンパクトな形で越冬させることが、
とっても大事です。
もし早くタネをまき過ぎて
背丈が30cmぐらいになりそうな時は
低いままで冬を越させるために、
芯を止めて伸びないようにします。
2月下旬〜3月になると
脇芽が出てグワ〜ッと一気に伸びて
花芽をいっぱいつけるから
安心して摘芯してください。
ちなみに私は摘芯しないで、
そのまま育てますけどね。
そして、本葉が5〜6枚になったら
支柱を立てて、ネットを貼り、
つるが横に広がらないよう、誘引していきます。
つるアリの場合は2mくらいまで伸びるかもしれないので
長めの支柱とネットを用意しましょう。
つるナシの場合は、80cmくらいの支柱を
立てます。
・追肥について
マメ類は土中のチッソ固定するので
肥料は少なめでいいんだけど
エンドウは、一般的なマメ類よりも肥料を必要とします。
植え付け時の施肥に加えて、
成長する春先(3月上旬ぐらい)に1回、
開花前にも1回肥料を与え、
花の終わったあとマメができる頃にもう1回やれば
大丈夫でしょう。
初めての方は、マメ類専用の肥料を使った方が
成功しやすいですよ。
パッケージに、追肥のタイミングや量も
詳しく書いてあるので、それに従ってください。
・水やり
地植え、鉢植えともに
土の表面が乾いたらたっぷりと水やりを。
また、冬場は乾燥し過ぎることがあるので
そんな場合にも、
たっぷりと水をあげてください。
ただし、地面が凍るほど寒い時は
水をあげても凍っちゃうのでね。
昼間、土が溶けてから水をあげるようにしてくださいね。
5:収穫について
エンドウは、収穫適期を逃すとおいしくなくなるので、
早め早めに収穫しましょう。
つるナシの場合は、株ごとバサ〜ッと地際から刈り取るので
収穫はラクですが収穫量は少なくなります。
つるアリは、成長の様子を見ながら1個ずつ手でもぎ取るので
面倒だけれど、ウマいし、長く収穫を楽しめますよ。
サヤエンドウは、サヤがある程度伸びて
実がうっすらふくらんできたら収穫です。
実は小さい方がうまいです。
目で見て、手で触って、収穫期を判断しましょう。
あんまり大きくしちゃうとスジが硬くなるし、
収穫期を逃すと、サヤも硬くなっておいしくないので
私は、若いうちに収穫します。
早いに越したことはないと思います。
スナップエンドウは、実がある程度大きくならないと
シャキシャキ感が出ないんですよね。
実がぷくっと膨らんだあと、
ポキッと折れるくらいのパリパリ感のあるうちに食べましょう。
サヤが緑色のうちに収穫すること。
ただし、収穫せずにそのまま置いていると
サヤの色が老けてくるし、
実エンドウみたいに、サヤの中でコロコロするようになって
全然おいしくないです。
実エンドウは、しっかり実を熟させる必要があるので
サヤの表面にシワが寄ったら収穫です。
いずれにしても、マメ類は鮮度が命!
スナップエンドウは、やや日持ちしますが
特にサヤエンドウは収穫したらすぐ食べましょう。
鮮度が重要だからこそ、
エンドウは家で育てるとおいしいんですよね!
6:病害虫対策
苗が小さい間は
冬場で虫がいないし、不織布もかけているから
あまり心配ないと思いますが
花芽が形成される3月末から4月頭にかけて
害虫や病気への注意が必要です。
花芽が出てくると
アブラムシがつくこともあります。
害虫は病気も媒介するので
見つけ次第、テープなどで捕まえてください。
ダニにも気をつけてくださいね。
マメは、そのまま食べるものなので、
できれば農薬を使いたくないよね。
タマネギ・ニンニクなどから抽出するアリシンエキスなど、
自然農薬を使って予防してもらえたらと思います。
アブラムシには牛乳スプレーも効果的です。
それでもアブラムシなどの害虫が大量発生した場合は
クスリを使うしかありません。
薬剤を使用する場合は、
パッケージに書いてある説明書きをしっかり読んでください。
収穫期から逆算してある程度の期間をあけて使うことなど
注意事項が細かく書いてあるので、
そういった用法と適正な量を守って使ってくださいね。
第35回目は、シャコバサボテンについてお話しします。
11月8日ごろ投稿予定ですので、次回もお楽しみに!
投稿日:2023年10月25日