第33回冬・春の庭の必須アイテム「アリッサム」
![](https://time-denen.jp/cms/wp-content/uploads/2023/10/アリッサム②.jpg)
みなさん、こんにちは!
園芸研究家の矢澤秀成です。
色の少ない冬から春の
花だんや寄せ植えに欠かせない花といえば
「アリッサム」です。
花は白色や紫っぽいもの、
ピンクっぽいものなど
いろんな色があるうえ、
葉も緑だけでなく、斑入り葉が美しい品種もあります。
庭の主役にもなれるし
パンジー・ビオラの名脇役としても
重要な役目を果たします。
とくに、スーパーアリッサムは
生命力が旺盛なので
園芸ビギナーにも育てやすい品種ですよ。
ということで、第33回は
「アリッサム」のお話です。
目次
1:アリッサムという名称について
一般的にガーデニングで「アリッサム」といえば
学名で「ロブラリア・マリティマ(Lobularia maritima)」と呼ばれる
「スイートアリッサム」のことを指すことが多いです。
かつてはアブラナ科アリッサム属に分類されていたのですが
現在は、そこから分離した
アブラナ科ロブラリア属に変更されています。
なので、分類上は「アリッサムとは違う植物」なのですが
昔の名残で「アリッサム」と呼ばれています。
じつは「アリッサム」という
学名が付いた花も存在するので
ちょっと、ややこしいですが
覚えておいてください。
2:アリッサムについて
「スイートアリッサム」は
実生系の一年草。
原産地は地中海沿岸。
水はけの良い土壌を好む花です。
開花期は10月〜5月頃までと長いので
冬から春にかけての庭を彩るのに
とても重宝します。
手まりみたいな形の小花が
株いっぱいに咲く姿がかわいらしく
白、紫、ピンクのほかに
アプリコット系やベージュのような
ニュアンスカラーの花もあります。
他の花とあわせやすいので
寄せ植えにもよく使われますね。
![](https://time-denen.jp/cms/wp-content/uploads/2023/10/ビオラとアリッサム-300x270.jpg)
“スイート”という名前から想像できるように
あま〜い香りも特徴です。
春に、スイートアリッサムが満開のハウスで作業していたら
匂いに酔ってしまったことがあるくらいです(笑)。
この「スイートアリッサム」を
厳しい夏の暑さにも耐えるように
改良された品種が「スーパーアリッサム」です。
スーパーアリッサムには
スノープリンセス(白い花)、
フロスティーナイト(斑入り葉)、
パープルプリンセス(緑葉で花が紫)
これら3種類があるので好みに合わせて選べます。
![](https://time-denen.jp/cms/wp-content/uploads/2023/10/Sアリッサム_スノープリンセス-300x185.jpg)
![](https://time-denen.jp/cms/wp-content/uploads/2023/10/Sアリッサム_フロスティナイト-300x185.jpg)
![](https://time-denen.jp/cms/wp-content/uploads/2023/10/Sアリッサム_パープルプリンセス-300x185.jpg)
色合いは、スイートの方が多いのですが、
“スーパー”という名前のとおり
ものすごく強い生命力を誇ります。
生長スピードも速く、匍匐(ほふく)性なので
みるみる横に広がっていきます。
寄せ植えにもよく使われるけれど
地植えにして、グランドカバーとして使うこともできます。
スーパーは、いつもシャキッとしていて
安心感があります。
枝も、スイートより硬いです。
また、根がいいんですよ。
ちょっと値段が高いけど、
ガーデニング初心者でも
余裕で育てられるくらい
スーパーアリッサムは別格だと思いますよ。
3:アリッサムを植えよう!
地植えにする場合は、
まず、日当たりが良く、
水はけの良い場所を選びましょう。
植え付ける場所を決めたら
土に腐葉土や堆肥をすき込み、
水はけを良くしてから
よく耕してふかふかにします。
そして、ポットから苗を抜き取り
根鉢を壊さないように
なるべく根を触らないようにして
植えつけ、たっぷり水を与えます。
ちなみに、スーパーアリッサムを地植えにする場合、
1株が大きく育つことを想像しながら
よく考えて場所を選びましょう。
場合によっては直径1.5mぐらいまで
大きくなることもありますよ。
鉢植えの場合、土は、
花と野菜のための培養土を使います。
![](https://time-denen.jp/cms/wp-content/uploads/2023/10/培養土-225x300.jpg)
![](https://time-denen.jp/cms/wp-content/uploads/2023/10/高級培養土-225x300.jpg)
植え付けた後、緩効性化成肥料を
適量(パッケージに書いてある用量)、
パラパラッとまいて
たっぷりと水を与えます。
![](https://time-denen.jp/cms/wp-content/uploads/2023/09/肥料いろいろ①-225x300.jpg)
![](https://time-denen.jp/cms/wp-content/uploads/2023/09/肥料いろいろ②-225x300.jpg)
![](https://time-denen.jp/cms/wp-content/uploads/2023/09/肥料いろいろ8-8-8-225x300.jpg)
1鉢に植え込む本数の目安は
スイートアリッサムなら、
5号サイズの鉢に3〜4苗くらいです。
寄せ植えにすることが多いですが
ひと鉢全部アリッサムにしてもキレイです。
いろんな色を詰めても楽しいですね。
一方、スーパーアリッサムなら
株が大きく育つので
5号鉢に1株で十分です。
ただし、スーパーアリッサムの
斑入り系を植える場合は
強すぎる日差しに弱いので
夏の直射日光や西日が当たる場所は
避けるように気をつけて。
基本的には日なたを好む植物ですが
午前中はよく日が当たり、
午後は日陰になるような場所でも育ちますよ。
4:アリッサムの管理方法
アリッサムの根は細く、
切れやすくて弱いので
水が多いと根腐れしやすいです。
ですから、
地植えの場合、ほとんど水やりの必要がありません。
夏場に乾燥しているからと思って
ザブザブ水をやると
枯れてしまうことがありますので注意を。
追肥のタイミングは
植え付けから1か月ぐらいたった頃。
花期が長いので、
その後も2か月に1回をメドに
緩効性化成肥料を適量(パッケージをよく読んで)、
パラパラと与えてください。
![](https://time-denen.jp/cms/wp-content/uploads/2023/09/肥料いろいろ②-225x300.jpg)
![](https://time-denen.jp/cms/wp-content/uploads/2023/09/液肥いろいろ④-225x300.jpg)
![](https://time-denen.jp/cms/wp-content/uploads/2023/10/液肥いろいろ①-225x300.jpg)
アリッサムの花は根に近い方から
順々に咲いていくので
特に花がら摘みをしなくても次々と花を咲かせますが
咲き終わって枯れた花穂の部分が見苦しいので
チョキンと切ってあげる、そこまで
手入れができるといいですね。
さらに、こんもりと育ってきたら
梅雨前に3分の1程度まで切り戻します。
ただし、アリッサムは高温多湿に弱い植物なので
気温が高い時に切り込みすぎると
弱ってしまうかもしれません。
切り戻しをするときは、
必ず下葉を残すように気をつけてください。
また、暖かい瀬戸内エリアでは、
切り戻し作業を9月半ばまで待っても
10月・11月に再び咲いてくれるので
気候と花の様子を見ながら
切り戻すのが怖いなと思ったら
無理せずそのまま育ててくださいね。
5:アリッサムの植え替え
アリッサムは多年草で
場所によっては宿根するのですが
高温多湿の日本では夏を越せないことが多いので
1年草として扱われています。
特に、残暑の厳しい西日本では
近年のような真夏の猛暑を
耐えられるかどうかは難しいところ。
鉢植えであれば夏の間、
日陰や半日陰に置き場所を変えるなど
涼しく管理することで
夏越しできるかもしれません。
もしも、うまく夏を越えることができたら
アリッサムの鉢植えは毎年、
秋の彼岸花が咲いている10月中旬くらいまでに
植え替えをしましょう。
できるだけ根に触らないように、
根を傷つけないように気をつけながら
ひと回り大きな鉢に植え替えます。
6:病害虫対策
アリッサムに寄ってくる害虫は
アブラムシ、スリップス、ハダニ、
コナガ、ヨトウムシなど。
ですが、冬の間、ほとんど虫はいなくなるので
気をつけたいのは「根腐れ」ですね。
アリッサムは根っこが弱いので
水気の多い状態や蒸れが続くと
根っこがドロッとなって枯れてしまいます。
できるだけ水はけの良い状態を
キープできるよう管理してください。
ひんぱんに植え替えたり、
毎日、水をジャブジャブかけたりするのはNGですよ。
害虫が出てくる春先には
アブラムシを見かけるかもしれません。
見つけたらセロハンテープなどにくっつけて捕まえ、
スプレー式の薬剤をシュシュシュっとかけて
大量発生を予防しましょう。
![](https://time-denen.jp/cms/wp-content/uploads/2023/10/ガーデンアシストクイーンスプレー-225x300.jpg)
なお、アプラムシには牛乳スプレー、
根っこに繁殖するカビ類の病気を予防する殺菌剤としては
ネギ類から抽出するアリシンエキスなどの
自然農薬も、ぜひ、お試しください。
(くわしくは、第27回「自然農薬」のコラムをご一読ください。)
投稿日:2023年10月11日