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第6回ゴーヤで“緑のカーテン”をつくりたい!

第6回 ゴーヤで“緑のカーテン”をつくりたい!

 

みなさん、こんにちは!

園芸研究家の矢澤秀成です。

 

ここ数年は、夏がくるたびに温暖化を実感しています。

読者のみなさんは、どうですか?

 

環境問題に関心がなくても、こんなに電気代が上がったら「夏の猛暑対策を本気で考えなきゃ…」と焦っておられる方も多いのではないでしょうか。

 

そこで第6回は、自宅の壁やベランダなどを太陽の熱から守る“緑のカーテン”にぴったりな野菜「ゴーヤ」のお話です。

 

もちろん、食べてもおいしいから一石二鳥ですよ!

 

 

 

1:ゴーヤって、どんな野菜?

ゴーヤは沖縄を代表する夏野菜として知られていますね。

原産地はインドなどの熱帯地域。暑さに強く、とっても育てやすい野菜です。

驚くのは品種の数。とってもたくさんあります。

タイムで人気なのは、定番の「中長(ちゅうなが)」をはじめ、果実がすごく大きい「願寿」、たくさん実をつける「節成(ふしなり)」、

果実は小さめだけど苦味の少ない「あばし」、

緑の葉にまっ白の果実が成る「白ゴーヤ」などだそうです。

 

ゴーヤは、つる性の植物なので、庭や畑がなくてもプランターで育てられます。

ネットを使って立体的に仕立て、6月下旬から7月・8月ぐらいまで収穫を楽しみましょう。

 

 

2: “緑のカーテン”を育てよう。

ゴーヤは葉っぱが大きく、つるが2〜3mくらい伸びるから、壁全体とか、ベランダ全体を葉っぱで覆う“緑のカーテン”にぴったり。

日陰がつくれるだけでなく、葉っぱから水分が蒸発する時にまわりの熱を奪う蒸散作用によって涼しさが感じられますよ。

この “緑のカーテン”をベランダで作ろうと思ったら、横に長い形のプランターを購入しましょう。

窓を隠すぐらいにゴーヤのつるを伸ばすには、たくさんの根っこも必要なので大きめの鉢の方が適しています。

軽いプランターだと、台風で飛んでっちゃうかもしれないから、大きくて重ためのプランターを選んだ方がいいと思いますよ。

 

⇒ベジプランター深型 土が50L入る大きめのプランターであるためこちらがおすすめです。

 

3:植えつけるときは根を切らないで。

ゴーヤの苗は、購入したらなるべく早く植えつけましょう。本葉が3枚ぐらいあれば定植できます。

土は、TIME’S FARMオリジナルの培養土「花と野菜の土」がオススメ。

成長に必要な肥料も入っています。

 

購入したポット苗を、深さ5cmぐらいのバケツの水にひと晩浸けてしっかり水分を吸収させたら、根を切らないようにポットからパッと抜いてポコッと植えましょう。

お住まいの地域が霜の降りるような場所であれば寒さ避けをしてあげる必要がありますが、5月中旬の西日本なら、もう霜の心配はないかな。

植えつけたらすぐ、たっぷり水をあげます。

その後の水の量は、やや少なめ。

果実が成る頃になったら、たくさん水をあげると良いですよ。

 

 

4:誘引、追肥、そして敷きわらで乾燥対策。

 

“緑のカーテン”をつくりたい場所の幅と高さを測ったら、その大きさに合うネットを購入しましょう。

一般的な園芸ネットの、1つのマスの大きさは5cm、10cm、15cmなど。ゴーヤは、大きめのマス(10cm以上)を使うことが多いです。

⇒幅・高さは窓の大きさで選びましょう。

 

 

本葉が7〜8枚ぐらいになったら1回摘芯して分枝を促し、細いつるが3本ぐらい出て伸び始めたらネットを張って誘引します。

ネット全体に広げるように誘引を繰り返し、大きく育ててください。

追肥は、つるが伸び始めて1か月から1月半ぐらいした頃に1回あげましょう。

素早く効いて、じっくり肥料が続く「有機化成タイプ」の野菜の肥料がおすすめです。

⇒タイムで購入いただける「野菜の肥料」こちらがおすすめです。

 

ある程度、分枝して誘引できたら、乾燥対策として、園芸用「敷きわら」で土壌の表面を覆ったほうが良いですね。

太陽の熱から土を守るために、どっさり敷いたほうがいいですよ。

敷きわらのかわりにバークチップや腐葉土でも良いでしょう。

そして、果実が成り出したら、さらに追肥をあげましょう。

 

5:本格的なゴーヤ栽培は畑がおすすめ

ゴーヤを本格的に収穫したい方は、ぜひ畑で栽培してください。

沖縄の畑を見てびっくりしたのは「地這い栽培」だったこと。

ゴーヤは、スイカみたいに地面に這わせても栽培できるんですよ。

でも、せっかく畑で収穫を楽しむならネットを張り、しっかり誘引して実の数を増やした方がいいんじゃないかな。

⇒畑で使うならこちらのネットがおすすめ

 

そして、堆肥や腐葉土をしっかり混ぜた「土づくり」に挑戦を!

作業を果実のツヤや大きさはもちろん、おいしさが違ってきますよ。

 

6:気をつけたい病気と害虫

ゴーヤは比較的、病気に強いのですがウリ科の植物なので、

白い斑点が出る「うどんこ病」や、葉裏にカビが生える「べと病」、

つるがしおれて枯れる「つる枯病」などの病気になることがあります。

それぞれの病気に対応した殺菌剤などの薬剤があるので、売り場で症状に応じた薬剤を選んで使ってください。

これらの病気を媒介するのが、ヨトウムシやアブラムシなどの害虫です。害虫を見つけたら、すぐ潰すこと。

そして、殺虫殺菌剤を適宜、使用してきっちり駆除しましょう。

 

 

Q&A

Q:ベランダでもゴーヤを育てられますか? どれくらいのスペースがあれば良いでしょうか?

A: ゴーヤはベランダでも育てられますよ!

マンションのベランダなら、横幅120cm×奥行き60cmぐらいのスペースがあれば十分でしょう。

高さは、2mぐらいまで伸ばせますが、ご自分の環境に応じてサイズを選び、

生育してネットから枝がはみ出したら、その部分を切ればいいですよ。

もし、ベランダの柵がコンクリートの場合は、日差しがプランターに当たらなかったり、

風通しが悪かったりするので、ある程度大きくなるまで日光の当たる場所に置いた方がいいと思います。

 

 

Q:植えつけてしばらくたつのに、なかなか成長しません。

A: ゴーヤって初期生育が遅いんです。

植えつけたあと、ちょっとの間、成長をお休みするんです。

「苗がおかしいんじゃないかな?」って、不安になりますよね。

でも、気温が上がってきたら伸び始めるので、のんびり屋さんのゴーヤのことを思って気長に待ってあげてください。

 

 

Q:収穫量を増やすには、どうすればいい?

A:花が咲いた後、大体1か月ぐらいで果実が成ります。

初めての方は「たくさん収穫しよう」と思って、実をつけ過ぎちゃうんですよね。

すると、つるが重さに耐えられなくなって傷んでしまいます。

できれば果実をネットに引っ掛けてぶら下げないようにして、とにかく欲張らず、あまり実をつけ過ぎないようにして、つるの負担を軽くしてあげるようにしましょう。

収穫にこだわるなら、実が小さいうちに何個か収穫して、成長させる実の数を限定させるやり方がオススメです。

実の数が減ると栄養が集中するので、1個の大きさが大きくなるし、味も濃くなりますよ。

中には、果実が最大限に大きくなるまで収穫を待つ方がおられますが、それも植物にとっては負担です。

大きくなり過ぎると大味になるので、ある程度、大きくなったら採って食べた方がいいでしょう。

 

 

Q:実が成らないのは、なぜ?

A: ゴーヤの花には雄花と雌花があります。

実が成るようにするには、しっかり水を与えて、追肥も施す必要があるのですが、水の管理が悪かったり、

肥料の管理ができていなかったりすると雌花が咲かない、あるいは黄色くなって落ちちゃう、

という現象が起こり、果実ができないということに。

一方、長雨が続いて日照不足になると雌花が落ちやすくなります。

この場合は仕方ないです。天候が回復したら実が成ると思いますよ。

 

 

Q:実が熟れる前に黄色や赤色になって割れてしまいました。

A: ゴーヤは暑過ぎると実らないんですよ。

また、西日が当たるなど、温度が上がりやすい環境では実が熟れる前に赤くなってしまいます。

赤や黄色に成るとマズくなっちゃうので、対策として、午後3時を過ぎたら葉水をあげて、

ゴーヤの体を冷やしてあげてください。葉水は文字通り、葉っぱに水を霧吹きでかける作業のこと。

そうすると、ゴーヤも喜んで実をつけてくれる、かもしれないです。

 

投稿日:2022年5月25日

 

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矢澤先生のプロフィール

ホームセンタータイム
ガーデンアドバイザー
矢澤 秀成 先生

矢澤 秀成 先生

現在、やざわ花育種株式会社、葉乃畑合同会社に所属し、代表取締役社長を務める。
種苗会社植物バイオ研究室に16年勤務し、多くの花や野菜を開発する。その間、国内新花コンテストで金賞を含む18回入賞、社内では社長賞2回受賞する。
種苗会社退職後、大手ホームセンター商品開発部長及び顧問、大手肥料メーカー顧問、パテント会社代表、野菜市場顧問、ガーデンセンター顧問などを歴任。多くの植物園などのヘッドガーデナーや監修を行う。
育種家として、多くの個性的な花や野菜、漢方薬などの新種育成を行っており、18年前から全国各地の小学生を対象にした授業「育種寺子屋」を行う。子供たち自身が交配して世界に一つだけの小さな種を作り、その種を大切に育て世界に一つだけの花を咲かせる授業を行っている。さらに「人は花を育てる 花は人を育てる」を掲げ、2002年から地域の花好きを育て、そして花の街を育てる「花のマイスター養成制度」を提案しスタートする。現在全国各地でマイスターを育てる花の学校を開校し、マイスターと共に花いっぱいの公園づくりや街づくりに取り組んでいる。
NHK総合TV「あさイチ」、NHK-ETV「趣味の園芸」、NHK長野「ひるとく」、BS-日テレ「麗しの庭散策」、SBCラジオ「ずくだせ エブリデイ」、篠ノ井有線放送「花暦」などの多くの園芸番組の講師として出演中。全国で講習、講演活動を多数行い、園芸関連多数執筆中。