第31回ほったらかしでも毎年咲く!キキョウ
みなさん、こんにちは!
園芸研究家の矢澤秀成です。
お庭に「秋の七草」をそろえて秋を感じる。
そんな風に季節の移ろいを楽しめるのは
ガーデニングの醍醐味でもありますね。
その秋の七草のひとつが「キキョウ」。
ですが、
漢方薬を研究していた私にとっては
「薬草」のイメージが強いです(笑)。
花は、もちろん美しいけれど
私が研究していたのは「根」です。
桔梗根は、せきを鎮めてたんを排出させる
抗炎症作用が確認されている生薬。
ノドの痛みを緩和する漢方薬に使われます。
そこで、今回は「根」を強くする栽培のコツも
少し、お話しようと思います。
ほったらかしでも毎年、キレイに咲いてくれますよ。
ということで、第31回は「キキョウ」のお話です。
目次
1:キキョウとは
キキョウは、キキョウ科キキョウ属に分類される宿根草です。
原産地は、日本(北海道〜九州)と東アジア。
生育温度は、15℃〜25℃ですが
真夏日でも生育が衰えないし、-20℃でもゲンキ!
暑さに負けず、耐寒性があり、
病害虫にも強いので
とっても育てやすい植物です。
草丈は15cm程度から
1mぐらいに長く伸びるものもありますね。
品種の改良も進んでいて、
昔ながらの青紫色や白色の花に加え、
ピンク色、ダブル咲き(八重咲き)の白色・青色、
花の大きい大輪種もあるので
お好みの色や咲き方、草丈に合うものを
選ぶといいですよ。
開花期は、6月・7月・8月・9月。
花もキレイだけど、
キキョウはイギリスで「バルーンフラワー」と呼ばれているように
風船みたいな形のつぼみも、かわいいですよ。
2:キキョウの苗を植えよう
植木鉢やプランターでもゲンキに育ちますが
ほったらかしでも毎年咲いてくれるので
庭植えの方が断然オススメです。
注意してもらいたい点は、
湿り気の多い場所だと
弱って枯れてしまうこと。
水はけの良い場所に植えてあげてください。
そして、腐葉土を多めに入れて
柔らかく、ふかふかの土にしましょう。
植木鉢で育てる場合は、
購入した時より、
ひと回り大きい鉢に植え替えます。
3寸で購入したら、5寸が目安です。
土は、元肥の入った
園芸用の培養土(「花と野菜の土」)で大丈夫。
自分流のブレンドに挑戦するなら
赤玉土やパーライトを多めにしましょう。
元肥は、マイガーデンやマグァンプKなどの
粒状肥料でOK。
量は、少なめで良いと思います。
規定量の半分ぐらいでも十分です。
肥料を抑えめにして育てると
根が大きくなり、非常に強い株になりますよ。
植える場所としては、
日あたりの良い場所が適していますが、
強過ぎる西日や猛烈な日差しは
葉焼けの原因になるので
避けた方が良いでしょう。
また、寒さに強いけれど、
土の表面から根っこが見えていると
そこから染みて凍結しちゃうので、
5cm以上、土をかけて
株元をしっかり覆ってください。
寒い地方では、冬はマルチングした方がいいですね。
3:水やりと肥料
鉢植えの場合は、土の表面が乾き始めたら
たっぷりと水やりをします。
メリハリをつけながらも、
やや乾燥気味にした方がいいと思います。
冬は凍結しないよう、やや少なめにしましょう。
お庭の花壇に植えた場合は、
真夏の乾燥期以外は、特に水やりの必要はありません。
ただし、地植えの場合、
冬の間、葉も茎も、全部枯れて
地上部は何もない状態になるので
(それでも生きています)
どこに植えてあるか分かるように
札などを立てておいてくださいね。
次に、追肥のタイミングは早春です。
冬の間は基本的に肥料不要。
瀬戸内地方なら、2月下旬から3月中旬の間に
施肥をすれば良いでしょう。
4:初夏は切り戻し、秋は翌年の準備
通常、初夏の一番花が終わったら
タネザヤのところで切ってあげます。
すると、下から脇芽も出てきて
二番花が咲いてきます。
二番花まで出たら
あとは、こま目に花がら摘みを行いましょう。
秋に苗を購入した場合は、
翌年の初夏に咲く最初の花が
一番花です。
一番花は、花の部分だけ切ってもいいけれど
それでは背がどんどん高くなっちゃうので
葉っぱを1枚絡めて、
その下ぐらいで切るといいと思います。
それから、背の高い品種のキキョウには
支柱を立てましょう。
風が吹いて、ふらふらするようだったら
小さくても支柱を立てた方がいいです。
フラフラ揺れると根元も弱るからね。
なお、秋に苗を購入した場合は
花が終わったら花の部分だけ摘んで
葉っぱは、養分を蓄えるために
枯れるまでそのままにしておきましょう。
そして、葉っぱが枯れたら
地際で切ってください。
5:株分け・植え替えについて
株分けや植え替えは
通常モミジの葉が色づく頃に行いますが、
暖かい瀬戸内地域なら秋口でも大丈夫。
寒い地域の場合は、
秋に株分けすると
根っこが張る前に厳しい寒さがきて
そのまま枯れちゃうので
早春に株分けしてもいいです。
9月に買ってきたばかりのキキョウの場合は
花が付いた状態で植え替えると傷むことがあるので
花が終わったら、一旦ひとまわり大きな鉢に植え込んで、
その年は、株分けせずに冬越ししましょう。
次の年の、モミジが色づいた頃に
分けてもらったらいいと思います。
お庭で育てた株を
元の場所に植えるなら
堆肥をしっかり入れて、
土をある程度、作り直してから
植えた方がいいです。
別の場所に植える場合は、
日当たりが良いところを選び
土を、ふかふかにして植え替えましょう。
鉢植えの場合は、
鉢の中の根が
パンパンの状態になる前に
植え替えてもらうことが大事です。
鉢は深めの方が
夏場の温度上昇が抑えられます。
植え替える際、
キキョウの根は直根性なので、
中心の太い根を折ったり切ったりしないように。
また、株分け・植え替えの時は
緩効性化成肥料(8-8-8など)で良いので
肥料を施してくださいね。
6:病害虫対策
キキョウは病気にも害虫にも強いので
あまり心配する必要はないのですが
私の経験では
花のつぼみにアブラムシがギッシリ
付いていたことがありますね。
アブラムシは病気を媒介するので、
見つけたら、すぐ捕殺しましょう。
大量に発生していたら
スプレー式の薬剤を散布しましょう。
なお、アブラムシに効果のある自然農薬には
特濃牛乳があります。
これをスプレーボトルに入れて
アブラムシに吹きかけると
牛乳の皮膜でコーティングされ、
アブラムシは呼吸ができなくなるので試してみてください。
また、片栗粉をお湯で溶かして
片栗液を作り、スプレーする方法も効果的。
片栗液でもアブラムシは窒息します。
片栗液の濃度は、
だいたい10〜15%くらい。
片栗粉と水の割合が1:9から
1:6くらいの割合で混ぜてみてください。
牛乳、片栗液、どちらを使った場合でも
植物の負担を減らすために
しばらく経ったら水で洗い流してくださいね。
牛乳はしばらくすると、ミルク臭が強く、花の香りが分からなくなるので、必ず洗い流しましょう。
注意したい病気は、
立枯病、茎腐(くきくされ)病など。
水のやり過ぎが病気の原因になるので。
乾燥気味に育てるようにしましょう。
Q&A)
Q:真夏の日差しが強過ぎたのか、日焼けによって
葉の先端部から焼けて衰えてしまったようです。この後、育つでしょうか。
A:真夏の直射日光で葉焼けし、弱ってしまったんでしょうね。
直射日光があまり強く当たり過ぎる場合は遮光するか、
日陰に移すと良いですよ。
ちなみに、
キキョウは根っこが非常に強いので、
地上部が枯れても根は生きていて
新芽を出してくれることが多いです。
根っこを手で押してみて、
硬かったら、まだ生きています。
翌年、新芽が出る可能性が高いので、
あきらめずに育ててみてください。
投稿日:2023年9月13日