第27回自分で作ろう!自然農薬
みなさん、こんにちは!
園芸研究家の矢澤秀成です。
夏野菜のおいしい季節になりましたね。
自分で作った野菜って、ほんとにおいしい!
私は野菜が大好きなので
毎日、とれたてをたっぷり味わいます。
だから、化学系の農薬をあんまり使いたくない。
みなさんは、どうですか?
農薬は使いたくないけど、
害虫や病原菌で野菜が弱ってしまったら
やはり農薬に頼らざるを得ないですよね。
そこで、私は「自然農薬」を始めたんです。
これまで、このコーナーでも
牛乳やコーヒーかすなどを用いた
農薬をお伝えしてきましたよね。
実は、私は、野菜や雑草など
安心安全な材料から作る自然農薬を
20種類ぐらい、使い分けているんです。
まだ、研究開発途中のものもあるけどね。
ということで、第27回は特別に
食べものを材料にして作る「自然農薬」の
作り方や使い方をご紹介します。
目次
1:自然農薬とは。
自然農薬は、野菜など食べてもいいものを材料にして
自分で作るので安心して使える農薬です。
化学系の農薬を使いたくない方には、
とってもオススメです。
では、どれくらい効果があるのか、なのですが
病原菌に対する殺菌効果は高いです。
だけど、殺虫効果は弱め。
化学農薬の効き目が100としたら
自然農薬は60ぐらいかな。
苦しめて弱らせることはできても
完全に殺すまでいかない。
害虫に対しては忌避剤として使うイメージです。
予防だと思って、出る前にかけることが大事。
早め早めのタイミングで自然農薬を使ってもらいたいと思います。
気をつけてほしいのは
害虫や病原菌、カビ類が大量発生した場合ね。
大量発生したら自然農薬では、とても対処できません。
そんな場合は一度、化学農薬で殺菌・殺虫して、
そのあと、自然農薬で回復させていくといいと思いますね。
2:アブラムシには、牛乳スプレー攻撃!
野菜や花の大敵アブラムシは、
牛乳スプレーで撃退できます。
牛乳は、低脂肪乳ではなく、
なるべく濃いものを使いましょう。
そして、薄めず原液をハンディスプレーに入れて
アブラムシにかけてください。
すると、アブラムシが牛乳の脂肪分で覆われ
呼吸ができなくなって窒息死します。
そのままにしておいてもいいけど
死んだムシがついたままだと気持ち悪いでしょ?
だから、しばらくしたら水で流してね。
3:ナメクジは「コーヒーかす」でブロック!
私の農場で1年間、月に1回、
コーヒーかすをまき続けて実証しました。
ナメクジ、ヨトウムシ、ヤスデ、ダンゴムシが
見られないようになりました。
ナメクジって、
花の雄しべや雌しべを全部食べちゃうんですよね。
葉っぱも食害を受けます。
しかも、ナメクジの跡がテカテカになって残るんですよ。
それによって観賞価値が下がるだけでなく、
そのテカテカ光る成分の中に、人体にあまり入れてはいけない
センチュウの卵など、悪いものが入ってる。
あ、だから、ナメクジを触ったら、
ほんっとに綺麗に手を洗わなきゃダメ。
手を洗わないまま料理を作ると
体内に悪いものが入ってしまう危険があるからね。
ダンゴムシも、キャベツの葉っぱとかね、
軒並み食べちゃうんです。
あと、ヤスデはクサイ。
これらの害虫を寄せ付けないようにしてくれるのが
コーヒーかすに含まれるカフェインです。
コーヒーかすは、自宅でコーヒーをドリップしたときに
フィルターに残った「かす」を半日乾かして、
サラサラになってからまくだけです。
私は、乾燥させたコーヒーかすを
ビンに入れて保管しています。
ただ、私はコーヒーを飲まないので
誰かに飲んでもらって、
かすだけもらってくるんですけどね(笑。
これは、効きますよ。
4:料理にも使える!? アリウムエキス
次にご紹介するのは、アリウム属の4大植物、
ネギ・ニラ・ニンニク・タマネギで作る
自然農薬「アリウムエキス」です。
材料は、アルコール1リットルあたり、
白ネギ1本(緑の部分も合わせて丸ごと1本)
ニラ1束
大きいタマネギ1個
(私は、淡路島産のおいしいタマネギを使います)。
ニンニクは1個(オススメは青森産ホワイト6片)
これらの材料を全部細かく切って、
20度以上のアルコールと一緒に密閉容器に入れて
冷暗所に1か月間保存し、アリシンという物質を抽出します。
コレのいいところはね、このエキスをそのまんま、
チャーハンやラーメンの隠し味にできること!
4人分のチャーハンを作ったら、
最後にサーッとアリウムエキスを10mlくらいかけて炒めるんです。
すると、最高にうまいチャーハンができる!
農薬にも調味料にも使えるなんて、いいでしょう?
ちなみに、コレを畑の野菜に1週間に1回かけるだけで、
うどんこ病やカビ類の病気を予防できるので
殺菌剤として、ぜひお試しください。
5:一緒に植えればWin-Win。コンパニオンプランツ
化学農薬を使わずに植物を育てるなら
「コンパニオンプランツ」のことも、ぜひ知っておきましょう。
植物には、一緒に植えることで成長を促しあったり、
病害虫を抑えたりできる、相性の良い組み合わせがあるんですが
いろんな野菜と相性が良い
代表的なコンパニオンプランツといえば、
やはり、アリウム属の植物たち。ネギ、ニラ、ニンニクです。
香りが強い植物は、効果が期待できるんですよね。
ウチの菜園では
トマトのコンパニオンプランツとしてニラを植えています。
ニラを植えておくと、料理にも便利なんです。
カットしても、すぐ出てくるからね。
カットしたらレバニラ炒めに使って
伸びてきたら、またカットしてレバニラ炒めを食べる。
するとね、だいたい1か月に1回、
レバニラ炒めが食べれます(笑)。
もし、ニラが嫌いな人は、
その畑なりプランターの前でね、
ニラの葉っぱをキッチンばさみで細かく切っちゃいましょう。
細かく切ったニラをトマトの根元にパラパラッとまくだけ。
これでも土壌系の病原菌に効果がありますよ。
アリウム属以外で有名なコンパニオンプランツといえば、
バジルやミントなどのハーブ類。
カモミールもウンカ避けに良いです。
そのほか、カモミールは土の調整をするためか、
「畑のお医者さんと言われている」なんて表現をする人もいますね。
相性でいくと
「トマトとバジルは最高の相性だ!」って、よく言われます。
食べても最高の相性だし、一番有名かな。
お花の寄せ植えの場合でも、
バジルを植えたりしますね。
寄せ植えだったら、バジルを1株ちょこんと
入れとけばいいと思います。
そして、忘れてはいけないのがマリーゴールド。
マリーゴールドは、厄介な害虫のセンチュウを殺してくれるので
ネコブセンチュウなどの被害にあうような植物、
たとえば、キャベツやピーマン、ナスなど、
これらと一緒に植えるといいですよ。
センチュウの他に、ハダニが来ないようにしてくれるので
ナスやキュウリのそばに
マリーゴールドを植えるのもいいですね。
さらに、マリーゴールドは、
土壌に漉き込むことでもセンチュウの被害を軽減できます。
例えば、秋からキャベツを植えるとしたら
その前にマリーゴールドを育てておいてね、
8月頭ぐらいに土の中に漉き込んじゃうんです。
茎も葉っぱも、全部。
そして、2週間ぐらい置いてから
キャベツの種をまくとセンチュウ被害を軽減できるでしょう。
試してみてください。
Q&A
Q:アリウムエキスは、使用する前に煮沸してアルコール成分を飛ばした方が良いですか?
A:なるほど。確かに、できたてのアリウムエキスでは、アルコール成分がちょっと強いので大量に吹きかけないように気をつけたいところです。でも、煮沸までしなくていいですよ。容器のフタを開け閉めするくらいでアルコールが抜けていくので、1〜2回使えば、気にせず使えます。ちなみに、アルコール成分が飛んだとしても、効果は変わらないです。どちらかというと、ちょうどいいぐらいの甘みのあるアリシンができるので、チャーハンの隠し味には最高ですね。チャーハンには、アルコールが飛んでから使った方がいい。味がマイルドになってうまいですよ。ラーメンにも使えますよ。
投稿日:2023年6月14日