第8回「培養土」は強い味方!
第8回 「培養土」は強い味方!
みなさん、こんにちは!
園芸研究家の矢澤秀成です。
なんと、今回と次回は連続で
「土」についてお話します。
ずっしり重たい内容ですよ(笑)。
まず、第8回は「培養土」について。
本来、植物を育てようと思ったら
赤玉土や鹿沼土、腐葉土、堆肥など、
いろんな土(原料)を買ってきて
自分で混ぜてpHを調整して
「土づくり」をするんだけど、
「培養土」を購入すれば
手間も省けるうえに成功率も上がります。
「そのまま使える土」って、
表現されることが多い「培養土」。
だけど、じつは、と〜っても奥が深いんですよ。
目次
1:「培養土」って、どんな土?
植物の生育に適した割合でブレンドされた土を
「培養土」と言います。
野菜用、花用、果樹用、ハーブ用、観葉植物用など
植物の種類に対応したものもあれば
バラ用、クリスマスローズ用、ブルーベリー用など、
植物ごとの専用培養土もあります。
いずれにしても、その植物に合うように
水はけ(排水性)や水もち(保水性)が調整されていて
通気性も保肥性(肥料を保つ能力)も高いです。
また、中には室内でも使えるように
硬質 赤玉土など、1回加熱殺菌した土を
配合してあるものもあります。
コケが生えにくく、
虫がわかないように処理されたものもあります。
2: 培養土を使うメリットは?
1番のメリットは、自分で材料を混ぜなくても、
そのまま使えること。
2つめは、その植物に適した環境に調整されているから、
根の張りがよくなること。
当然、しっかりと育つから失敗しにくい。
3つめは、価格のメリット。
一般の方が赤玉土やパーライトなど、
土の原料を買い集めると
費用も増すし、保管場所も必要です。
培養土の一部商品には、
すでに肥料(元肥)が入っている場合もあるので、
総合的に考えたら
培養土を使う方が安いと思いますよ。
3:植物がよろこぶ「ふかふかの土」
植物の根に必要なものは、
水、栄養、そして、空気なんですね!
培養土で育てると根張りがよくなるのは
しっかりと空気が含まれている、
栄養のある土だから。
培養土は、「団粒(だんりゅう)構造」と言って
大小さまざまなつぶ粒が混ざっているので
水はけもいいし、水もちもいい、そして、
空気もたっぷり含まれている
「ふかふかの土」の状態になっています。
培養土の中身はメーカーや商品によって違いますが、
一般的に、
赤玉土、鹿沼土、日向土、バーク堆肥、
腐葉土、パーライト、ココピート(ピートモス)などの
原料で構成されています。
その中から、主要なものをご紹介します。
【赤玉(あかだま)土】
一番よく使われる土です。
保水性もいい、保肥性もある、通気性もいい、
まさに万能だけど、
赤玉土だけで栽培すると、細かい根が出にくかったり、
水がジャーって流れ出ちゃったり…。
そこで、一般的な培養土は、
赤玉土にバーク堆肥や鹿沼土、腐葉土、パーライトなどを
混ぜて調整しています。
【鹿沼(かぬま)土】
水はけがよく、保水性も高い土です。酸性に近い(pH4〜5ぐらい)ので、ツツジやブルーベリーなどの栽培に適しています。挿し木にも使えます。
【日向(ひゅうが)土】
西日本では、鹿沼土のかわりに日向土が使われることが多いです。
pHが傾いていないので使いやすいんですよ。
水はけを良くしたいときに使います。
【腐葉土】
枯葉や落ち葉が分解されて土のようになったものです。
葉っぱの形が残っているものから、粉々になったものまで
いろいろあるんですが、基本的には団粒構造がないんですね。
そのため、腐葉土オンリーでは植物の育ちがよくない。
腐葉土に、赤玉土とか、鹿沼土とか、
団粒構造のしっかりした土を入れて、
空気や水の通りを良くします。
一方、腐葉土には、土をふかふかにする働きがあります。
カチカチに締まった土の中に腐葉土を3〜4割入れると
空気がしっかり入って「ふかふかの土」に戻りますよ。
4:培養土の値段の差は、何の差?
いろんな培養土の商品がある中で
どうして、こんなに値段の差があると思いますか?
まず、1袋200円以下の低価格商品だと
肥料が入っていない場合が多いです。
原料そのものも比較的、安いものが使われています。
だからと言って使えない訳ではありません。
低価格の培養土には、水はけが良くないものが多いので、
水はけを好む植物を植える場合には、
赤玉土を1割ぐらい足すなど
ひと手間、加えるといいですよ。
培養土を自分で商品化している僕でも、
ホームセンターオリジナルの培養土を
買って使うんですよ。
でもね、そのままでは使わないです。
何か1つか、2つ加えてカスタマイズします。
自分でアレンジできると、すごく楽しいですよ。
培養土に慣れてきたら、安い培養土をベースに
トライアンドエラーを繰り返しながら
オリジナルの土を作って楽しんでみましょう。
自分で追加する原料としては
先ほど、ご紹介した赤玉土、鹿沼土などの他に、
下記のようなものがあります。
【パーライト】
土の中の通気性や水はけを良くしたいときに使います。
白いつぶ粒で軽く、水やりすると浮いて流れちゃうから、
5〜10パーセント以上は入れない方がいいと思います。
クリスマスローズにも使います。
市販の培養土に1割ぐらいパーライトを混ぜると、
よく育つようになりますよ。
【バーミキュライト】
バーミキュライトを5〜10%入れることで
安価の土にも空気が入り、保肥性・保水性も高まります
高温で焼かれているので、よく殺菌されているのも特長。
いろんな植物に使えますよ。
5:使った培養土は、どうする?
育てた植物に病気が出た場合、
その土は、もう使わないで。
お住いの自治体のルールに従って廃棄しましょう。
植物が健康に育った場合でも、
培養土には限界があります。
同じ培養土を3年も使い続けると
半分ぐらいの量になっちゃいます。
赤玉土がつぶれて「微塵」という粉状になり、
堆肥などの有機質も分解されてしまうので
目減りしてしまうんですね。
この状態の土には、もう空気がないので
そのままタネをまいても根が張れず、
パタッと死んでしまうことがあります。
だから、3年目の培養土をもう1回使うなら、
病気がないことが絶対条件ですが、
ふるい(1番、メッシュの目が大きいもの)で1回ふるって
根っこや枝を取り除いてください。
次に、1番小さい目のふるいにかけると、
下に微塵が落ちて、ふるいの上には、
まだ使える赤玉土などが残ります。
下に落ちた土は廃棄し、
ふるいに残った土に赤玉を足したり、
腐葉土を足したりすれば再利用可能です。
他に、「よみがえる土」という再生剤を混ぜて、
再利用することもできます。
使えない土は「廃棄」するしかないんだけど、
タイムには使用した土の回収サービスがあるから、
こちらを利用すると、地球に優しくていいですよね。
投稿日:2022年7月13日