第5回真夏の庭の救世主!ニチニチソウ
第5回 真夏の庭の救世主!ニチニチソウ
みなさん、こんにちは!
園芸研究家の矢澤秀成です。
さわやかな季節は、
あっという間に過ぎ
天気予報では「真夏日」なんて言葉も
聞くようになりましたね。
お庭も、そろそろ
真夏の準備を始めなきゃ!
ということで
第5回は、灼熱の太陽の下でも
けなげに可憐な花を咲かせる
「ニチニチソウ」についてお話します。
目次
1:瀬戸内の夏にぴったり! ニチニチソウとは?
ニチニチソウは夏の暑さに、とっても強い花です。
熱帯地域のマダガスカル原産だから、熱にも、乾燥にも強い!
夏の花としては最高なんだけど、弱点は “蒸れ”に弱いこと。
高温多湿の蒸し蒸し状態が大嫌いです。
その点、「晴れの国おかやま」や、ため池の多い香川県は1年を通して雨が少ないから比較的育てやすいと言えます。
タイムの年間売上ランキングで、常にニチニチソウが上位にあるのも瀬戸内の気候に適しているからでしょう。
あまり手入れをしなくても、鉢植えでも、花だんでもニチニチソウは栽培しやすい花なので初心者の方にもオススメですよ。
もちろん、たまには水をあげなきゃいけないけどね。
また、とつぜんぐったりしたり、立ち枯れしたりすることがあるので、蒸れた状態にならないよう、マメにやさしく見守ってあげましょう。
ちなみに、海外では多年草として扱われるニチニチソウですが、耐寒性がないので日本では一年草として扱われるのが普通です。
まぁ、ある程度の温度があれば木質化して冬越しできるので、岡山や香川だと、ひょっとすると冬越しできるのかなぁ?
2:猛暑にも排気ガスにも耐えて咲く
ニチニチソウは「公害に強い」といわれるキョウチクトウの仲間なので排気ガスにも強いです。
道路に面した場所、駐車場の近くでもきれいな花を咲かせてくれますよ。
定番色は、白、紅色、赤、ピンクですが、最近は薄い青紫色などいろんな色が登場しています。
樹形や花の形もいろいろで、フリンジ咲きタイプとか、サントリー「フェアリースター」のようにちっちゃなちっちゃなニチニチソウもあります。
背丈は通常20cm〜50cmぐらいですが、私の仲間がつくった「トコナツ」シリーズには70cm以上まで成長する大型品種もあります。
ほかに、地面を這う(はう)ように広がる這性品種もあります。
寄せ植えやハンギングバスケットなら手前に這性品種をしだれさせると、とてもきれいです。奥に背が高めの品種を植えるなど、いろんな品種のニチニチソウを組み合わせるといいんじゃないかな。
3:ニチニチソウの根は切らないで!
先日、高松の講習会で「ペチュニアは定植前に根を切って」とお伝えしました。
でも、ニチニチソウは根を切っちゃダメなんです。「直根植物」といって、太い根が枝分かれせずまっすぐ下に伸びる直根性の植物なので、根を切ってしまったら水を吸い上げられなくなっ
て、そのまま、パタッとお亡くなりになってしまいます。
だから、ニチニチソウは絶対に根を切らないでください!
苗ポットからポコッとやさしく抜いて下の写真のように
そのまま植えてくださいね。
4:深めのプランターを選ぼう!
ニチニチソウは直根植物だから、根が下の方にぐんぐん伸びていきます。
そのため、やや深めのプランターに植えたほうがいいんです。
浅鉢に植えると根がぶつかっちゃって、それ以上、伸びなくなります。
根の成長が止まると同時に上への成長も止まっちゃうので、プランターの深さは最低20cmは欲しいな。
どうしてもダメなわけじゃないけど、浅過ぎると花つきが悪くなったりします。
また、下の方まで根が伸びる直根植物なので、水はけのいい状態にしてくれる構造の植木鉢であれば鉢底石は入れなくていいですからね。
あとは、品種にもよるけど、結構、株が大きく育つので、植木鉢の場合は尺鉢に3ポットぐらい。
花だんの場合は株間30cmぐらいあけて植えてください。
20cm以上の深さの土を一度、しっかり耕してから植えてあげるといい株に育ちますよ。
耕すか、耕さないかでニチニチソウは全然、違います。
耕し方が足らず、土が固いままだと葉っぱが黄緑色になっちゃうので、しっかり耕してください。
5:どんな土が適している?
植物を育てる場合、新たに土を買うのが常識ですが、それは、なぜでしょうか?
第一に、古い土には病気のモトとなる雑菌類が繁殖している恐れがあるから。
第二に、冬の寒さや水やり、雨などによって、古い土の中にあった赤玉土などのつぶつぶが粉々になってドロ状になり、土の中にあった空気を全部外に出してしまってるからなんですよ。
つまり、土の中にあった空気の部分に細かい泥の微塵が詰まっちゃって酸欠状態になる。
そこに植物を植えても根を張れませんよね。
ということで、土は新しいものを購入しましょう。タイムズファームの培養土「花と野菜の土」がオススメですよ。
苗を購入したら深さ5cmぐらいに水を張ったバケツにポットごと入れて、ひと晩しっかり水を吸収させてから植え込んでくださいね。
なお、土については、また改めてじっくり、お話したいと思います!
7月13日に投稿を予定しております。乞うご期待!
6:定期的な追肥を切らさないで!
ニチニチソウって、漢字で書くと「日々草」ですよね。
その名のとおり、毎日、次々と咲いて夏の庭を彩ってくれます。
5月の上旬に植え込むと早いものは6月ぐらいから咲き始め、7、8、9、10月ぐらいまで、およそ5か月の間も咲いてくれます。
なので、定期的に肥料をあげないと栄養不足で花数がぐっと減ってしまいます。
緩効性化成肥料「花咲く化成肥料」を適量与えてあげてください。
7:雨のあとの「立ち枯れ」に注意!
品種にもよりますが、ニチニチソウは、とつぜん立ち枯れすることがあります。
雨が大量に降ったあと、急激に暑くなることがありますよね。
土の中が高温多湿になった時に葉っぱが一斉にパラパラッと落ちてしまい、茎だけになってしまうと光合成できなくてお亡くなりに。
ここ最近、非常に多いですね。
立ち枯れを防ぐのは難しいのですが、雨の日には透明なビニール傘をさしてあげて、植木鉢の土壌ができるだけ濡れないようにしてあげるといいと思います。または、軒下とか雨の当たらないところに入れてあげて、雨上がりの蒸し蒸し状態が落ち着いてから屋外に出してあげましょう。
長雨の時は、カラッとした部屋の中に一時的に避難させてもいいでしょう(長期はダメですよ)。
雨が続くと根腐れすることもありますね。
立ち枯れも、根腐れも、原因は地面の中にあるんです。
花だんの場合、水の通り道の近くに植えてあるニチニチソウは、毎年ぐったりしてしまいます。水が溜まる場所の近くも枯れますね。
だから、私はスタッフに「雨の日、特に、大雨の日には花だんに行こう!」とよく言っています。
水の通り道が庭のどこにあるか、水たまりがどこにあるかをしっかり把握するには、雨の庭をじっくり見ること。
ぜひ、皆さんも雨の日にご自宅のお庭をご覧ください。
水が流れる場所と水が溜まる場所をしっかりと頭に焼きつけて、その場所にはニチニチソウを植えないようにしましょう。
雨の庭を眺めるのも風情があっていいものですよ。
Q&A
Q:どうすれば、花数をもっと増やせますか?
A:タイムズファームで育てたニチニチソウの苗は、全て1回、摘芯(ピンチ)しているから、そのまま植えても他店のものに比べて芽数が多いはず、なのだそうです。
それでも「もっともっと花数を増やしたい!」という場合は、買ったらすぐに苗の先端を切ってください。
すると、さらに芽数が増え、株も大きくなりますよ。
ただし、ニチニチソウの切り戻しは、やや難易度高め。
もし、摘芯するなら、葉っぱをしっかり残して先端部だけ取ってあげましょう。
摘芯したほうが分枝して花数は増えますが、葉っぱがあまり出てないようだったら無理に摘芯することはないと思いますよ。
また、摘芯すると、茎から乳白色のベトベトした液体が出ますから、あまり手につけないよう、しっかり手袋をして大事な手を守ってくださいね。
Q:くたっとなって元気がありません。
A: ニチニチソウは“蒸れ”に弱く、高温多湿の場所では、私が管理していても枯れることがあります。
くたっとしているのは加湿が原因の場合がほとんど。水のやり過ぎなどが原因で根が傷んでしまい、水がうまく上がっていない状態です。
ニチニチソウはペチュニアみたいに切り戻したら復活する花とは違い、葉っぱがパラパラ落ちだしたら、もう戻りません。そうなったら、即抜き取ってください。
くたっとなるのを予防するには、“蒸れない”状態をつくってあげること。
通常種は、思った以上に大きくなります。だから、鉢に植える場合は、ある程度、株間をあけて風通しを良くしましょう。
3色を尺鉢に1ポットずつ植えるようなイメージでいいかも。
Q:アブラムシを見つけました(涙)。どうしたら良いですか?
A: アブラムシ、ダニ、ミカンキイロアザミウマといった、花によくつく害虫が出てきます。見つけたらすぐ、薬剤で防除しましょう。
投稿日:2022年5月11日