第4回夏の必需品!キュウリ
第4回 夏の必需品!キュウリ
みなさん、こんにちは!
園芸研究家の矢澤秀成です。
春になると、蔵元限定の新酒が
出回り始めるんですよね。
そろそろビールも
おいしい季節になって
作業のあとの酒と肴が楽しみで仕方ありません(笑)。
そして、何といっても
これからの時期、
おつまみに欠かせない野菜といえば
「キュウリ」です。
第4回は待望の!?
「キュウリ」についてお話しします。
目次
1:うどんこ病に強い苗を選んで
キュウリは、「うどんこ病」に気をつければ
比較的、育てやすい野菜です。
タイムの野菜苗販売ランキングでも
キュウリはトマトに次いで2位。
人気の高い野菜苗です。
ちなみに「うどんこ病」とは
名前の通り、うどん粉を吹いたような
白いカビが葉っぱの表面に生える病気です。
放っておくとキュウリは確実に弱るので、
早期の発見・対策が必要なんです。
そこで、初心者の方や
失敗したくない方にオススメしているのが
「うどんこ病」に対して抵抗性のある苗です。
抵抗の強さは「強」「中程度」などと
表示されています。
かなり抵抗性が強い品種でも
「うどんこ病」は完全には防げないもの。
本当に、かかりやすい病気なので、
できるだけ抵抗性が強いものを
購入された方が良いと思います。
「うどんこつよし」
「強健豊作」
「スーパーキュウリ つよっしー®」などがオススメです。
※「スーパーキュウリ つよっしー®」は、5月10日ごろ各店で販売予定です。
※入荷日に関しては日程が前後する場合がございます。ご了承ください。
2:接木苗と実生苗
キュウリ苗の売り場に行くと
「接木苗(つぎきなえ)」と「実生苗(みしょうなえ)」の
2種類が並んでいます。
さぁ、どちらが育てやすいでしょうか?
答えは、接木苗です。
実生苗は、種から育てた苗のこと。
接木苗は、専用に品種改良された
「台木」と呼ばれる根っこの部分に
育てたい苗(穂木)を接いである苗。
すなわち、接木苗は苗2本分、なのです。
根の生育が早く、
強いので病気を寄せ付けないから
成功率が高いのです。
私は、この「台木」の品種開発をしていたこともあります。
「台木」は目立たないけれど縁の下の力持ちなんですよ。
3:苗を購入したら水に浸けて!
ミニトマトの時にご紹介したように
苗を買ってきたら、ひと晩、水に浸けましょう。
売り場に並んでいる苗は、
購入する時間帯によっては
カラカラに乾いている場合もあります。
また、1回リセットさせてあげるという意味でも
私は、ひと晩かけて、しっかりと
水に浸けて給水させるようにしています。
給水させたら、
日当たりのよい畑に野菜用の培養土を入れて
定植させましょう。
活着させるため、最初は水をしっかり与えてください。
根が定着したと思ったら、ちょっと抜きぎみに。
4:急な気温低下や霜に注意!
キュウリは、ウリ科の植物なので
とっても霜に弱いんです。
なのに、キュウリの定植時期って、
急な気温低下や降霜があるんですよね。
そのため、支柱と透明な袋で苗を囲ってあげる
「霜対策」が大切になります。
八重桜が咲く4月中旬には
霜の心配はほとんどないのですが
地域によっては注意が必要です。
気温15℃を下回るような時期は、袋をかけてあげて
気温が上がってきたらスポッと取ってあげましょう。
最近は「苗帽子」という便利なグッズも販売されています。
5:キュウリの品種は、いっぱい!
キュウリの品種ってたくさんあるんですよね。
タイムの定番は「北進」「夏すずみ」です。
その中でもおすすめは病気に強く暑さに負けない「夏すずみ」です。
味が濃くて柔らかい食感が特徴の白いぼ系キュウリ、
蔓(つる)を地面に這わせるので
台風に強い地這いキュウリなど、
系統だけでもたくさんあります。
最近、人気が高まっているのが
「夏ばやし」「つやたろう」といった
粉がふかないブルームレスの
表面がテカテカした品種。
その名も「シャキット®」という
食感や香りのいい品種も登場。
そのほか、
サントリーの「スティックミニ」や、
ミニキュウリ「ラリーノ」など
ピクルスタイプの小さいキュウリも
人気がありますね。
6:キュウリはプランターでも育てられる!?
キュウリをお手軽にプランターで栽培したい!
そんな場合は、
野菜専用の大型プランターを
利用しましょう。
しっかり根を広げるために
たっぷりの土が必要なので
プランターのサイズは
深型10号/容量20ℓ以上をオススメします。
これに野菜用の培養土を入れて
1株程度の苗を植え、
支柱を立てます。
支柱を立てたらネットを張って
ひもなどでゆるやかに誘引しておけば
あとは、キュウリのつるが勝手に巻きついていきますが
ぐんぐん伸びていくので(笑)
ネットからはみ出たら切りましょう。
マンションのベランダでも
十分に日が当たり、風通しが良ければ
キュウリが実って収穫できますよ。
ベランダの場合は
横に長いタイプのプランターが便利でしょうね。
ただし、葉や枝が混み合うと
日照や風通しが悪くなり
病気や生育不良を引き起こしてしまうので
途中で葉や枝を整理しましょう。
その点、ミニサイズのキュウリだと
葉っぱも小さいので
プランター向きだと思いますよ。
7:支柱を立てよう!【畑編】
キュウリは、つる性植物なので
支柱が必要です。
支柱の長さは3mぐらい。
これを畑に数本挿してネットをかけ
格子状の壁を作り、
そこにキュウリを茂らせます。
ネットは栽培する場所や方法で大きさを選んでください。
キュウリで、緑のカーテンを
作られる方もいらっしゃいますよ。
8:ニラ、ニンニク、ネギと一緒に植える!?
私は、キュウリの近くには
必ずニラを植えています。
ニラは、ある程度伸びたらカマで刈って
レバニラ炒めにして食べる(笑)。
大事なことは、そこじゃなくて
ニラを切ると
ニラの香りがあたり一帯に広がりますよね。
この香り成分の「アリシン(硫化アリル)」が
キュウリの大敵「うどんこ病」を防ぐんです!
キュウリの近くに
ニラを植えておくだけでもいいんですが、
2週間に1回とか、定期的にカマで刈ると
アリシンの成分が周辺に飛んで
キュウリの耐病性が向上するんです。
コンパニオンプランツといって
一緒に育てることで良い影響を与え合う
そんな相性のいい組み合わせがあります。
キュウリの場合は
ニラとか、ネギ、ニンニク。
特に、ニラは多年草なので、一度、栽培したら
一生ものと言ってもいいくらい。
冬に地上部分が枯れても来年、芽を出してくれますよ。
9:追肥をしよう!
キュウリは、たくさん実がなるので
追肥をして栄養補給をしたほうがいいですね。
1本目が採れたら、1回目の追肥を与えてあげましょう。
葉っぱをしっかり育ててあげないと
実がつかないので
チッ素系を強めにしたほうがいいですね。
おいしいキュウリを作りたかったら
アミノ酸系肥料や、魚粉がオススメ。
旨味成分のアミノ酸が入り込んで
キュウリが旨くなるんですよ!
10:マメに水やりを!
キュウリは、ウリ科の植物なので
水やりはマメにしていただきたいと思います。
温室で作る場合の水やりは
週3日ぐらい。
屋外の場合は、週2ぐらいでいいと思いますよ。
ただし、あんまり水が多くなると
葉が白い粉で覆われてしまう「うどんこ病」が
出ちゃうので気をつけて!
11:気をつけたい害虫とウイルス
キュウリにつきやすい害虫は
ダニとアブラムシ。
オンシツコナジラミにも注意が必要です。
これらの害虫が葉などから吸汁すると
生育不良が起こります。
また、害虫がウイルスを媒介して、
葉っぱがモザイクのようにまだらになる「モザイク病」などの
伝染性の病気を引き起こすことがあります。
ダニやアブラムシは、見つけたらスグに
潰してください。
オンシツコナジラミ対策としては
近くにハエトリ紙をぶら下げておくといいですよ。
Q&A
Q:摘芯のタイミングは、いつ?
A:キュウリは、そのまま伸ばしっぱなしでも実りますが
自分の背丈くらいまで伸びてきたら、
上を摘芯(ピンチ)して脇芽を作り
横に広げていきましょう。
収穫するのに、自分の手が届くところまでに
背丈を止めた方がいいですからね。
Q:曲がっちゃいました。
A:いろんな要因がありますよね。気候もあるし、
雨が続いたら曲がりやすくなったり、
ただ、曲がっても味は一緒なので
曲がったら乱切りにして漬物にして食べましょう(笑)!
キュウリは、炒め物にしてもおいしいですよね。
でも、ウチの場合は、どちらかというと漬物ですね。
夏は塩昆布で和えてね。あとは、ゴマをちょっと少々入れる。
酒の肴に最高です。
投稿日:2022年4月27日