でんえん

SNSをフォローして最新情報をCHECK!

INNATURA

矢澤先生によるコラム 教えて!矢澤先生!

育種家として第一線で活躍する
矢澤秀成さんによる園芸の旬な情報をお届け

第78回庭木の「剪定」を楽しもう!

みなさん、こんにちは!

園芸研究家の矢澤秀成です。

 

私が講師を務めさせていただいている講座の中で、

いま、人気が高いのは「剪定講座」。

男性の受講生がすごく多いです。

 

中には「木登りが得意!」という方もおられますが

くれぐれも安全第一で作業していただきたい!!

そう思っているので

私は講座の前に、工具の使い方や

脚立の使い方から教えています。

 

また、最近は、街路樹の落ち葉を

掃除しなくて良いように

本来の剪定時期より早く剪定されているのですが、

それを見た市民のみなさんが

「いま、切るのか」と誤解してしまう、

そんな困ったことが起きています。

 

できれば植物にとってベストなタイミングで

剪定してあげてほしいんですよね。

 

ということで、第78回は、

「剪定」について学びながら楽しみましょう。

 

 

:剪定とは

樹木の伸びた枝を切り落とすことを「剪定」と言います。

剪定の目的は、大きく分けて3つあります。

  • 大きさや樹形を整える
  • 枝を充実させる
  • 樹木の健康を守る

 

大きさや樹形を整えるというのは

分かりやすいですよね。

枝を切りそろえるだけでなく、

鉢の大きさや庭のスペースに合うサイズに

調整することも剪定の大きな目的です。

花木の場合は、花を観賞しやすい高さに整える、

そんなことも考えながら行います。

 

剪定によって枝を充実させる、とは

どういうことかというと

剪定すると芽の数が少なくなるので

そのぶん、栄養が分散せず、

残った芽に栄養がいきわたるので

枝がガッチリしてくるんです。

 

さらに、繁り過ぎた枝を切ることによって

それまで日光が当たっていなかった

内側の枝にも光が当たるようになるうえ

風通しも良くなるので

病害虫の発生を防げるというメリットもあります。

 

剪定することで樹形の美しさを保てるだけでなく、

樹木の健康も守れるので、

庭木を長く楽しみたいと思ったら

適切な剪定は欠かせません。

最近、花木に咲く花の数が減ったなぁ、

というときにも剪定が有効かもしれませんよ。

 

 

:剪定の前に道具をチェックしよう!

剪定に取り掛かる前に、

まず、安定性の高い脚立を準備して

正しい使い方を確認しましょう。

また、よく切れるハサミなどの剪定道具も

揃えてくださいね。

 

・脚立の脚はロックして使おう

脚立には、いろんな種類があります。

園芸業者さんがよく使うのは

木に立てかけて使う三本脚のものですが

倒れやすいので、

前後両方から登れる四脚タイプの脚立を準備して

必ず脚をロックしてから

登るようにしてくださいね。

 

狭いところにも入りやすいように

脚の幅を変えられる四脚の脚立もあるので

ご自分の庭に合う脚立を選んでください。

園芸三脚
脚立売り場

・一番上の天板には乗らない!

脚立の天板に乗って転落する方、

毎年、結構いらっしゃるんですよ。

本当に危ないですから

脚立の天板に乗ったり、

天板をまたいだりしてはいけませんよ。

 

・作業は必ず2人以上で行うこと

誰かに脚立を押さえてもらって

作業するようにしましょう。

事故予防にもなりますよ。

 

・安全装備はしっかり!

脚立に登るときは長靴禁止です。

長靴はスベるので危ないですよ。

足にフィットするような紐靴が一番安全です。

もちろん、紐はキュッとしっかり結んでね。

また、私は必ずヘルメットを着用しています。

防護メガネもあると安心ですよ。

ヘルメット
保護メガネ
安全メガネ

あとは、ちょっと分厚い皮製の手袋を使いましょう。

枝に引っ掛けちゃったりするので、

軍手よりも皮手袋の方が安全です。

 

・よく切れるハサミを使おう!

ハサミは、よく切れるように

しっかりメンテナンスしましょう。

剪定用ハサミのほかに、

枝の太さによっては小型チェーンソーもあると便利ですね。

 

 

:剪定は、いつするの?

できるだけ庭木を大きくしないように

1年に1回程度、剪定するようにしましょう。

 

では、1年のうちの、いつ切るのか?

 

剪定は、樹木の休眠期間に合わせて行うのですが

落葉樹と常緑樹では休眠の時期が異なるので

剪定の時期も違ってきます。

なので、切ろうとする木の休眠期間を調べてから

剪定してあげてくださいね。

 

落葉樹は葉っぱが落ちたあとに休眠するので

11月〜2月の間に切ります。

同じ落葉樹でも、木によって

休眠の時期は異なるので、よく調べましょう。

 

例えばモミジやサクラは

年内(クリスマスぐらいまで)に剪定します。

モミジやサクラを年が明けてから切ると

切り口から、ぽたんぽたんと涙を流しますよ。

モミジやサクラは、年が開けると休眠から覚めて

根が動き出すので切り口から樹液が垂れちゃうんです。

カエデ

一方、常緑樹を秋冬に剪定してしまうと、

木が寒がってしまって

枯れてしまう危険があります。

例えば、常緑のコニファーを冬の時期に

剪定してしまうと大概、枯れてしまいます。

部分枯れすることもあるので気をつけてください。

コニファー

常緑樹は1年中葉っぱがあるので

冬に強いんじゃないかと思われがちですが、

じつは、常緑樹は寒さに弱い。

だから、幹を守るために夏の間に葉っぱをたくさん蓄えて

その葉っぱと一緒に冬を越し、春を迎えます。

 

では、常緑樹はいつ剪定するかというと

本来、5月・6月の初夏に剪定します。

 

そのほか、ツバキやサザンカなどの花木は

花が終わってから剪定します。

花木の場合は、春に咲く花木と夏に咲く花木でも

剪定の時期は異なります。

それは、花芽形成の時期が違うから。

 

サクラや花桃など、春に咲く花木の多くは

前年に伸びた枝に花芽形成するんですね。

例えば、サクラの花芽は夏にはできてしまってるんで、

秋に剪定すると花芽を切ってしまうことになります。

なので、サクラを剪定する場合は、

落葉後の晩秋に枝剪定や樹形を整える剪定を行い、

大きな剪定は花後1ヶ月後ぐらいに行いましょう。

サクラ(売り場の苗木)

9月頃に咲くキンモクセイなど、夏の花木は、

その年に伸びた枝に花をつけるものが多いです。

花芽形成は約1か月前なので7月〜8月ぐらい。

花芽形成の時期と、花が咲く時期が非常に近いので、

春先まで剪定しても大丈夫なんですよ。

 

 

:自然樹形を保つ「透かし剪定」をマスターしよう!

剪定には、伸び過ぎた枝を

大きく切り戻す強剪定や

生垣に使われる刈り込み剪定(切り込み剪定)など

いろんな手法があります。

 

その中で、自然で美しい樹形が保てる剪定方法を

「透かし剪定」といいます。

「透かし剪定」とは、

枝を間引くようなイメージ、と言ったらいいかな。

先端部分と余分な枝を切ってあげる剪定です。

 

透かし剪定をしてあげると

「切った」という感じがしない、

自然な樹形に仕上がりますよ。

 

また、透かし剪定を毎年やっておくと

木が大きくならないというメリットもあります。

 

では、庭木のどこを切るのか。

 

次のイラストをご参照ください。

●並行枝:上下に並行して伸びる枝。日光が当たりにくくなり風通しが悪くなる
●込み枝:数本の枝が重なるように密集して出ている枝
●からみ枝:他の枝とぶつかる、絡む
●立ち枝:真上に伸びる枝
●徒長枝:異常に長くまっすぐ伸びる枝
●下がり枝:下向きに伸びた枝
●逆さ枝:幹に向かって伸びる枝
●ひこばえ:株元から出る若枝。養分を吸い取ってしまう

 

まず、一番下からたくさん生えてくる「ひこばえ」を切ります。

次は、枯れ枝剪定ですね。

枯れた枝は見つけたらすぐ切りましょう。

 

あとは、平行枝。

近くて同じ方向を向いている2本の枝は、

平行になって伸びてしまうので平行枝と言います。

平行する上の枝の影になって

下の平行枝に日が当たらなくなるので、

平行に重なっている枝は、

元気な方を残して、もう1本の方を切ります。

しだれ枝も同じです。重なっている枝は、

そのままにしておくと、どちらかが枯れてしまうので

どちらか1本に絞りましょう。

 

それから徒長枝と言って、

まっすぐ上に伸びている枝。

これ、癖ものなんですね。

樹木は、まっすぐ伸びる枝ほど成長がものすごく早いんです。

徒長枝は、倍ぐらいの速度で上に伸びるので

ちょっと油断するとすぐ1 m〜2 mになっちゃうんですね。

そうならないように、上にまっすぐ伸びる枝=徒長枝は

早めに切りましょう。

 

あとは、逆さ枝。

幹に向かって伸びる枝が

葉っぱを茂らすと余計に蒸れちゃうんで

逆さ枝も切ります。

 

そして、枝の外芽と内側の芽がありますが

内芽は逆さ枝になるので、

外芽の上で切るようにします。

 

覚えておきたいのは、

枝を切りながら切り口に

癒合剤を塗るということ。

癒合剤は殺菌剤になりますので、

切り口からバイキンが入るのを

防いでくれます。

私は、切っては塗る、

切っては塗るを繰り返すようにして

切り口に癒合剤を塗るようにしています。

癒合剤 トップジンMペースト
癒合剤 カルスメイト

 

:ブツ切りは避けたい!

庭木を剪定しないまま何年も放っていたら、

幹の上部でブツッと切るような

非常にカッコ悪い剪定をすることになります。

いわゆる切り戻し剪定ですが、

私は「ブツ切り剪定」と呼んでいます。

 

こういう切り方をすると

切ったところから何十本も枝が出て

翌年には、その枝がさらに分枝して増え

さらに、剪定が大変になるという悪循環に陥ります。

 

枝をブツ切りされた樹木は、

葉っぱが大幅に減ってしまったために

栄養を作る光合成ができなくなっちゃうんですね。

なので、何とか光合成をしようと

あわてて切り口から枝をいっぱい伸ばして、

葉っぱをたくさん作ろうとするんです。

 

ですから、やむを得ずブツ切りしたときは、

半年以内に枝数を数本減らすようにします。

そうしないと樹形がものすごく乱れてしまうので

気をつけてください。

 

 

:剪定後には道具のメンテナンスを!

ハサミは、使い終わったら必ずヤニを落とすこと。

そのままにしていると切れなくなっちゃうし

病気を媒介する原因にもなるので

私はビストロンという液体に

ハサミの刃先をつけて消毒しています。

病気が広がらないようにするためにも、

ハサミのメンテナンスは大事ですよ。

ヤニ落とし
ハサミの消毒には逆性石鹸がおすすめ

第79回目は、つるものベリーについてお話しします。

2026年2月11日ごろ投稿ですので、次回もお楽しみに!

 

投稿日:2026年1月14日

この記事のカテゴリ

矢澤先生のプロフィール

ホームセンタータイム
ガーデンアドバイザー
矢澤 秀成 先生

矢澤 秀成 先生

現在、やざわ花育種株式会社、葉乃畑合同会社に所属し、代表取締役社長を務める。
種苗会社植物バイオ研究室に16年勤務し、多くの花や野菜を開発する。その間、国内新花コンテストで金賞を含む18回入賞、社内では社長賞2回受賞する。
種苗会社退職後、大手ホームセンター商品開発部長及び顧問、大手肥料メーカー顧問、パテント会社代表、野菜市場顧問、ガーデンセンター顧問などを歴任。多くの植物園などのヘッドガーデナーや監修を行う。
育種家として、多くの個性的な花や野菜、漢方薬などの新種育成を行っており、18年前から全国各地の小学生を対象にした授業「育種寺子屋」を行う。子供たち自身が交配して世界に一つだけの小さな種を作り、その種を大切に育て世界に一つだけの花を咲かせる授業を行っている。さらに「人は花を育てる 花は人を育てる」を掲げ、2002年から地域の花好きを育て、そして花の街を育てる「花のマイスター養成制度」を提案しスタートする。現在全国各地でマイスターを育てる花の学校を開校し、マイスターと共に花いっぱいの公園づくりや街づくりに取り組んでいる。
NHK総合TV「あさイチ」、NHK-ETV「趣味の園芸」、NHK長野「ひるとく」、BS-日テレ「麗しの庭散策」、SBCラジオ「ずくだせ エブリデイ」、篠ノ井有線放送「花暦」などの多くの園芸番組の講師として出演中。全国で講習、講演活動を多数行い、園芸関連多数執筆中。