第70回集めて楽しい夏型・多肉植物!「カランコエ」

みなさん、こんにちは!
園芸研究家の矢澤秀成です。
8月の終わり頃になると
夏型の多肉植物が色づいてきます。
どんな風に紅葉するのか、
また、カラフルな花を見て買うなら
この時期がオススメですよ。
私は今から20年ぐらい前、
「カランコエ」という夏型・多肉植物の
品種登録のお手伝いをしていました。
オランダから最新のカランコエの品種が送られてきて
その栽培試験をしていたんですね。
日本に初めて八重咲きのカランコエが
導入された場面にも関わったんですよ。
カランコエって、
本当にいろんな種類があって面白いので
一時期、たくさん集めていました。
ということで、第70回は、
夏型の多肉植物
「カランコエ」についてお話します。
1:カランコエとは
カランコエは、ベンケイソウ科
リュウキュウベンケイ属(カランコエ属)の多年草です。
原産地は、アフリカ南部・東部、アラビア半島、
東アジア、東南アジア。
開花期は12〜5月です。
赤やピンクなど、色鮮やかな花がキレイな多肉植物で、
夏に生育して、春秋は生育がゆるやかになり、
冬の前に開花し(短日で開花)、冬は休眠します。
基本的には、鉢植えで栽培しますね。
八重咲きやベル型の花は切り花でも流通していますよ。
生育適温は20℃から30℃。
耐暑性は強なのですが、耐寒性は弱から中。
寒さには、ちょっと弱いです。
2:園芸品種も原種も豊富!
カランコエには面白いものがいっぱいあるので
一時期、世界の国々から
カランコエの原種を集めて栽培していたことがあります。
一般的な草丈は10〜50cmですが、
中には80cmくらいまで背が高くなるのもありますよ。
ベル型の花も、大きさが大小様々で面白いです。
一般に流通している園芸品種の中では
素朴な一重咲きタイプは花色が豊富。
金色や赤、ピンクなど色も鮮やかです。
小輪ですが花数が多く、
長い間、花を楽しめる点も人気の理由です。
ベル型タイプは12月から3月にかけて開花します。
次々と花が咲き続けるので
冬の貴重な鉢花になりますよ。



ちなみに
一般的に出回る園芸品種のカランコエの花は
華やかな色が多いんですけど
原種のカランコエは渋い、というか、
美しいとは言えない、かなぁ。
黒々としていたり、点々がいっぱいあったり、
よく見ると気持ち悪かったり!?
ちょっと個性的ですが、好きな人はハマると思います。
3:置き場所について
カランコエは基本的に日当たりを好みますが
強い日差しや西日が鉢の温度を上げると
株が弱ってしまいます。
葉が焼けることもあるので
強い日差しと西日は避けてください。
水はけや風通しの良い場所で
育てましょう。
寒さにも弱いので、
冬場は室温10℃以上の室内へ。
窓辺など、明るい場所に置くとよいでしょう。
気温10℃を下回るとつぼみがつきにくくなり、
2℃以下になると休眠状態になります。
私の経験では、横浜の屋外で一年中育てていたので
2℃くらいまでは大丈夫だと思いますよ。
でも、あまり冷えすぎると枯れる危険があるので
基本的には、冬場は室内に入れてあげましょう。
温室があれば理想的です。
4:乾燥気味に保ちましょう!
4月から9月にかけての生育期は
土の表面が乾いたらたっぷりと水やりをしましょう。
一方、秋から春までの期間は乾き気味に保つこと。
多肉植物は根が細いため、
過湿にすると根腐れしやすいので注意が必要です。
絶対に乾き気味!!
この点を守ってくださいね。
といっても、
乾き気味に保つのは、
なかなか難しいんですよね。
つい水をやり過ぎて過湿になりがちです。
多肉植物なので、
葉っぱがちょっと、ふにゃふにゃし始めるぐらいまで
我慢しても大丈夫です。
1回どのくらいまで水をやらなくても耐えられるのか、
様子を見ながら水やりを我慢してみてもいいと思いますよ。
私もそうやって、ギリギリまで水やりを我慢して
水やりの感覚を鍛えてきました。
いっぱい失敗もしてきましたが(苦笑)。
5:花がらつみと薄めの液体肥料
カランコエの開花株を購入したら、
咲き終わった花は花首からカットしていきましょう。
肥料は、夏から秋にかけての生育期に、
規定の量の2倍に薄めた液体肥料を
週1回与えれば十分です。

6:冬越しは室内または温室で
カランコエは、日照時間が短くなると花を咲かせる短日植物なので
リビングなど、ずっと照明をつけている部屋に置いていたら
花が咲かなくなることがあるんですね。
秋に購入したばかりの株だったら、
すでに花芽ができているから開花するとは思いますが、
前年から株を持ち越して、
お家の中で栽培していると
「2年目に花が咲かない」ということが、よくあります。
その場合は、明るい時間が長く、
短日になっていない可能性があります。
なので、玄関など、夜の間、
あまり灯りをつけないような場所に
置いておくといいですよ。
理想は、屋外の温室に置いておくこと。
外の温室だと、何もしなくても
冬になれば自然と短日になるので
花芽がちゃんと形成されるでしょう。

7:草姿が乱れたら切り戻しを
花を楽しんで冬越ししたカランコエの鉢植えは、
春先になると草姿が乱れて花つきも悪くなるので
1回リセットするために
株元から約10 cmの高さで切り戻します。
カランコエは、株分け・葉挿しで増やすこともできるので
切り戻しのタイミングで
葉挿しに挑戦してみてもいいと思いますよ。
8:初夏に植え替えを
初夏になったら(5月〜6月ぐらい)、
ひと回り大きな鉢に植え替えましょう。
根っこをいじるのは初夏がいいと思います。
植え替える時は、水はけの良い
多肉植物用の培養土を使って
浅く植え付けるようにしましょう。
茎の上の方まで土中に埋めちゃうと腐っちゃうので、
根っこが埋まるくらいのギリギリでいいですよ。


植え替えたら2週間後に
粒状の緩効性活性肥料を適量施しましょう。

9:病気・害虫よりも強い西日の方が危険!
カランコエは、病気や害虫の被害がほとんどないんですね。
病気・害虫よりも
強い西日に当たってパリパリに乾燥するとか、
そういう物理的なダメージを受けて
枯れる方が多いです。
水加減と太陽の光の当たり方に
気をつけてあげてください。
あと、冬の寒さに弱いので
凍ってしまったらダメになってしまうことも
お忘れなく。
第70回目は、ハクサイについてお話しします。
9月10日ごろ投稿ですので、次回もお楽しみに!
投稿日:2025年8月27日