第53回美味(ウマ)い「ダイコン」を育てるには
みなさん、こんにちは!
園芸研究家の矢澤秀成です。
日本の秋・冬の食卓に欠かせない野菜といえば
やっぱり「ダイコン」じゃないでしょうか?
おでんに漬物、サンマに添えるおろし、
煮物やお味噌汁、薬味にも使えるうえに
茎・葉も丸ごと食べられて栄養満点!
とくに、甘くて太めのおでんダイコンが美味(ウマ)い!
私の大好物なんです。
「ダイコン」の種まきは、
春に種をまいて梅雨前に収穫する「春まき」と
秋に種をまいて冬から春にかけて収穫する「秋まき」の
年2回チャンスがありますが
「秋まき」のほうが、病害虫の被害やリスクが低く
育てやすいので初心者さんにもオススメです!
ということで、第53回は「秋冬ダイコン」のお話です。
目次
1:秋冬収穫の品種を選ぼう
「ダイコン」はアブラナ科ダイコン属の根菜。
原産地は中国・地中海沿岸・中央アジアです。
品種はとても豊富で
「三浦大根」「練馬大根」など土地に根ざした品種、
おでんなどの煮物に適した品種、
プランターでも育てられる「ミニ大根(サラダダイコン)」、
信州の「ねずみ大根」のような辛味大根もありますね。
ちなみに、ダイコンは根菜なので、
途中で植え替えることができません。
そのため、苗を買って育てるのではなく
種から育てることになります。
発芽適温・生育適温は、ともに20〜25℃。
春まきタイプと秋まきタイプがあり、
春まきの収穫期は5〜6月、
秋まきの収穫期は10〜12月。
ということで、
種を買う場合は「いつ収穫するか」を決めて、
収穫したい時期にあった種を選びましょう。
さらに、種まきから収穫までの日数によって
早生種・中生種・晩生種があります。
早生種は種まきから収穫まで55〜60日。
中生種は70〜80日、
晩生種は90日以上かかります。
一般の人は90日も待てないので、
晩生種はプロの生産者向けと思っていいでしょう。
初心者さんは、なるべく早生種を選ぶと
失敗が少ないですよ。
2:畑の準備は早めに!
ダイコンの早生種を育てるならば
種まきから60日程度で収穫になるので
10月上旬に畑を耕し、10月中頃に種まきすると
年内から年明けに収穫できることになります。
植える場所は、
日当たりがよく、水はけや風通しの良い場所を選ぶこと。
さらに、場所を決めたら
種まきの2週間前に苦土石灰をまいて中和し、
種まきの1週間前には畑全面に堆肥を入れて耕し、
畝を立てます。
この際、まっすぐな大根を育てるために、
土や堆肥の塊ができないよう深く耕すことが大切。
ダイコンは、土の中に小石や枝などが入っていると
そこを避けて成長するので
土の中で2つに割れたり、曲がったりします。
それはそれで、おもしろダイコンとして
インスタに写真をアップするのも楽しいですけどね。
できるだけ、小石や枝も取り除くようにしましょう。
畝も高めがいいですね。
最低でも10cmあったほうがいいでしょう。
ダイコン自身が成長してくると、
土の表面から首がせり上がってくるので
様子を見ながら株元に土寄せしてもらったらいいと思います。
ただ、心配なのは10月の気温。
昨年(2023年)の10月初旬は気温が高かったので
ダイコン苗の生育が悪かったんですよ。
今年も10月上旬まで残暑が続きそう、という予報です。
もしも暑い場合は、マルチのサイド(横)部分を土に埋めないで
留め具だけで押さえるようにしてください。
つまり、マルチのサイドがパタパタと風にひらめくようにして
通気性を良くしてムレを防いであげるといいでしょう。
なお、プランターで栽培する場合は
深鉢のプランターを選んだほうがいいでしょう。
土は、野菜用の培養土を使用します。
3:種をまこう
種をまく際は、30cm間隔で5〜6粒ずつ直まきし、
その上に土を1cmくらいかぶせたほうが
ふた葉がしっかり安定しますよ。
あと、ふた葉は、ヨトウムシや蝶々の幼虫といった虫や鳥に
食べられてしまうことが多いので
種と一緒にオルトラン(殺虫剤)をまいておきましょう。
農薬を使いたくなければ
防虫ネットなどを用いて
ふた葉を守りましょう。
とにかく、ダイコン栽培で成功するには
栽培初期に、虫や鳥に食べられないことが一番のポイント。
食べられたらおしまいですからね。
とくに、鳥はダイコンの芽が大好きなんですよ。
ダイコンの葉っぱが、
スパッと刃物で切られたみたいな形で
ちょこっとだけ残った状態になっていたら
鳥が食べたと思っていいでしょう。
一方、昨日まで元気だったふた葉が
朝起きると棒(茎)だけになっていたら
犯人はヨトウムシの確率が高いです。
こんな風に鳥や虫に狙われているダイコンの双葉は
狙われていますが、
種まきの際、一緒にオルトラン(殺虫剤)をまいておけば
2週間くらい薬の効果が持続します。
本葉が見えるくらいまで大丈夫。
小さな葉を守ることができるでしょう。
その後、もう1回、オルトランをかけたほうが安心です。
4:種5粒→1本まで間引きしましょう
種まき後、7〜10日で発芽します。
次に本葉が出たら
種を5〜6粒まいたなら半分くらい
間引いて3本にします。
この時、葉が元気なもの、健康そうなのを残しましょう。
さらに、本葉3〜4枚に成長したら2本にします。
そして、もう2週間ぐらいして
本葉6〜7枚になったら
1本にしぼって軽く土を寄せてください。
とにかく、一番健康そうなものを残すようにして
最終的に1本立ちさせましょう。
私は、最初から1か所に3粒ずつくらい
種をまくようにしているので、
間引く際、あまり悩まなくてすみます。
だって、4〜5粒も間引くなんて、もったいないもん。
間引いた葉っぱも
味噌汁に入れて食べちゃいますけど
種まき時にオルトラン(殺虫剤)を一緒にまいた場合は、
間引き菜は食べないようにしたほうが良いでしょう。
5:発芽するまでは水をたっぷり
水やりについては
種まきから発芽まではたっぷり与えます。
発芽したあとは、
土の表面が乾いたらたっぷり与えましょう。
本葉3〜4枚までは、まだ根が十分に張っていないので
土の表面が乾いたら水を与える必要がありますが
しっかり根が張ったあとは、
畑の場合に限り、
水をほとんどやらなくて大丈夫です。
ただし、プランターの場合は、
土の表面や葉っぱの様子を見ながら
乾いていたら、しっかり水をあげるようにしましょう。
6:肥料は種まきの2週間後から
種まきから2週間経ったら、
そろそろ根が栄養を吸収し始めるので
粒状の緩効性化成肥料を適量まきましょう。
そのあとも、2週間に1回のペースで
緩効性化成肥料を与えましょう。
7:葉が枯れ始めたら収穫のサイン
一般的に、ダイコンは
地上にのぞいた根(首)の太さが6〜8cmになったら収穫、
と言われています。
それでもいいんですけどね。
私は、葉っぱの様子を見て収穫しています。
収穫時期になると、ダイコンの葉っぱは枯れ始めるんですよ。
それまでは、葉っぱがピンと上向きに立っているんですが
収穫間近になると、だんだん葉が横に垂れてくる。
つまり、葉っぱが垂れてきたら収穫の合図です。
収穫時期を過ぎてしまうと
花が咲いてしまい、ダイコンがおいしくなくなるんですが
秋まきの場合、
トウ立ちしない(花が咲かない)ものを選抜しているので
失敗が少ないと思います。
もし、トウ立ちしても
ダイコンのつぼみは、おひたしにするとおいしいですよ。
花も食べられます。
8:病害虫対策は最初が肝心
11月ぐらいになれば害虫の心配はほとんどないですが
アブラムシやダニは、まだ出やすいです。
10月の種まき頃は、
蝶々も蛾も飛んでいるので、
害虫には本当に気をつけたほうが良いと思います。
何もしなければ、せっかく出た芽を
ムシに全部食べられてしまう可能性が高いです。
だけど、最初の最初、種まき時に
オルトラン粒剤を土の中に適量混ぜこむだけで
害虫の被害は十分に防ぐことができますよ。
収穫する頃には、薬剤はすっかり消えているので
葉っぱも安心して食べられます。
病気については
秋まきの場合、ほとんど心配ないと思います。
気温差もあるので、病気が出にくい時期にあたります。
薬剤の使用は初期だけしっかり行えば
あとは心配ないので
収穫する頃には薬剤の影響は消えているので
安心して食べられますよ。
第54回目は、オリーブについてお話しします。
10月23日ごろ投稿ですので、次回もお楽しみに!
投稿日:2024年10月9日