第41回一家に1鉢! なが〜く楽しめる「マーガレット」
みなさん、こんにちは!
園芸研究家の矢澤秀成です。
春になると、キク科の花が
たくさん咲いてうれしくなりますね。
花の催しや、見頃を迎える庭園も多いです。
静岡県では「浜名湖花博」が6月16日まで開催中。
私が直接、手がけた庭では
軽井沢の旧スイス公使館(深山荘)のシェードガーデンに
キクの原種がたくさん咲きますよ。
でも、マーガレットの花畑って、
あんまり見ないよねぇ、と思っていたら
瀬戸内には、香川県三豊市に「フラワーパーク浦島」という
完全予約制のマーガレットガーデンがあるそうですね。
マーガレットは、初心者さんにオススメの花のひとつです。
1鉢置いておくと何年も楽しめますよ。
ということで、第41回は
「マーガレット」のお話です。
目次
1:マーガレットについて
「マーガレット」といえば、昔よく恋占いに使われていました。
じつはね、花びらの枚数は必ず奇数なんです。
だから、嫌いから始めると嫌いで終わっちゃう。
これ、豆知識として使えるかな。
元々マーガレットは、スペイン領カナリア諸島原産なのですが、
一般に流通しているマーガレットは、
モクシュンギクと近縁種を交配させた園芸品種です。
香りは、ほとんどありません。
多年草なので、上手に夏越し・冬越しできれば
毎年、咲いてくれるのですが
暑さや寒さに弱いものは1年草扱いかな。
開花期が11〜5月なので、
長期間、花を楽しむことができますが
基本的に冬の間は、花はちょっとお休み。
西日本では、霜に当てなければ
戸外でも冬越しできるでしょう。
ただし、強い霜に当たると葉っぱまで落ちてしまいます。
特にシュンギクと交雑したものは寒さに弱いので、
霜に当たるとしなびてしまうので気をつけて。
また、高温多湿に弱いので、
日本では夏の間、生育をお休みします。
2:品種
以前は、白いマーガレットと
八重咲きくらいしかなかったんだけど、
最近、マーガレットのラインナップが増えてきました。
花の大きさも大輪・中輪・小輪などさまざま。
草丈も1mぐらいになる高性種もあれば、
背の低い矮性種もあります。
最近、コンパクトな矮性種が増えていますね。
咲き方も、一重咲きや二重咲き、八重咲き、丁字咲き、ポンポン咲きなど
変化に富んでいます。
花色は、白のイメージが強いかもしれませんが、
ピンクや黄色、赤、クリーム、薄いオレンジなどもあります。
黄色系の園芸品種の中には、近縁のシュンギクとの
交配によって誕生したものもあります。
ハナワギクと交配させた園芸品種も増えています。
個人的に注目しているのは、
静岡県が開発した「サンデーリップル」。
暑さにも病気にも強く、
1株でも鉢いっぱいに大きくなりますよ。
少し背が高くて、かわいいピンク色の
「フェアリーライトピンク」も人気がありますね。
そのほか、丁字咲きの「あずきちゃん」、
ポンポン咲きの「マルコロッシ」など、
品種をあげるとキリがないですね。
3:植えつけ
マーガレットは高温多湿を嫌うので、
水はけの良い用土で植えつけましょう。
鉢で育てる場合は、
草花用の市販の培養土を利用すれば良いですが
花壇の場合、マーガレットは酸性土を嫌うので、
必ず植えつける2週間くらい前に
苦土石灰を土に混ぜて酸度を中和しましょう。
次に、購入した苗を鉢に植え替える場合、
根詰まりしていることが多いので
根を軽くほぐしてから、ひとまわり大きい植木鉢に植え替えましょう。
根鉢の4スミをはさみで切るのもいいですよ。
ただし、まだ休眠している早春とか、
休眠期間の夏に植え替える場合は、
根鉢を崩さないようにしましょう。
庭植えの場合は
南向きの日だまりなど、
寒風の当たらない日当たりの良い場所に植えます。
水はけが悪い場合は土を盛る、
または腐葉土をすきこんで
水はけをよくしてあげましょう。
レイズドベッドを活用したり、
高畝にしたりして、水はけのいい状態を作るのもいいですよ。
※レンガや板などを用いた花壇のように、地面が一段高くなっている場所の事をレイズドベッドといいます。
一段高くすることにより、排水性の改善などが見込まれます。
4:マーガレットの管理の仕方
鉢植えは12〜3月頃まで
基本的には日当たりの良い室内で管理するのがオススメです。
岡山県南部など、暖かいエリアでは戸外でも大丈夫ですけど
寒風が当たらないように、寒冷紗で覆うなど霜よけが必要です。
4〜11月までは日当たりの良い戸外で管理します。
早春から初夏まで花を楽しんだら
6月上中旬の梅雨前に1回、切り戻しをしましょう。
そうすると真夏に株が蒸れるのを防げるでしょう。
冬越しをした株も忘れず切り戻しましょう。
その際、下葉が落ちちゃっている場合もあるので
よく状態を見て切り戻します。
茎の上部分だけに葉っぱがついて
下葉が落ちていることがあるので
そういう場合は枝の半分を切り戻して、
半分、葉っぱがついたままにします。
1か月もすると切り戻した枝に
いっぱい芽がついてくるので
そうしたら、残りの半分を切り戻します。
常に、葉っぱがついた状態で切り戻さないと
そのまま枯死してしまうので
このように半分ずつ切り戻す
2段階切り戻しをオススメします。
切り戻しが終わったら
マーガレットは高温多湿を嫌うので、
梅雨時は長雨の当たらない
風通しのよい場所へ移動させましょう。
そして、梅雨が明けたら日差しが強くなるので
8月いっぱいまで半日陰で管理し、
秋になったら日なたに出します。
庭植えの場合も
鉢植えの場合と基本的な管理の仕方は同じです。
2段階切り戻しを毎年繰り返すと
茎がしっかり太くなりますよ。
ただし、5年に1度くらい、
ものすごく寒い年があるんですよね。
3日間くらいマイナスの気温が続いたり、
霜に当たるとダメになることがあるので
霜の予報が出たら、
急いで外に出て寒冷紗をかける用意をしてあげましょう。
水やりについては
春・秋は土の表面が乾いたら水をたっぷり与えますが
高温多湿が苦手なので
夏は乾かし気味にするようにしましょう。
5:肥料
植えつけ時の元肥として
リン酸分の多い緩効性肥料を施しておきます。
そして、追肥は年3回。
特に、花は春と秋にしっかり咲くので
花が咲く前に、置き肥として
緩効性化成肥料を与えておいたほうがいいですよ。
もう1回は、6月上旬の切り戻しの後です。
具体的なタイミングとしては、
1回目が春先。芽吹き用の肥料として与えます。
2回目は6月の上旬くらい、
梅雨前に切り戻した後、肥料をあげます。
3回目が、秋。
9月の中下旬、彼岸花が咲く頃を目安に
肥料を与えると良いですよ。
6:植え替え
鉢の場合、マーガレットは結構、根が張るので
2年も放ったらかしにしていると抜けなくなっちゃうんですよ。
しかも、根詰まりを起こしやすいので、
理想は、毎年植え替えてほしいなぁ。
1年に1回なので
植え替え時期としては、春がオススメですね。
3〜6月の間。暖かい季節に向かっている頃がいいです。
もしくは、秋の9月〜10月でもいいんだけど、
10月中旬を過ぎると冬が来る前に根っこが張らないので
そうなると、やめたほうがいいですね。
彼岸花が咲いている時期までだったら
何とか間に合うと思いますが
やはり、できるだけ春に植え替えるようにしましょう。
7:病気と害虫について
昨年はね、酷暑でマーガレットが枯れてしまったんですよね。
最近の暑さは異常なので、
鉢植えだったら、明るい日陰に
場所を移してあげたほうが良いでしょう。
地植えの場合は、根がしっかり張っていれば
たとえ上の方が枯れてしまっても芽吹いてくるのですが
それでも、西日が当たるような場合は、
寒冷紗をかけてあげるなど、
日差しをやわらげる工夫をしてあげてください。
酷暑の時期の西日って、ものすごいエネルギーなんですよ。
植える前に、西日がきついところは
避けてあげてくださいね。
気をつけたい病気は「立枯病」。
キク科を連作すると発生しやすくなります。
また、気温30度を超える日が続くと多発するので
暑さに弱い品種は特に気をつけてあげましょう。
害虫としては、アブラムシ、ヨトウムシ。
気をつけたいのはアブラムシですね。
春と秋に多く発生します。
若い葉にアブラムシが発生するので、特に春が危険。
室内で冬越しさせた鉢植えに
気づかないうちに大発生していることがあります。
冬の間に、知らないうちに
アブラムシがくっついてしまうことがあるんですね。
それが、あったかくなるとドバッと増える。
アブラムシは見つけ次第、徹底的に対処しましょう。
数が少ないうちは、捕殺ですね。
プチッと指で潰すか、テープにくっつけて取り除きましょう。
牛乳スプレー攻撃にも撃退効果がありますので
大量発生させないように
早め早めに防除をしましょう。
もしも、大量発生してしまったら
迷わず殺虫剤を使用してくださいね。
投稿日:2024年3月27日