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育種家として第一線で活躍する
矢澤秀成さんによる園芸の旬な情報をお届け

第15回失敗しない!あま〜いタマネギの育て方

第15回 失敗しない!あま〜いタマネギの育て方

みなさん、こんにちは!

園芸研究家の矢澤秀成です。

 

料理好きな私がイチバンよく使う野菜、

それは「タマネギ」です。

 

炒めても、煮てもおいしい!

カサ増しにも使えて便利だから

みなさんも、たくさん使いますよね?

 

私の経験を話すと、

忙しくて3か月くらい畑に行けず、

ほったらかしていたのに収穫できちゃった!

そんなこともありました(笑)。

それくらい育てやすいので

家庭菜園初心者さんにもオススメです。

プランターでも育てられますよ。

 

だけどね、実は奥が深いのも「タマネギ」の魅力。

大きくてあまくてジュワッとジューシーな

「タマネギ」を作るにはコツがあります。

 

ということで、第15回は、

「タマネギ」についてお話します。

 

1:タマネギの種類を知っておこう!

タマネギは、ヒガンバナ科ネギ属の多年草。

 

収穫時期によって、大きく分けると

早生(わせ)・中生(なかて)・晩生(おくて)に分類されます。

 

代表的な品種は

早生/ソニック

中生/O・P黄、O・K黄、ターボ 中生大玉/アトン、泉州

晩生/もみじ3号、ネオアース

 

このほか、3〜4月に収穫する極早生(ごくわせ)種もあります。

また、赤タマネギもありますね。

 

収穫したタマネギの保存期間が長く、人気があるのは晩生種。

吊り貯蔵をすれば翌年春まで保存できるからね。

 

だけど、収穫時期は遅く、6月中旬ぐらい。

また、晩生種は肥料切れになるとトウ立ちしたり、

肥料が多いと腐ったりして難しいです。

 

そのため、初心者さんには早生種の方が作りやすいかもしれません。

早生種の場合は、夏ぐらいまでしか貯蔵できないので

収穫したら早めに食べてしまいましょう。

 

私のオススメは、中生のO・P黄や O・K黄。

中でもO・K黄は貯蔵がいいんです。コレは、いいよ!

あまくて、水分をたっぷり含んだタマネギができます!

 

慣れた方だと、おひとりで

300個〜500個育てていらっしゃいますよ。

12月頃まで吊り貯蔵できて使いやすいです。

 

 

2:チラシを見たらスグ、苗の購入を!

タマネギの苗は通常、束で売られています。

こんな風に束で販売

 

チラシで紹介されると、すごい勢いで売れるので

売り切れになることも。早めにお求めください。

店頭に並んでいる苗は水分が抜けているので

しおれているように見えるかもしれません。

葉っぱが黄色くなっているかもしれませんが、

タマネギの苗で一番大事なのは

根元の球根の部分。

球根の部分がしっかりしたものを

ここがかたくてシャンとしていたら大丈夫。

黄色くなった葉は、切っちゃっていいですよ。

 

プランターで育てたい場合は、

苗と一緒に、野菜用プランターも用意しましょう。

65㎝ 花用プランター

タマネギは根が深くないから

花用65cmプランターでも大丈夫です。

培養土や肥料もあわせて用意しましょうね。

ホームセンタータイムのオリジナル培養土

 

3:土壌のpHに気をつけて!

 

タマネギを畑で栽培する場合、

連作障害は気にしなくていいのですが

土の準備は早めに行う必要があります。

 

とくに、土壌のpHに気をつけて!

タマネギは酸性の土に弱いのです。

土が酸性だと、球が溶けちゃうんです。

 

そこで、苦土石灰を1㎡あたり100g〜200gほど畑にまいて

土壌を酸性傾向からアルカリ性の方向に変えてあげます。

これを行うと、よく締まったいい球になりますよ。

 

私は何度もpHで失敗したので

pH測定器で測ります。

通常の培養土は、pH5.5〜6ぐらいですが、

タマネギを栽培するときは、

pH7くらいに調整します。

 

ですから、プランターで栽培する場合も、

通常の培養土に、苦土石灰を50gぐらいまくといいですよ。

 

苦土石灰をまいたら1〜2週間待ちましょう。

石灰の成分が土の中の窒素とゆっくり反応して

土の状態を少しずつ改善してくれるので

2週間待てたら理想的です。

 

そして、牛ふんや腐葉土などの堆肥をしっかり入れ、

さらに1〜2週間くらい落ち着かせてから

元肥を入れて苗を植えつけます。

腐葉土
牛ふん各種

 

プランター栽培に使う培養土の場合も、同様に

苦土石灰をまいたら落ち着くまで待った方がいいです。

 

タマネギの植えつけ適期は11月なので

10月中に土の用意をしてください。

 

 

4:黒マルチは必須アイテム

畑の場合、畝の高さは低め(5〜10cmぐらい)でいいですよ。

必須アイテムは「黒マルチ」。

雑草対策になるし、地温も上がり、保水性も高まります。

タマネギ栽培にぴったりなのは、穴があいた「穴あきマルチ」。

穴あきマルチ

 

「穴あきマルチ」を張ったら

穴のあいたところに苗を指でピュッと押して

差し込むようにして植えつけます。

根元の白い部分が見えるように、

あまり深く植えないことがコツです。

 

根が長くて邪魔になる場合は切ってもいいですよ。

また、浅く植えるから葉っぱが倒れちゃうことがあるんだけど、

ネギ属は強いので、

そういう場合は葉っぱを切ってもらっても大丈夫です。

 

 

5:成功のコツは冬場の水管理

タマネギは寒さに強く、霜が降りても平気。

大切なのは、冬場の水管理です。

 

基本的には「乾き気味」の状態をキープ。

タマネギは乾燥に強いから

ほっといても枯れないんだけど、

ずっとカラッカラな状態ではタマネギが大きく太らないし、

辛くなってしまうので気をつけましょう。

 

土の表面が乾いたらしっかりと水を与えることが大事です。

球をしっかり太らせて、

あまくてジューシーなタマネギを育てましょう。

 

あとは、ときどき雑草を抜くついでに土の表面をほぐして

空気を入れてあげましょう。

 

追肥は、緩効性化成肥料でOK。

 

追肥のタイミングは品種にもよりますが、

植えつけて1か月〜1か月半ぐらいを目安に

1回目をあげます。

 

そして、暖かくなる前、

1月下旬から3月中旬ぐらいに

最後の肥料(止め肥)をやっています。

品種によって収穫時期がちがうので

品種にあわせた時期で最後の肥料を与えましょう。

 

その後は肥料をやらない。

間違っても、収穫1か月前以内は

絶対にやらないようにしています。

理由は、腐りやすくなっちゃうから。

 

特に、晩生の品種は追肥や止め肥のタイミングが難しいです。

生育が終わる前に肥料が切れてしまうと

トウ立ちしてネギボウズができてしまう。

生育後に肥料をやってしまうと

球は大きくなるけど締まりがない状態になり、腐っちゃう。

非常に難しいです。

 

収穫のタイミングは、

葉っぱが黄色くなって

1週間か10日くらいした頃です。

 

晩生種は、肥料が切れたあと葉っぱが黄色くなり、

倒れてくると収穫のサイン。

早生種は、倒伏しないので

ほどほどに大きく育っていれば収穫しましょう。

中生種以降は、長期保存できるから

倒伏するまで待ちます。

 

そして、先ほども言ったように

早生種は長期保存できないので

収穫したら早めに食べてしまいましょう。

 

中生・晩生種で、貯蔵のきく品種は収穫後、

4〜5個まとめて葉っぱで縛り、

軒下などの竿に引っ掛けて、吊るすなどして保存します。

 

 

6:気をつけたい病気と害虫

タマネギ栽培で気をつけたい病気といえば

うどんこ病、さび病、べと病、白色疫病など。

とくに、さび病を見ることが多いですね。

また、秋に雨の多かった年は、べと病がたくさん出るので

気をつけた方がいいです。

 

対策としては、まず、病気が出る前の予防が大事!

湿気の多い状態が続くと病気が出やすいので

気になる方は、

雨が降ったら予防のために

殺虫殺菌剤をまくといいでしょう。

広い畑なら噴霧器を使って薬散を。

キッチンガーデンやプランターなら

ハンドスプレータイプの殺虫殺菌剤を使いましょう。

スプレータイプの殺虫殺菌剤(ベニカなど)

 

そのほか、雑草をマメに処理すると、それだけで、

ムシも病気も少なくなります。

 

特に春先以降は、雑草処理をいい加減にしないことが大事。

雑草に花を咲かせない、タネをつけないようにして、

コマメに草刈りしましょう。

 

私は最近、雑草の根っこを残し、上の部分だけ刈るようにしています。

さらに、刈った葉や茎を細かく切って

畑を覆うマルチがわりに使っています。

農学者の福岡先生が提唱した「自然農法」のやり方なんですが、

この方法で作るとむちゃくちゃウマイ野菜ができますよ。

 

害虫としては

タマネギの葉っぱの中に入って葉を食べる

ハモグリバエに気をつけましょう。

幼虫の食べた跡が、まるで絵を描いたように見えることから

別名エカキムシとも言われています。

葉のはしっこに黒いムシが、かたまっているのを見つけたら

指でブチッとつぶして駆除しましょう。

 

 

Q&A

Q:タマネギの球が大きくなりません。どうしたら良いですか?

A:タマネギを大きく甘く育てられるかどうか。その鍵を握るのは、冬場の水管理です。土がパッサパサな状態になるとタマネギが大きくならないので

土の表面が乾いたらしっかりと水を与えましょう。

肥料切れも起こさないようにしましょう。

 

 

Q:トウ立ちしてしまいました。何が悪かったでしょうか?

A:トウ立ちするとタマネギが、おいしくなくなるんですよね。残念です。

収穫前にトウ立ちしたのであれば「肥料が少なかった」、

あるいは、「止め肥の時期が早過ぎたこと」が原因ではないでしょうか。

肥料切れを起こすとトウ立ちしやすくなります。

 

特に、晩生の品種は肥料管理が難しく、

収穫期も遅いのでトウ立ちしやすいです。

最初の肥料が多過ぎてもトウ立ちしてしまう可能性がありますし、

肥料切れを起こしてもいけない、止め肥が遅くなってもいけません。

とても面倒ですよね。

そこで、肥料による失敗を避けたいと思ったら「一発肥料」を使ってください。

これは、ちょうどいい時期に肥料が溶けるよう、

バランスよく設計されているので、

最初に1回やっておけば追肥は不要です。

最後の止め肥まで半自動的に肥料を与えることができますよ。

 

第16回目は、秋植え球根についてお話しします。

11月9日ごろ投稿予定ですので、次回もお楽しみに!

 

 

 

 

 

 

矢澤先生のプロフィール

ホームセンタータイム
ガーデンアドバイザー
矢澤 秀成 先生

矢澤 秀成 先生

現在、やざわ花育種株式会社、葉乃畑合同会社に所属し、代表取締役社長を務める。
種苗会社植物バイオ研究室に16年勤務し、多くの花や野菜を開発する。その間、国内新花コンテストで金賞を含む18回入賞、社内では社長賞2回受賞する。
種苗会社退職後、大手ホームセンター商品開発部長及び顧問、大手肥料メーカー顧問、パテント会社代表、野菜市場顧問、ガーデンセンター顧問などを歴任。多くの植物園などのヘッドガーデナーや監修を行う。
育種家として、多くの個性的な花や野菜、漢方薬などの新種育成を行っており、18年前から全国各地の小学生を対象にした授業「育種寺子屋」を行う。子供たち自身が交配して世界に一つだけの小さな種を作り、その種を大切に育て世界に一つだけの花を咲かせる授業を行っている。さらに「人は花を育てる 花は人を育てる」を掲げ、2002年から地域の花好きを育て、そして花の街を育てる「花のマイスター養成制度」を提案しスタートする。現在全国各地でマイスターを育てる花の学校を開校し、マイスターと共に花いっぱいの公園づくりや街づくりに取り組んでいる。
NHK総合TV「あさイチ」、NHK-ETV「趣味の園芸」、NHK長野「ひるとく」、BS-日テレ「麗しの庭散策」、SBCラジオ「ずくだせ エブリデイ」、篠ノ井有線放送「花暦」などの多くの園芸番組の講師として出演中。全国で講習、講演活動を多数行い、園芸関連多数執筆中。