第52回人と植物を癒す「グラウンドカバー」
みなさん、こんにちは!
園芸研究家の矢澤秀成です。
園芸初心者のみなさん、
今年の夏の暑さは厳しかったですね。
元気に園芸を楽しんでおられますか?
あまりの暑さに、庭や畑の雑草対策で
悩んでおられる方も多いのではないでしょうか。
草抜きがツライから庭をコンクリートにしたり
砂利を敷いてしまう方も多いですが
そうすると地面の温度も上がってしまうので
植物にとっては考えもの。
そこで、簡単な管理で見た目も美しく
地温上昇を抑えて涼しげな印象の
「グラウンドカバー」を試してみませんか。
秋から冬にかけては、
来年の庭をどうしようかなと
思いをめぐらせるのにもいい季節ですよ。
ということで、第52回は
「グラウンドカバー」のお話です。
目次
1:グラウンドカバーのメリット
グラウンドカバーには
次の4つのメリットがあると思います。
1:草抑え。雑草の成長を抑制してくれるので草が出にくくなる。
2:真夏の地温上昇を抑え、乾燥を防いでくれる。
3:病気予防。泥ハネを防げるので感染症などを防ぐことができる。
4:美しいグリーンの涼しげな風景に癒される。
加えて、グラウンドカバーを活用すると
砂利敷きやコンクリートで地面を固めるのと比べて
ナチュラルな雰囲気を演出できます。
また、グラウンドカバープランツとして
花が咲く丈夫な植物を選べば
美しい花のじゅうたんが広がり、
足元に彩りを添えてくれます。
香りを楽しんだり、四季の移ろいを感じたりすることもできます。
一方、グラウンドカバーのデメリットは、
他の植物を一緒に植えられないこと。
グラウンドカバープランツの成長が早いため
他の植物が生育できないからなのですが
じつは、球根類ならば一緒に植えることができるんです。
チューリップやクロッカスなど、植えっぱなしにしている球根の上に
グラウンドカバープランツを同居させている場所が
私が管理しているガーデンにはあります。
ぜひ、試してみてくださいね。
2:グラウンドカバープランツあれこれ
もっとも有名なグラウンドカバープランツといえば
「芝生」でしょうが
芝生の管理は、なかなか大変。
定期的な芝刈りをしないと芝生の花(穂)が出てきて、
この花が、あまり美しくないのが難点です。
次に代表的なグラウンドカバープランツで
花が咲く植物といえば「クリーピングタイム」と
「リシマキア・ヌンムラリア」でしょう。
オススメしたいのは「リシマキア・ヌンムラリア」。
黄色い花もキレイです。
葉っぱには、緑色の系統と黄緑色の系統があって、
黄緑色の方(リシマキア・ヌンムラリア・オーレア)は
特に日陰にも強く、
這い性でどんどん伸びて地面を覆います。
「スーパーアリッサム」も有名ですね。
夏の暑い場所、冬の極端に寒いところでは
枯れてしまうこともありますが
暖地なら宿根できるし、よく増えます。
とってもいい素材だと思います。
幸運のアイテムとしてお馴染みの「クローバー」も
グラウンドカバーによく使われます。
よく知られているのは「シロツメクサ」でしょうが
「クローバー」にはたくさんの種類があるので
お庭に使うなら、葉っぱの形や色が
おしゃれな品種を選ぶといいと思いますよ。
多肉植物の「セダム」も、
グラウンドカバーとして使いますね。
たとえば、ビルの屋上緑化など、
水やりできない場所にはセダムを植えています。
そういう場所には、すごく適しています。
水がなくても、ある程度大きくなってくれるし、
たまに降る雨で十分増えますよ。
特に、春の芽生えの時期がキレイ。
黄色いお花もかわいいし、ピンク色の花が咲く系統もあります。
グラウンドカバーの話題で、
よく名前を出されるのが「ワイヤープランツ」です。
花はあまり期待できないですけど、
非常によく増えます。
ただし、定期的なカットが必要。
また、他の植物を侵食してしまうので
管理をしっかりしなければなりません。
これらの点を注意すれば、とってもいいカバープランツと言えるでしょう。
3:秋冬の間に計画しよう
グラウンドカバープランツを選ぶ際には
お庭の状況をしっかり把握して
その環境にあった植物を選ぶことが大切です。
まずは、場所の栽培条件を確認します。
日なたか日陰か、湿り気のある場所か、乾燥気味の場所か。
湿り気のある場所には
「サギゴケ」を使うなど
その場所の条件に向いた植物を選びましょう。
さらに、グラウンドカバーの目的もしっかり考えましょう。
地面をカバーしたいだけなのか、
ちょっと上の部分までカバーしたいのか、
葉の色で日陰の庭を明るくしたい場合もありますね。
このような目的も考えて
植物を選ぶと良いと思います。
グラウンドカバープランツの大部分が
横に広がっていくものですが
這うように育つもの、地面にペタッと張りつくようなもの、
ふわっとした高さがあるもの、
斑入り、花や実がなるものなど
いろんな特徴があります。
これらの特徴をよく調べて
どのように組み合わせるか
秋冬の間にしっかり考えましょう。
4:球根と同居させてみよう
グラウンドカバーをすると地温の上昇が抑えられるので、
チューリップやクロッカスの球根を掘り起こさずに
そのまま夏越しさせることができます。
球根とグラウンドカバーは、すごく相性いいですよ。
よく日の当たる場所にグラウンドカバーをしているなら
秋になったら穴を掘って
球根を埋め込んでしまえば
球根と同居することができます。
春になったら、グラウンドカバーの間から
ニョキニョキッとチューリップやクロッカスなどの
球根植物が花を咲かせる、
そんなお庭のデザインも楽しんでみてください。
5:日陰の庭もグラウンドカバーですてきに
「ヒューケラ」や「アジュガ」は
日陰のお庭で、とてもいいカバープランツとして重宝します。
ヒューケラは、冬場になるとちょっと葉っぱの色が濃くなって
夏とは異なる表情も見せてくれるんですよね。
特に日陰のお庭の場合は明るくしたいので
斑入りの葉っぱや、リシマキアの黄緑色なんかを
上手に使うといいと思います。
日陰の庭に映えるので、とてもいいと思います。・
また、斑入りや葉の色が豊富な
小型ホスタを敷き詰めるように
きっちり植えこむと、カバープランツとして使えますよ。
和のテイストの庭には
造園屋さんがよく使う「黒龍・玉龍」が便利です。
踏み石の間に入れたり、植物の根元カバーに使います。
花も綺麗に咲きますよ。
6:植木鉢の足元をカバーして温度を下げる
グラウンドカバープランツを
植木鉢の上に入れて、植物を守るという使い方もしますね。
たとえば、バラの鉢の足元にグラウンドカバーをしたり。
鉢から枝垂れた枝が鉢の前面を覆ってくれると
鉢のサイドも覆ってくれるので
鉢の中の温度が下がるんですよ
すると、バラも結構、
夏まで花をつけてくれることがあります。
7:グラウンドカバーの育て方
グラウンドカバーに活用される植物は
成長が早いのですが
最初から雑草がいると負けちゃうんで
生えている雑草は全部、抜かなければなりません。
すでに発芽している植物は抑えられないのですが
一旦、抜いちゃえば雑草を抜く手間はかなり省けます。
グラウンドカバープランツが太陽の光を遮断し
雑草の発芽を抑えます。
なので、グラウンドカバープランツを植える時期は
春先が一番オススメです。
雑草の多くが枯れてしまっているし、
植え付けたグラウンドカバープランツの成長も
動きが早い季節だからです。
反対に、秋冬の植え付けは避けたほうがいいですね。
冬を越せずに枯れてしまうリスクが高いので。
春だったら、最初に水をしっかりあげれば
水やりも特に必要ありません。
ほったらかしにしておけば自然と広がっていきますよ。
ちなみに、植物の種類にもよりますが
だいたい1平方メートルの範囲に
グラウンドカバープランツの
9cmポット苗を4株ほど、
春先に植えておけば
秋までにだいぶ広がります。
秋冬の間に、どんな庭にするか考えながらいろいろ調べ、
春先に向けて雑草を対処し、準備しましょう。
なお、雑草は抜くのではなく
鎌で切るようにしましょう。
抜いてしまうと、中に入っている種があらわになっちゃうので
成長点を取り除くのが一番いいですよ。
8:増えすぎないように管理しよう
グラウンドカバープランツは
ほとんど手入れの必要がありません。
基本的には植えっぱなし。
手入れの必要があるとすれば
増えすぎないように管理すること。
小道など庭の動線部分にはみ出してきたら
適当なところでカットしてあげると
キレイになりますよ。
第53回目は、大根についてお話しします。
10月9日ごろ投稿予定ですので、次回もお楽しみに!
投稿日:2024年9月25日