でんえん

SNSをフォローして最新情報をCHECK!

INNATURA

矢澤先生によるコラム 教えて!矢澤先生!

育種家として第一線で活躍する
矢澤秀成さんによる園芸の旬な情報をお届け

第50回 とれたて最高!「レタス」

みなさん、こんにちは!

園芸研究家の矢澤秀成です。

 

これまでに、いろんな野菜の育種を

手がけてきましたが

レタスほどたくさん食べた野菜は

ないかもしれません。

一時期、見るのもイヤになるくらい

レタスを食べ続けていました(苦笑)。

 

その努力と忍耐のおかげで

世界で初めてF1レタスを作ることに成功し、

学会で発表したんですけどね、

全くと言っていいほど売れなかったという

トホホな思い出があります。

 

今は、レタスが大好きですよ。

生でバリバリ食べるのはもちろん、

チャ—ハンや水餃子に入れたり、

ベーコンと一緒に炒めたり、

ニンニクを効かせたスープで

レタスをしゃぶしゃぶして食べるのもおいしいよね。

 

しかも、自宅の庭でとれたら鮮度バツグン!

シャキシャキのレタスは最高にウマい!

 

ということで、第50回は

「レタス」のお話です。

 

 

1:レタスについて

レタスはキク科アキノノゲツ属の葉野菜です。

原産地は、地中海沿岸から中近東、インド、

西アジアなど諸説あります。

 

さわやかな風味と

シャキシャキとした食感が魅力。

サラダになくてはならない野菜ですよね。

 

比較的冷涼な気候を好むので

一般的に露地栽培しやすい季節といえば

春と秋です。

長野や北海道などの高原や涼しいところでは

夏に栽培されていますけどね。

 

とにかくレタスは暑さには弱いです。

寒さには、すごく強いんだけどね。

岡山のような温暖な場所だと、

夏場に結球しなくなる可能性が出てくるし、

生育期間中の気温が高いと

花芽ができてトウ立ちしちゃうかも。だから

とくに初心者の方には

結球しやすい秋植えがオススメです。

 

秋植え用の苗は

9月後半から10月頃、

ホームセンターなどの店頭に登場します。

春植えの場合は2〜3月ぐらい。

寒い時期から店頭に並び出して

4月ぐらいがピークかな。

 

 

2:品種いろいろ

一般的に「レタス」というと

「玉レタス」を思い浮かべるんじゃないでしょうか。

別名「クリスプヘッドレタス」と言います。

玉レタス

このほか、結球しないレタスには

リーフレタスがあります。

サニーレタスやグリーンリーフ、フリルレタスなど

柔らかい葉質で、苦味がほとんどないのが特徴です。

リーフレタス
リーフレタス

私が好きなレタスは

「ロメインレタス」です。

レストランで、ステーキみたいに

焼いて出してくれますよね。あれが大好物。

ロメインは、通常の玉レタスを交配して

生まれたんですよ。

ロメインレタス

3:レタス苗を植えつけよう

レタスは、どんな土でもよく育ちますが、

酸性が強い土はダメ。

弱酸性の土がいいですね。

あとは、水はけの良い土がいいです。

 

地植えの場合は、

定植の2週間以上前に

必ず苦土石灰を全面散布して耕し、

土壌の酸度を調整しておきましょう。

苦土石灰

とくに、しばらく使っていなかった畑で育てる場合は

しっかり準備した方がいいですね。

 

そして、植えつけの1週間前に

堆肥と元肥(緩効性化成肥料)を入れて

再度耕し、畝を立てましょう。

緩効性化成肥料

畝の高さは通常10cm〜15cmぐらいあれば十分ですが

水はけの悪い畑や

田んぼの跡を利用した畑では

30cmぐらいの高畝にした方がいいかな。

 

畝を立てたら、ポリマルチをかけます。

でも、レタスは高温になると休眠する性質があり、

今年も10月ぐらいまで暑い日が続きそうなので

地温の上がり過ぎには注意が必要。

とはいえ、収穫が近づく12月になると

すいぶん地温が下がってきちゃうからね。

なので、黒マルチほどは地温が上昇しない

緑マルチを使って

雑草が生えるのを防ぐのもいいと思います。

 

春植えの場合は

黒マルチ一択で大丈夫ですよ。

穴あきマルチ

 

4:水やりは乾燥と過湿に注意!

レタスの根は、ひげ根みたいに細かく

浅根性なのでとっても乾燥しやすいんだけど

一方で、過湿にも注意が必要。

軟腐病とかの原因になっちゃうからね。

 

水やりのペースとしては、

生育初期は週に1〜2回でいいんだけど

生育が進むにつれて

水やりの頻度を増やす必要があります。

 

天候にもよるけれど

プランターで育てていたら

朝に水やりをしても

夕方にはカラッカラに乾いていることがあります。

なので、プランターや鉢で育てる場合は

とくに乾燥に気をつけていただきたいですね。

 

レタスの葉っぱを触ってみて

ふにゃっとしていたら

「あ、水をあげなきゃ」と思ってください。

 

 

5:施肥のタイミング

植えつけから2〜3週間後、

根が動き出してから肥料を与えましょう。

 

肥料は、一般的な8-8-8の化成肥料で大丈夫。

葉の成長を促すために

窒素多めの肥料を選べば、もっといいです。

さらに、玉レタスの場合は

結球が始まる頃にも追肥した方が

結球が良くなりますよ。

 

収穫期によって結球の時期は変わってきますが

秋植えの場合、10月後半ぐらいが目安です。

 

 

6:収穫は結球開始から約1カ月後

結球・半結球レタスの場合、

結球開始から25〜35日が収穫時期なので

結球し始めてから

だいたい1カ月とみておけばいいと思いますよ。

 

まっすぐだった葉っぱが曲がり始めたら

結球開始です。

カレンダーに○をつけて1カ月後をお楽しみに!

 

収穫予定日が近づいたら

玉の上を軽く押してみて。

「バリッ」と音がして

中身が詰まっているようだったら

収穫オッケーです。

 

スイカとは違うので

押し過ぎると葉が折れちゃうからね。

 

軽く押して

硬さを感じるようになったら収穫しましょう。

 

収穫のやり方は簡単。

芯の下の部分を包丁や鎌などで

スパッと切るだけです。

 

通常の鎌より柄の部分が長い

レタスの収穫用鎌があると

腰を曲げずに切れて便利ですよ。

レタスの収穫って結構、腰に負担をかけるからね。

野菜収穫鎌
野菜収穫包丁

収穫し忘れるとシャキシャキ感がなくなり

味が悪くなるので注意しましょう。

 

なお、レタスは固定種なので

玉レタスでも数パーセントは

うまく葉が巻かないような

結球しないのが必ず出てきます。

それは固定種なので仕方がないです。

 

結球しなくてもおいしく食べられますし、

葉を剥がしやすいから調理しやすいですよ。

 

リーフレタスは、内側の葉が

やや内側に巻き始めた頃が収穫期ですが

こちらは一度に全部収穫せずに

使う枚数だけ外葉から収穫すれば

何回も収穫できます。

 

ちなみに、収穫する時間帯としては

絶対に朝がオススメです。

暑い日中に採ったものより

朝どれの方がミズミズしくて

シャキシャキしておいしいですよ。

 

 

7:病害虫予防がたいせつ

レタス栽培で気をつけたい2大病気といえば

「べと病」と「軟腐病」。

 

病気になってしまってからでは

手遅れなので

この病気を防ぐには

殺菌剤を早めに散布するのが一番です。

 

でも、口に入れるものだから

薬剤の使用はできるだけ控えたいと思っているなら

人や環境に優しい農薬が

たくさん出ているので

これらを使って早期の予防をしっかり行なってくださいね。

 

たとえば、

ハーモメイト水溶剤はJASが定める有機農産物にも使えます。

 

カリグリーンの主成分の炭酸水素カリウムは

食品や医薬品にも使われている成分。

こちらもJASが定める有機農産物に使えますよ。

カリグリーン

ただし、使用する際には

パッケージに書かれてある注意事項をよく読んで

収穫の●日前まで使用できるか必ず確認して

用法・用量を守ってくださいね。

 

害虫については、

双葉のころなど、まだ小さい間は

虫に食べられる可能性があるけれど

ある程度、大きくなれば

ほとんど虫による食害はないと思っていいですよ。

 

むしろ、虫除けのコンパニオンプランツとして

レタスを植えているくらいなので。

 

気をつけるとすれば

ナメクジによる食害。

ナメクジを見つけたら捕殺するだけでなく、

乾燥させたコーヒーかすや、ナメクジ用薬剤で

ナメクジを防除してください。

 

第51回目は、秋の七草についてお話しします。

9月11日ごろ投稿予定ですので、次回もお楽しみに!

 

投稿日:2024年8月28日

この記事のカテゴリ

矢澤先生のプロフィール

ホームセンタータイム
ガーデンアドバイザー
矢澤 秀成 先生

矢澤 秀成 先生

現在、やざわ花育種株式会社、葉乃畑合同会社に所属し、代表取締役社長を務める。
種苗会社植物バイオ研究室に16年勤務し、多くの花や野菜を開発する。その間、国内新花コンテストで金賞を含む18回入賞、社内では社長賞2回受賞する。
種苗会社退職後、大手ホームセンター商品開発部長及び顧問、大手肥料メーカー顧問、パテント会社代表、野菜市場顧問、ガーデンセンター顧問などを歴任。多くの植物園などのヘッドガーデナーや監修を行う。
育種家として、多くの個性的な花や野菜、漢方薬などの新種育成を行っており、18年前から全国各地の小学生を対象にした授業「育種寺子屋」を行う。子供たち自身が交配して世界に一つだけの小さな種を作り、その種を大切に育て世界に一つだけの花を咲かせる授業を行っている。さらに「人は花を育てる 花は人を育てる」を掲げ、2002年から地域の花好きを育て、そして花の街を育てる「花のマイスター養成制度」を提案しスタートする。現在全国各地でマイスターを育てる花の学校を開校し、マイスターと共に花いっぱいの公園づくりや街づくりに取り組んでいる。
NHK総合TV「あさイチ」、NHK-ETV「趣味の園芸」、NHK長野「ひるとく」、BS-日テレ「麗しの庭散策」、SBCラジオ「ずくだせ エブリデイ」、篠ノ井有線放送「花暦」などの多くの園芸番組の講師として出演中。全国で講習、講演活動を多数行い、園芸関連多数執筆中。