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矢澤先生によるコラム 教えて!矢澤先生!

育種家として第一線で活躍する
矢澤秀成さんによる園芸の旬な情報をお届け

第49回「ハイビスカス」を長く咲かせたい!

みなさん、こんにちは!

園芸研究家の矢澤秀成です。

 

今年も猛暑が続いていますが

みなさん、お元気ですか。

熱中症に気をつけながら

園芸を楽しみましょうね。

 

さて

好きな夏の花は、いろいろありますが

もう20年くらい前かな、

鳥取県立とっとり花回廊の

温室で展示するために

ハイビスカスを300種くらい

集めたことがあります。

 

ハイビスカスの園芸品種って

日本だけで100種以上、

世界だと1万種ぐらいあるので

ほんの一部なんですけど

 

いろいろあるからこそ

自分の好きな色・形を

見つけるのも楽しいですよ。

 

ということで、第49回は

「ハイビスカス」のお話です。

 

 

1:やかな花色が魅力のハイビスカス

ハイビスカスは、赤や黄色、白、ピンク、オレンジ色など

鮮やかな原色っぽい花色が魅力の熱帯植物で、

アオイ科フヨウ属(ハイビスカス属)の

非耐寒性常緑低木です。

 

一般的に市販されているハイビスカスは、

高さ30cm程度の鉢植えだと思います。

薬で背丈を低く調整されて

出荷されるのですが

沖縄など、あたたかい地域では

2m〜3mくらい伸びたハイビスカスを

見かけますよね。

 

地植えすると、すごく大きくなるんですよ。

あったかいところだと

鉢植えでも、少し大きな鉢に植え替えると

結構、大きくなっちゃうので

大きくしたくない場合は気をつけてくださいね。

 

ハイビスカスの

原産地は、ハワイ諸島、モーリシャス島。

開花期は5月〜10月です。

 

「夏の花」というイメージが強いと思いますが、

意外と真夏は、あまり咲かないんだよね。

花は、初夏の方が多いです。

真夏は少なめで、夏の終わりぐらいから

また咲き始めます。

 

でも、ひとつの花の寿命は、

ほとんど1日限りなんですよね。

涼しい季節なら2日もつこともありますが

貴重な花の命をしっかり楽しんであげてください。

 

 

2:品種いろいろ

ハイビスカスには、とにかくたくさんの

品種があります。

 

園芸品種は主に3系統。

 

花が大輪で、花色がバラエティーに富む

「ハワイアン系(ニュータイプ)」、

花はやや小さめで花色の種類も少ないけれど丈夫な

「在来系(オールドタイプ)」、

花が小さくて樹高が高く、寒さにやや弱い「コーラル系」

この3つですね。

 

ちなみに、ハイビスカスティーの原料は

「ローゼル」と言って

園芸品種とは異なる系統のハイビスカスなんです。

ハイビスカスティーは色合いもいいし、

酸味が効いておいしいですよ。

 

あ、ちょっと脱線したので

話を戻しますと

一般のお店で市販されるハイビスカスは

ほとんどハワイアン系です。

 

ハワイアンは花色の種類が豊富で

赤のほかに、ピンク、イエロー、 オレンジ、青、うす紫、

茶色、ミックスなどもあります。

咲き方も、ひと重だけでなく、

八重咲きもあります。

お好きなハイビスカスを

ぜひ、見つけてみてくださいね。

 

3:栽培環境によっては秋冬も開花

ハイビスカスは

日光がよく当たる場所を好むのですが

最近の真夏の酷暑は厳しいので

夏の間や、株が弱っているときは、

直射日光が当たる場所ではなく

半日陰へ移動してあげましょう。

 

冬でもガラス越しの日光が当たる

暖かい室内で管理すれば

咲くことができるので

冬前に花壇から掘り上げて

屋内に入れてあげるといいですよ。

 

霜がほとんど降りない地域では

屋外でも冬越しできるかもしれませんが

屋内に入れる方が可能性は高くなりますね。

 

鉢の出し入れが面倒な場合は

初夏から初秋まで、鉢ごと庭に埋めちゃって

10月頃までに掘り上げて

冬は部屋で育てる、そういう方法もありますよ。

 

 

4:植え替えについて

夏にハイビスカスの鉢植えを手に入れた場合は

鉢のまま、お部屋に置いて

冬越しするのがいいと思います。

 

本来、鉢植えを購入したら、

根が回ってると思うので、

すぐ、ひとまわりからふたまわり大きな

鉢に植え替えた方がいいのですが

真夏は避けた方がいいです。

 

植え替えに一番いいのは初夏。

梅雨前くらいに植え替えるといいんですけど

ハイビスカスの鉢植えを夏に買った場合は、

そのまま初秋まで、お花を楽しんで

それから植え替えてもらったらいいと思います。

 

土は観葉植物用の土で大丈夫です。

水はけの悪い土だと、

根っこが出ないので

通常の培養土より水はけが良い方がいいでしょう。

それ後は、1〜2年に1回植え替えますが

鉢を大きくすると、どんどんでっかく伸びていくので

同じサイズの鉢で

根のまわりの古い土と古い根っこを落として

そこに新しい土を足すようにすれば

同じ鉢で栽培できると思います。

 

植え替えの適期は5月〜6月、または初秋。

根を切らず、用土を足すだけの

鉢増しならば9月頃までできます。

 

庭に植え付ける場合は

5月〜6月に行う方がいいでしょう。

事前に腐葉土などの有機物を土に混ぜておきましょう。

とにかく水はけをよくしなきゃいけないので

庭の土に堆肥を入れたり、腐葉土を入れたりして

ふかふかにして、水はけを良くしましょう。

そして、結構根が張るので。

できれば深めに掘って植えた方がいいです。

 

また、庭植えするなら

冬越しできそうな場所を選んでください。

あと、でっかくなるので

覚悟してください(笑)。

 

 

5:水は乾いたらたっぷり

ハイビスカスの場合、水やりは

原産地の「スコール」をイメージしながら、

土の表面が乾いたら

た〜っぷりとあげてください。

 

タイミングとしては、

「ちょっと乾き過ぎかな」と

心配になる手前くらいまで粘って待ってから。

やるときは、ドバッと、

たっぷり与える感じです。

その方が、根が張るんですよ。

 

一方、開花している間は

水分吸収が盛んなので、

水切れに注意が必要です。

 

栽培環境にもよりますが

水切れすると花がしおれちゃうので、

やや乾き気味とはいえ、

3日に1回ぐらいを目安に

水をあげたらいいと思います。

 

冬になると、水は控え気味に管理。

たまにあげるぐらいで大丈夫です。

地植えの場合は、ほとんど水やりの

必要はありませんが

乾燥が続くときはたっぷり水を与えましょう。

 

 

6:肥料は多めに

ハイビスカスは、

次々と花を咲かせるので

春から秋の成長期には

規定量よりやや多めの

化成肥料を施しましょう。

化成肥料

一般的な緩効性肥料でもいいですけど

「鉢花用の肥料」を選んだ方がいいかな。

さらに、即効性のある液体肥料の方が、

効果が感じられるでしょう。

マイガーデン

ただし、肥料は

たくさんあげれば咲く訳ではないし、

肥料が多過ぎると

根焼け(根腐れ)しちゃうので

説明書きをしっかり読んで適量を心がけ

やり過ぎに注意してくださいね。

 

 

7:花がらつみ・剪定で美しく管理しましょう

花がしぼんだら放置せず、

手で簡単に取れるので

早めにつみ取りましょう。

 

枯れた花を取り除くことは

病気の予防にもなります。

 

そして、生長期である夏の間は、

不要な枝を取り除く

「間引き剪定」をしましょう。

 

さらに、秋になったら

切り戻し剪定を行います。

花が咲き終わってから

休眠期に入るまでの間に、

次の春も、しっかり花が咲くよう

強めの剪定をします。

 

また、春になったら

調整程度の剪定をします。

 

剪定を難しいと思う方もいらっしゃいますが

ハイビスカスの剪定は、

そんなに難しくないので安心してください。

 

花芽がつくのは春です。

ハイビスカスは、ムクゲの仲間なので

その年に伸びた枝に花芽がでる

「新枝咲き(しんえだざき)」なんですね。

 

4月まで遅れて剪定しても

6月頃からちゃんと花が咲いてくれます。

 

気をつけたいのは

巨大化してしまうこと。

 

ほとんどの株に、

大きく成長し過ぎないよう

矮化剤が使われているのですが

この薬が切れてくると

ぐんぐん伸び出します。

 

なので、コンパクトに仕上げたいんだったら

ある程度、思い切って

剪定する必要がありますが

切り過ぎもいけません。

出来るだけ下葉を残した状態で

剪定してくださいね。

 

逆に、お部屋の中を

ジャングルみたいにしたい方は

好き放題に伸ばしてみましょう。

剪定はソフトピンチ程度に。

 

 

8:病害虫対策

ハイビスカスは、とても育てやすいです。

もしも、栽培に失敗するとしたら

根腐れ、または害虫の被害でしょう。

 

ハイビスカスに寄ってくる害虫といえば

アブラムシとカイガラムシとハダニ。

 

特にアブラムシは、

べっとりと茎や花にまとわりつくから

気持ち悪いんだよね。

 

害虫を予防するなら

芽が動き始める

3月後半ぐらいから始めるといいですよ。

 

新しくて柔らかい芽に

アブラムシが寄ってくるので

オルトランなどの

浸透移行性農薬を使ってみましょう。

アブラムシもカイガラムシ、ハダニも、

早めの対処が肝心です。

これらはウイルスを媒介してしまうので

大発生してしまうと

植物の中にウイルスが入っちゃう。

すると、

曲がってしまったり、葉っぱがよじれたり、

そんな現象が出てきてしまいます。

 

カイガラムシは見つけ次第、

カイガラムシ用の薬剤をかけて

やっつけましょう。

夏はハダニにも注意が必要です。

 

特に、部屋に置いている場合は

真夏にハダニが出やすいので

ダニ剤または霧吹きを

週2〜3回程度、

葉っぱの表裏にかけましょう。

 

病気は、立ち枯れ病、炭そ病に

加えてウイルスにも注意が必要です。

 

ウイルスが広がらないように

病気で形や色の変わった葉っぱを見つけたら

キレイに片付けましょう。

枯れた葉っぱも毎回

ひろい集めて捨てるようにしてください。

 

ハサミも使いまわさないように。

ウイルスがうつっちゃう危険があるから。

 

毎回、キレイに洗って使ってくださいね。

 

 

第50回目は、レタスについてお話しします。

8月28日ごろ投稿予定ですので、次回もお楽しみに!

 

投稿日:2024年8月7日

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矢澤先生のプロフィール

ホームセンタータイム
ガーデンアドバイザー
矢澤 秀成 先生

矢澤 秀成 先生

現在、やざわ花育種株式会社、葉乃畑合同会社に所属し、代表取締役社長を務める。
種苗会社植物バイオ研究室に16年勤務し、多くの花や野菜を開発する。その間、国内新花コンテストで金賞を含む18回入賞、社内では社長賞2回受賞する。
種苗会社退職後、大手ホームセンター商品開発部長及び顧問、大手肥料メーカー顧問、パテント会社代表、野菜市場顧問、ガーデンセンター顧問などを歴任。多くの植物園などのヘッドガーデナーや監修を行う。
育種家として、多くの個性的な花や野菜、漢方薬などの新種育成を行っており、18年前から全国各地の小学生を対象にした授業「育種寺子屋」を行う。子供たち自身が交配して世界に一つだけの小さな種を作り、その種を大切に育て世界に一つだけの花を咲かせる授業を行っている。さらに「人は花を育てる 花は人を育てる」を掲げ、2002年から地域の花好きを育て、そして花の街を育てる「花のマイスター養成制度」を提案しスタートする。現在全国各地でマイスターを育てる花の学校を開校し、マイスターと共に花いっぱいの公園づくりや街づくりに取り組んでいる。
NHK総合TV「あさイチ」、NHK-ETV「趣味の園芸」、NHK長野「ひるとく」、BS-日テレ「麗しの庭散策」、SBCラジオ「ずくだせ エブリデイ」、篠ノ井有線放送「花暦」などの多くの園芸番組の講師として出演中。全国で講習、講演活動を多数行い、園芸関連多数執筆中。