第45回畑でもプランターでもOK!鮮度抜群、わが家の「ラッカセイ」
みなさん、こんにちは!
園芸研究家の矢澤秀成です。
ビールのおいしい季節になりましたね。
お酒に欠かせない
おつまみの代表選手といえば
ピーナッツ=ラッカセイ(落花生)でしょう。
花が落ちて実が生まれる、ということで
「落花生(ラッカセイ)」と
呼ばれるようになったんですよね。
実のつき方が、ほかのマメとだいぶ違うんです。
花が落ちたあと、そこから
子房柄(しぼうへい)というものが
下向きに伸び、地中にもぐって
サヤをふくらませ、その中に
実=マメができるのが特徴です。
おもしろいでしょう?
見て楽しいだけでなく
新ラッカセイは鮮度が命だから
家庭菜園にもってこい!
マンションのベランダでも
幅広のプランターを使えば
十分育てられますよ。
ということで、第45回は
「ラッカセイ」のお話です。
目次
1:ラッカセイについて
マメ科ラッカセイ属の一年草である
「ラッカセイ」は、南アメリカ大陸原産です。
日なたを好み気温25〜28℃で生育します。
害虫や病気の心配が少なく、
適度に水やりしていけば
大きく育つので栽培は比較的簡単です。
気をつけたいのは「鳥」ですね。
私の畑では、
タネをまいた時も実ができた時も
カラスに無茶苦茶たくさん
食べられてしまいました。
カラスってね、自分で土を掘って
ラッカセイの実を持っていくんですよ。
だから、鳥対策をしっかりとしましょう。
2:品種
「ラッカセイ」の苗は
一般的には品種の名前を出さずに
「ラッカセイ」として
販売されていることが多いと思いますが
私が育ててきたラッカセイは
「Q(きゅー)なっつ」と「おおまさり」です。
「Qなっつ」は、千葉県が開発した新品種。
「これまでになかったくらいの甘み、
Pナッツを超えるおいしさ」が特徴だから
という理由で
「Qなっつ」という名前になったそうですよ。
「おおまさり」は大粒何ですよね。
タネから育てる人が結構、多いみたいなんですが
発芽が難しいので
初心者の方は苗を買って育てた方が
成功する確率が高いと思います。
3:植えつけ
ラッカセイの苗を買ってきたら
ひと晩、吸水させます。
プランターで育てる場合は
野菜用の培養土を入れて
植えつけましょう。
地植えの場合は、
風通しの良い日なたに植えますが
ラッカセイは連作障害が出やすいので
マメ科の作物を育てた場所は
2〜3年あけた方がいいので
別の場所に植えるようにします。
場所を決めたら
植えつけの2週間くらい前に
苦土石灰を適量まいて耕しておきます。
畝は、そんなに高くなくていいですよ。
私はヒラで育てます。
ただし、ラッカセイの株は結構でかくなるので
50cmぐらいの幅は必要ですね。
元肥は、しっかり入れましょう。
株が広がるので根元だけでなく
畝全体に元肥を入れましょう。
ちなみに、これからの時期は、
長雨が続くことがありますよね。
マルチングをしておけば
水の吸収が適度に抑えられるので
余裕があれば、
マルチを張ってから
植えつけるといいでしょう。
また、ラッカセイには
立ち性タイプと、こんもりタイプ、
横に広がるタイプの
3種類があります。
立ち性タイプを育てる場合は
支柱が必要な場合があるかもしれないです。
私は、横に広がるタイプの品種を
育てることが多いです。
脇芽も取らないし、
作業が少なくてラクですよ。
4:水やり
ラッカセイ栽培が成功するかどうかは
「水やり」にかかっている、
と言っていいと思います。
それくらい「水やり」は重要です。
植えつけ時には、
たっぷりと水をあげますが
地植えの場合、そのあとの水やりは
基本的に不要です。
ただし、鉢(プランター)栽培・地植えともに
土の表面がサラサラとするくらい
乾燥が激しい場合は
たっぷり水をあげる必要があります。
乾燥すると葉っぱが黄色くなって
落葉してしまいます。
すると、花つきも悪くなるので。
乾燥し過ぎは良くないです。
雨を含めて1週間に2回ぐらい
吸水できたらいい、そんなイメージです。
乾燥し過ぎも良くないけれど
水のやり過ぎも良くないので
土の様子をよく見ながら
水やりしてくださいね。
5:肥料・土寄せ
花が1つでも見え始めたら
すぐに、株の周辺のマルチを破り取り除いて
土が見えるようにしてください。
それと同時に株全体に
緩効性化成肥料を適量、追肥します。
ラッカセイの株って結構、
でっかくなるので
追肥が必要なんです。
もしも、葉っぱの色が
黄色くなっていたら
即効性のある液体肥料を使うなど
肥料を使い分けしたらいいと思います。
6:土寄せ&鳥対策
このあと、花が落ちたら
子房柄がぐい〜んと伸びて
地面に突き刺さるので
肥料を与えたついでに
子房柄が刺さりやすいよう
土の表面を全体的に耕して
ほぐしてあげるといいですよ。
せっかく地中にもぐろうとしているのに
すごく硬かったり、石なんかがあると
地中に入れなくなっちゃいますからね。
そういうのを取り除いてあげましょう。
そして、子房柄のもぐりこみが始まったら
株元にしっかり土を寄せます。
理由は、サヤに日が当たって緑色になると
実がカタくなってしまうから。
こうなるとね、カタくてカタくて
食べられないです。
だから、しっかり土寄せしましょう。
ちょっとでもサヤが土から出ていたら
埋めるようにしてください。
さらに、ここからは
「鳥対策」も重要です。
防鳥ネットをかけるのも手だけど、
スズメとか小さい鳥には
地面を掘る力がないから
食べに来ないので
カラスとかね、大きい鳥が
地中からマメを掘り上げて
食べてしまわないように
対策できれば良いわけです。
鳥の場合、羽に何かが当たれば
近づかないので
私は、支柱を数本立てて
そこに釣り糸を渡して防いでいます。
7:収穫について
葉が黄色くなってきたら
いよいよ収穫です!
このとき、上の方の葉っぱだけが
黄色くなってきた頃に収穫しちゃうと
まだ未熟なんですよね。
ラッカセイのカラに
独特のシマ模様ができるのは
葉っぱが上から下まで
まっ黄・黄になった頃です。
私は、このタイミングを間違えて
何回か失敗したことがあるので
全体が黄色くなってから
収穫してくださいね。
できれば、ちょこっと試し掘りして、
サヤの網目がはっきりとしているか、
マメがふくらんでいるかどうかを確認したあとで
株ごと引き抜くといいと思います。
このとき、子房柄が切れちゃうことがあるので
強引に引っ張らない方がいいです。
子房柄が切れないように
まず、株のまわりを大きめに掘って
シャベルを下から添えるようにして
テコの原理で、ぼこっとね、
抜いてあげるようにしましょう。
株を引き抜いたらひっくり返し、
天日で2〜3日乾燥させます。
このひと手間で断然、味が良くなりますよ。
この段階でも、カラスなどの鳥や
ネズミなんかも食べにくるので
ネットをかけたり、釣り糸を使ったりして
対策しましょう。
おおまさりなど、大粒の品種は
ちょっと少なめですが、
上手く育てられたら
1株で50サヤくらい収穫できますよ。
中には、サヤに穴があいているものも
あると思います。
これは虫に食べられているんだけど
穴があいていても、
1つだけ食べられてもう1つは大丈夫
そんな場合もあるので、よく見てね。
ラッカセイは日持ちもするんだけど
採れたては本当においしいからね。
私は収穫して、しばらく干したら
全部サヤごと茹でて食べちゃいます
50個なんて、すぐだもん。
阪神戦を見てたら
いつのまにか無くなってます。
いい、お酒のおつまみになりますよ。
8:病気と害虫について
注意したい害虫といえば
土の中はコガネムシの幼虫、
土の上はアブラムシです。
コガネムシの幼虫は
サヤの中に入ってマメを食べちゃうので
ときどき土を掘って、コロコロ出てくる
コガネムシの幼虫を見つけたら
捕殺するか
つかまえてコガネムシに育てています(笑)。
葉っぱについたうどんこ病対策には
重曹スプレーが効果的です。
重曹の割合は1%。
1リットルの水に対して重曹を1グラム溶かし
市販のスプレー容器に入れて
シュッシュッとかけています。
Q&A
Q:子房柄がプランターからはみ出た場合、どうしたらいいですか?
A: 畑で育てている場合は土寄せして、まわりをちょっと耕しておけば
あとは何もしなくて大丈夫なんだけど
プランターや鉢で育てる場合は子房柄を誘導するといいですよ。
花が咲いた頃、まだ子房柄がそんなに伸びていないので
花の部分をヒモとかで結わえてね、
土がある方に向きを変えてあげるんです。
ヒモの先端にハリガネとか、クイなどをつけてね
ブチっと土に刺すんですよ。
そうすると自然と土の方に向かってくれます。
プランターや鉢でラッカセイを育てるなら
この作業は、とても大事です。
花が咲いたら毎日よく見て、
いいタイミングで子房柄を地面に導いてあげてくださいね。
第46回目は、アジサイ についてお話しします。
6月12日ごろ投稿予定ですので、次回もお楽しみに!
投稿日:2024年5月29日