第26回真夏のヒーロー!ジニア(百日草)
みなさん、こんにちは!
園芸研究家の矢澤秀成です。
子どもの頃、夏休みに
おばあちゃんの家に遊びに行くとね、
庭いっぱいに背の高い百日草が
咲いてたんですよ。
それをパチン、パチンと切って
仏壇に供えていたので
百日草というと仏花のイメージがあったんですが
最近は、小型の新品種が数多く誕生し、
色や咲き方のバリエーションも増えてきました。
「百日草」は
花期が100日以上もあるという
とってもタフな植物です。
学名の「ジニア」で呼ばれることの方が
多いんじゃないかな。
暑さに強く、手入れも簡単なので
いま人気が高まっている花なんですよ。
ということで、第26回は「ジニア(百日草)」についてお話します。
目次
1:ジニア(百日草)について
ジニアはキク科の1年草。原産地はメキシコです。
日本には江戸時代の末期に伝わりました。
開花時期が初夏から晩秋までと長く、
瀬戸内地域なら11月上旬頃まで咲いているので
長い間、仏壇用の花として重宝されてきたんだけど、
近年は、新たに小型品種が登場し、
レッドやイエロー、ピンク、オレンジ、ホワイト、グリーン、複色、
アプリコットやアンティークカラーなど
じつに、さまざまな色が選べるようになってね、
暑さにも強いので
真夏の花壇の救世主的存在となっています。
しかも、ひと昔前までは、
ジニアの小型品種って弱かったけれど
ホソバヒャクニチソウ(リネアリス)と
園芸種ジニアを交配した
「ジニア プロフュージョンシリーズ」(サカタのタネ)の
登場により、その概念が一変!
耐病性のある品種も増えてきて
「ジニア」は世代を超えて広く愛される
強い花になりました。
とくに私が注目しているのは
「ジニア ザハラシリーズ」。
チェリーピンク以外の色の花は、どれも強くて良いです。
ここ数年、夏の酷暑でジニアが
枯れてしまうことがあったんですが
「ザハラシリーズ」だけは枯れませんでした。
なので、私はザハラシリーズばかり使っています。
ちなみに、背の低いジニアが花壇用として愛されるようになると
仏壇花用の背の高いジニア、いわゆる「百日草」の
販売数が少なくなってきました。
あれはあれで綺麗なんだけどね。
なお、ジニアには以下のように
大きく分けて3系統あるので
覚えておいてください。
1 ジニア・エレガンス(大輪。昔からある、いわゆる百日草はコレ)
草丈は80cm〜1mくらい。
八重咲き、ポンポン咲きなどがある。
2 ジニア・リネアリス(ホソバヒャクニチソウ)
ナチュラルな雰囲気。洋風の庭によく取り入れられる。
草丈は30cm〜40cm。病気に強い。
3 ジニア・プロフュージョン
1と2を交配してつくり出された園芸品種。
耐病性と、わい性が特徴。
花壇や寄せ植えに使いやすい。
2:苗を植え付けよう!
瀬戸内エリアでは、
ジニアのポット苗が4月頃から出回っているそうですね。
なので、これから購入するとしたら
根がまわっていないもの、
茎が徒長していないものを
しっかり選ぶようにしましょう。
下葉が枯れていないこと、
葉色が生き生きとした緑色をしているかどうかも
確認した方がいいですよ。
植え付けは5月の上旬以降が適期です。
植え付ける際の注意点としては、
ジニアは、まっすぐ下に伸びる性質(直根性)なので
根を傷めないように扱う、ということ。
株のまわりの土を軽くほぐす程度でいいと思います。
ほぐし過ぎると萎れちゃうので
注意してくださいね。
また、太い根を痛めるとうまく根付かないので
基本的に植え替えは行わず、
植え付け時もあまり根を触らないように
慎重に植え付けてください。
プランターで育てるなら
土は草花用の培養土で大丈夫です。
水はけの良い方がいいですね。
花壇に地植えする場合は、
完熟腐葉土などでマルチングをしましょう。
また、花壇の場合、
背の低いジニアは草に覆われると負けちゃうので
雑草対策は、ちゃんとした方がいいですよ。
私の雑草対策は「ひたすら雑草を抜く」、です。
夏に向けて、こまめに雑草を抜いてあげましょう。
3:真夏の水切れに注意!
ジニアは乾燥に強い花です。
とはいえ、乾き過ぎると
フニャフニャになって株全体が弱っちゃうので
朝夕どちらかの涼しい時間帯に
たっぷり水を与えましょう。
水やりは基本的に、朝の方がいいって言われます。
私は朝4時ぐらいの早朝が多いですね。
朝できなかったときは夕方に水やりしています。
特に、真夏は水切れに注意!
なんですが、水をやり過ぎると
蒸れちゃうからほどほどにね。
やや乾き気味ぐらいの水やりがいいですよ。
4:追肥と同時に切り戻しをしよう!
ジニアは開花期が長いので
肥料を絶やさないようにしましょう。
植え付けた日から10日後に
最初の追肥を始めます。
追肥は夏場の7月・8月を除いて
2か月に1回を目安に、
10月中旬ぐらいまで続けましょう。
瀬戸内地域だと、11月まで花が咲くと思いますが、
肥料は10月中旬まで与えたら大丈夫です。
そして、2か月に1回の追肥と同時に
忘れずやってほしいこと。
それが「切り戻し(剪定)」です。
次の花に栄養を回すため、
花がらを摘み、
伸びてきた枝を切り戻します。
切り戻しをすると、
新しい芽が吹き、新たな花が咲いてきます。
追肥と同時に切り戻します。
その繰り返しで育てていきましょう。
なお、切り戻しの際は、必ず下葉を残しましょう。
下葉が枯れているのに
無理やり切って棒(茎)だけになると
必ず枯れてしまうのでね、
下葉を何枚か残して剪定した方がいいです。
その方が回復も早いからね。
5:気をつけたい害虫と病気
ジニアにつく害虫といえば
アブラムシとハダニ。
ヨトウムシは、あんまり見ないですね。
私の経験上の感覚ではダニが一番多いです。
見つけたら、すぐ、粘着テープなどを使って
捕殺してください。
アブラムシには牛乳スプレー、
ハダニには葉水で撃退する方法もありますが
もしも大量に発生している場合は
薬剤を散布するしか方法がないです。
また、気をつけたい病気は
うどん粉病と斑点細菌病。
葉の表裏に「うどん粉」をまぶしたような
白いかびがぽつぽつと現れたら
うどんこ病でしょう。
放置しておくと葉っぱ全体が白くなって枯れていきます。
対応としては、
感染病なので罹患した部分は取り除くしかありません。
そして、殺菌剤で撃沈します。
斑点細菌病は、葉っぱの裏に雨などによる泥はねで
土壌の中の細菌がつくことで発症します。
泥のついたところから円状に、
溶けたような感じで斑点が広がるんですよね。
原因が「泥はね」なので、
予防として、地面にマルチングをして
泥はね防止した方がいいと思いますよ。
マルチングするタイミングは
定植と同時でもいいですし、
梅雨に入る前の、1回目の追肥時でもいいですよ。
株元に2〜3cmくらい、腐葉土やウッドチップなどを
敷くといいでしょう。
ウッドチップは高いけどね。
ヤニの多い針葉樹のチップは根の成長を抑制しちゃうからね。
ウッドチップはカラマツ材がいいですよ。
Q&A
Q:お盆やお彼岸の頃に合わせて、ジニアの花を咲かせたいのですが、どういう工夫をしたらいいですか。
A:「お盆やお彼岸の時に咲かせたい」というのは、切り花をお供えしたいということでしょうね。長い間咲き続ける花だから特別なことをしなくても大丈夫ですよ。草に覆われないようにすれば秋まで咲いてくれますが、切り花が必要ならば品種のことは勉強しておいた方がいいでしょうね。ジニアには、エレガンス、リネアリス、プロフュージョンという3系統があります。その中で「エレガンス」が、昔から仏壇花に使われている、いわゆる「百日草」です。草丈が80cmから1mくらいまで高くなります。一重咲きのほかに八重咲きもありますし、「ポンポン咲き」といって丸っこい花がポンポンポンと咲くタイプもあります。リネアリスやプロフュージョンは、背の低いわい性種なので切り花には向かないでしょう。
8月初旬につぼみができていたら2週間ぐらいで咲くので、ちょうどお盆に花が咲くと思いますが、不安であれば1か月くらい前に摘芯して花芽を増やす工夫を。だけど、切り花として使いたいなら、あまり摘芯すると短くなっちゃうからね。最初から苗をいっぱい購入して、いっぱい植えておく方がいいかもしれないね。
投稿日:2023年5月31日