第63回かわいくて頼もしい!「カリブラコア」

みなさん、こんにちは!
園芸研究家の矢澤秀成です。
今回、ご紹介するカリブラコアは、
ずっと育種に携わってきたので思い入れの深い植物です。
はるばるブラジルまで出向いて
採種もたくさんやったなぁ。
ブラジル植物学の権威で有名な
故・橋本先生と一緒にブラジルの山野を歩いて
ペチュニアの原種とカリブラコアを見つけたのは
忘れられない思い出です。
カリブラコアは熱帯のブラジルでも生きていけるので
姿はかわいいのに、すごくたくましい。
庭にあると頼りになりますよ。
うまく育てば、来年も咲くかもしれない!
ということで、第63回は、
「カリブラコア」についてお話します。
目次
1:カリブラコアとは
南米原産、ナス科カリブラコア属のカリブラコアは
鉢で育てるので1年草として扱うことが多いですが
多年草なんです。
生育適温は15〜30℃。
ペチュニアの近縁種と言われていて、
ひと昔前までペチュニア属に分類されていました。
花もペチュニアを小さくしたような形ですよね。
開花期は4月〜11月。
咲き始める時期はペチュニアより遅いですが
秋の終わりぐらいまで、長く咲いてくれます。
まぁ、さすがに最近の酷暑はキツイみたいで
真夏の間、花はお休みするんですけどね。
ペチュニアとの違いといえば
カリブラコアは触ってもベタベタしないところ。
ペチュニアは、ちょっと花がらを摘むだけで
手がベタベタしちゃうから手洗いしないといけないけれど
カリブラコアはベタベタしないので素手でも作業しやすいです。
また、ペチュニアより雨に強く、
非常に多くの花がつくのが特徴です。
小さい花がたくさん咲く! そんなイメージ。
さらに、ペチュニアより寒さにも強く、
品種によっては暖房のない部屋で
冬越しできるものもあります。
岡山・香川あたりなら、環境条件が良ければ
屋外でも冬越しできるでしょうね。



2:品種によって個性がいろいろ
カリブラコアの花には
白、黄色、紫、赤、ブルー系など、いろんな色があり
小さな花から大輪系までサイズもさまざま。
次々と新しい品種が生まれていて
カリブラコアとペチュニアの交配種には
冬越しできるものもありますよ。


草姿も、這うタイプもあれば
直立するタイプもあります。
ちなみに、這うタイプの方が、
もともと海岸部のカリブラコアで
ブラジルの山の方、高原に咲いているのが立つタイプ。
カリブラコアは、生育していた環境によって
性質が全く異なるんですよ。面白いですよね。

3:カリブラコアの花苗を植え付けよう!
購入した苗は、すぐに植え付けましょう。
根がよく張るので、すこし大きめの鉢を
選ぶと良いでしょう。
たとえば、三寸ポットで購入したら
五寸の鉢に植え替えます。
土は、市販の草花用培養土で大丈夫ですよ。

肥料は、植え付けの2週間後に、
粒状の緩効性化成肥料を適量入れましょう。

カリブラコアを花壇に植えることは少ないかな。
鉢植えのイメージがありますね。
寄せ植えには使えますよ。
同じ草姿のカリブラコア同士で寄せ植えしたり、
他の植物と合わせたり。
まぁ、他の植物と合わせたら大体の場合、
他のが先に枯れちゃって
カリブラコアが最後まで残りますね。
覚えてほしいことは
植え付ける時、または植え付けてしばらくたったら
苗がまだ小さいうちに
摘芯(ピンチ)をした方が良い、ということ。
その方が、芽が増えてボリュームが出ます。
苗の具合にもよりますけどね。
花がいっぱいついた状態で売ってる場合と、
花の少ない状態で売ってる場合がありますからね。
苗があんまり小さい場合には
しばらく待って、鉢からはみ出た部分を切る、
それでもいいと思いますが
いずれにしても1回、切った方が良いです。
「切ってください」と言ってもね、
切れるかなぁ、ちょっと心配。
「せっかく花が咲いているのに」
「矢澤先生はオニだ」なんて言われちゃう。
なかなか切れないと思いますが
切ってください(笑)。



4:水やりは土の表面が乾き始めたら
植え付けた時には、たっぷり水やりしましょう。
その後の水やりについては、
土の表面が乾き始めたらたっぷりと水をかける。
やり過ぎないように注意しましょう。
ただし、細かい根がよく張るので、
気温が上がってくると水切れを起こすことがあります。
水切れしちゃうと枯死することがあるので
水のやらな過ぎも良くないです。
5:日当たりの良い場所に!
カリブラコアは、日当たりを好むので
日当たりの良い場所に置きましょう。
日当たりが悪いと花の数が減ったり、
花の色が薄くなったりするので注意してくださいね。
雨にも比較的強いので
雨よけのある場所でなくても育てられます。
もし、雨が当たっても大丈夫。
だけど、大型台風とか 嵐の時はね
さすがに、風に当たらない方が良いので
どこかに隠しておいてあげてくださいね。
6:「切り戻し」をマスターしよう!
カリブラコアを4月〜5月ぐらいに植えると
梅雨前ぐらいに花の勢いがちょっとおさまると思います。
そこで、秋にもう1回咲いてもらえるように
しっかりと切り戻しを行います。
私は、だいたい6月に入ったら
(梅雨に入る前に)切り戻しをします。
すると、梅雨あけぐらいから成長して
夏を越して、秋に入る頃には
ちっちゃい芽ができてしっかりと花を咲かせてくれます。
切り戻しの際に気をつけることは
必ず下葉を残すということ。
下葉が残っていないと再生しなかったり
生長が遅くなったりするので
気をつけてくださいね。
そして、秋の花が終わったら
今度は株元から切り戻して
コンパクトな形にして
冬越し、2年目の準備に入ります。
ひとまわり大きな鉢に植え替えても良いでしょう。
植え替えをする場合は
あまり気温が高い時を避けて
初秋の、彼岸花が咲いている頃
(9月20日頃)を目安にしましょう。
7:肥料切れにも注意!
カリブラコアは、小さい花を一度にいっぱい咲かせるので
肥料切れを起こしやすいんですよね。
肥料が切れ始めると花つきが悪くなるので
追肥を与えた方がいいと思います。
では、いつやるか。
ベストなタイミングは「切り戻し」の時。
切り戻しのついでに
粒状の緩効性化成肥料を施せば
秋に、またしっかりと花をつけてくれるでしょう。

8:気をつけたい病気と害虫
病気になったカリブラコアって
あんまり見ないんですよね。
うどんこ病ぐらいじゃないかな。
うどん粉病は「風を通す」ことで予防できます。
薬散するほどじゃないと思うので
風通しの良い状態を心がけてあげましょう。
もしもカリブラコアが枯れるとしたら
病気というよりも
水のやり過ぎ、または、水のやらな過ぎによる水切れ、
こういったことが原因の場合が多いので
カリブラコアの元気がないときには
土の状態を確かめてみましょう。
一方、気をつけたい害虫はアブラムシとナメクジ。
とくに、アブラムシですね。
アブラムシを見つけたらスプレータイプの殺虫剤を
シュッシュッとかけてください。
重曹スプレーでもいいですよ。
アブラムシは4月には動き出しているので
植え付けの際に薬剤をスプレーして
予防しておくのもいいかもしれませんね。

Q&A
Q:切り戻しをしなかったらどうなりますか?
A:カリブラコアの切り戻しをしないと、茎がヒョロヒョロと徒長しちゃったり、横にどんどん広がったりして見映えが悪くなってしまいます。なので、面倒でも切り戻しをした方がいいですよ。また、茎をあまり伸ばしてしまうと「木化」しちゃって、重たい印象になるだけでなく、横に這うタイプは次第に枯れていくので、長く楽しむためにもしっかりと切り戻しをしましょう。
Q:ベランダでも育てられますか?
A:日当たりが良ければベランダでも全然、育てられます! いろんな色があって強いので、ベランダをかわいく、カラフルに彩りたいならカリブラコアがオススメです!
第65回目は、オクラについてお話しします。
5月14日ごろ投稿ですので、次回もお楽しみに!
投稿日:2025年4月23日